【限定公開】全教科で「優」が取れた実習教材

高齢者の皮膚を守るテープのはがし方と固定の工夫

看護技術
この記事は約9分で読めます。

こんにちは、ユウ塾長です。高齢者の皮膚に貼ったテープをはがすとき、「皮膚まで一緒にはがれてしまいそう」と迷ったことはありませんか?すでに皮膚剥離がある場合は、どこからどうはがせばよいのか、さらに悩みますよね。今回は、皮膚への負担を減らすテープのはがし方と、固定方法を見直すポイントを一緒に整理します。

結論:皮膚を押さえ、テープを折り返しながらゆっくりはがす

皮膚剥離のある高齢者では、テープをはがす前に、本当にそのテープが必要かを確認しましょう。必要な場合は、皮膚を片手で押さえ、テープを皮膚から真上に引っ張らず、折り返すようにゆっくりはがします。

はがれにくいときは、力まかせに引っ張らず、粘着剥離剤の使用や固定方法の変更を検討してください。すでに皮膚が裂けている場合は、テープをはがす手技だけでなく、創の保護や皮膚状態の確認も必要です。

判断のポイントは、「どの角度ではがすか」だけではありません。「このテープを使い続ける必要があるか」「患者さんの皮膚に合った固定方法か」も一緒に考えましょう。剥離角度に関する研究結果は小規模な研究に基づくため、すべての製品や患者さんに当てはまる絶対的な基準ではありません。

この記事でわかること

この記事では、次のポイントを解説します。

  • テープをはがす前に確認したいこと
  • 皮膚への負担を減らす剥離の手順
  • テープを貼る前にできる固定方法の工夫
  • 皮膚剥離があるときの観察・相談のポイント

読了時間の目安:約8分

結論の根拠:皮膚にかかる力を減らす工夫が必要

高齢者では、皮膚が薄くなったり、乾燥しやすくなったりすることがあります。そのため、テープの貼付や剥離、摩擦やずれが皮膚損傷につながる可能性があります。高齢者の皮膚の特徴や粘着剤による損傷予防については、日本医科大学の資料や、SolventumのMARSI予防資料で説明されています。

医療用粘着剤による皮膚損傷は、MARSI(医療用粘着剤関連皮膚損傷)と呼ばれます。表皮剥離や発赤、水疱、皮膚裂傷などが含まれます。MARSI予防に関するレビュー論文では、皮膚の状態を事前に評価し、粘着剤や貼付・剥離の方法を選ぶなど、複数の対策を組み合わせる考え方が示されています。

剥離角度については、高齢女性10人を対象にした研究で、30°・60°より90°以上の角度で剥離した場合に、皮膚への刺激が少ない可能性が報告されています。ただし、対象者が10人の小規模な研究です。すべてのテープや患者さんに当てはまる絶対的な基準とは考えず、製品の説明や患者さんの皮膚の状態も踏まえて調整しましょう。「高齢者への医療用粘着テープの剥離方法に関する研究」

テープをはがす前に確認すること

テープの端を持つ前に、まず「なぜ貼っているのか」「今も必要なのか」を確認します。ルートなどを固定している場合は、はがすことで抜去や牽引につながらないかも見ておきましょう。

剥がす前には、次の点を確認してみてください。

  • テープの下や周囲に、表皮剥離・出血・水疱・発赤がないか
  • テープが傷や脆弱な皮膚に直接貼られていないか
  • ルートやドレーンなどが固定されていないか
  • 剥離によってルートが引っ張られたり、抜けたりするおそれがないか
  • 患者さんに痛みや不安がないか

皮膚がすでに裂けているときは、テープを勢いよくはがすのは避けましょう。ルートを保持する必要がある場合は、状況に応じて複数人で行うことも考えます。

皮膚への負担を減らすはがし方

ここでのコツは、テープを引っ張るのではなく、皮膚を押さえながら、テープを折り返して少しずつはがすことです。日本創傷・オストミー・失禁管理学会のスキン-テアに関する資料では、周囲の皮膚を押さえながら、テープを反転させてゆっくり剥離する方法が示されています。

手順は次のように進めます。

  1. テープの端を、無理のない範囲で浮かせます。
  2. 反対の手で、テープの周囲の皮膚を押さえます。
  3. テープを皮膚から真上に引き上げず、折り返すようにします。
  4. 少しずつゆっくりはがし、痛みや皮膚の持ち上がりを確かめます。
  5. 出血や皮膚の損傷がみられたら、いったん中止して方法を見直します。

テープと一緒に皮膚が持ち上がるときは、そのまま続けず、いったん止めてください。皮膚を押さえ直す、粘着剥離剤を使うなど、別の方法を検討しましょう。

角度は一律に決めず、皮膚の反応を見ながら調整する

テープを皮膚から垂直に引っ張るのではなく、テープ自体を折り返すようにして、皮膚への牽引を抑えます。剥離角度の研究では90°以上が望ましい可能性も示されていますが、小規模研究の結果です。角度だけを守れば必ず安全、という意味ではありません。皮膚の動きや痛みを見ながら、無理のない方法を選んでくださいね。研究の掲載情報はこちら

はがれにくいときは、力まかせにしない

テープが皮膚に強くついているときに、爪や指で端を強くこすると、皮膚を傷つけるおそれがあります。テープの端を折り返してつまみを作る方法や、粘着剥離剤の使用を検討しましょう。SolventumのMARSI予防資料や皮膚裂傷予防に関する資料でも、粘着剥離剤の活用や、ゆっくり剥がす方法が紹介されています。

粘着剥離剤を使う前には、製品の説明を確認してください。開放創や粘膜に使えるか、ルートやドレッシング材に影響しないかなどは、製品によって異なる場合があります。皮膚剥離部に直接使えるとは限らないため、使用方法に迷ったら、施設の手順や医療者に確認しましょう。

次に貼るときの工夫

皮膚を守るには、はがし方だけでなく、貼る前の選択も大切です。テープが本当に必要かを見直し、患者さんの状態に応じて、専用固定具やネット包帯など、テープ以外の方法が使えるか検討します。固定方法は、ルートの種類や抜去リスクなども踏まえて選びましょう。

テープを使う必要がある場合は、シリコーン系など刺激の少ない製品や、皮膚保護膜・保護材を使う方法も選択肢になります。ただし、製品によって固定力や使用方法が異なります。皮膚の反応を確認しながら、施設の手順や製品の説明に沿って使ってください。MARSI予防に関するレビュー論文とSolventumの皮膚裂傷予防資料では、皮膚の評価や製品選択、保護材の活用などを組み合わせる考え方が紹介されています。

貼るときは、テープを強く伸ばして皮膚に張力をかけないようにします。皮膚を引っ張らず、貼付後にしわや過度なつっぱりがないかも見ておきましょう。

皮膚剥離がすでにある場合

皮膚が裂けている場合は、テープをはがす手技だけでなく、創の状態も確認します。大きさや部位、出血・浸出液の有無、周囲の発赤や腫れ、患者さんの痛みなどを見てください。状態が悪化している、対応に迷うといった場合は、医師や創傷・皮膚排泄ケア認定看護師に相談しましょう。

日本創傷・オストミー・失禁管理学会の資料では、皮膚裂傷部を洗浄し、白色ワセリンと非固着性ガーゼで保護する方法が示されています。ただし、必要な処置は創の状態などによって異なります。実施にあたっては、施設の手順や患者さんの状態に合わせて判断してください。同学会の資料

看護で押さえたい観察と記録

剥離中に、皮膚がテープと一緒に持ち上がる、強い痛みがある、出血する、水疱がみられるといった変化があれば、そのまま続けずに中止・変更を考えます。患者さんには「痛みがあればすぐに教えてください」と伝えておくと、我慢している様子にも気づきやすくなります。

剥離後は、皮膚の状態や痛みを確認し、次回のケアに活用できるよう記録します。使用した固定材や剥離剤、貼付部位、皮膚の変化、患者さんの反応などを残しておくと、スタッフ間で対応を共有しやすくなります。

実践ポイント

  • まず、テープが本当に必要か、固定方法を見直す
  • はがすときは皮膚を押さえ、テープを折り返すようにゆっくり進める
  • はがれにくい場合は、無理に引っ張らず粘着剥離剤などを検討する
  • 皮膚の変化や痛みを確認し、必要に応じて相談・記録する

筆者の体験談

テープの端を持ったとき、皮膚も一緒に持ち上がってくる場面を考えてみてください。ルートを固定しているから早くはがしたい一方で、皮膚を傷つけたくない。どちらを優先するか迷いますよね。

そんなときは、いったん手を止めて、テープを貼っている目的と、皮膚の状態を見直します。ルートを保持しながら剥離できるか確認し、皮膚を押さえ直してもはがれにくければ、粘着剥離剤や別の固定方法を検討します。

この場面を通して考えたいのは、手技を急いで終えることよりも、「この固定を続ける必要があるか」を立ち止まって考えることです。剥がし方だけでなく、次にどう固定するかまで考えると、ケアをつなげやすくなります。

ここで紹介した場面は、臨床での判断をイメージするためのものです。医学的な根拠を示すものではなく、剥離角度や処置方法については本文で紹介した資料と施設の手順を確認してください。

まとめ

皮膚剥離のある高齢者にテープを使うときは、次の点を意識しましょう。

  • まず、テープが本当に必要か、固定方法を見直す
  • はがすときは皮膚を押さえ、テープを折り返すようにゆっくり進める
  • はがれにくい場合は、無理に引っ張らず粘着剥離剤などを検討する
  • 皮膚の変化や痛みを確認し、必要に応じて相談・記録する

「どの角度ではがすか」だけでなく、「このテープを使い続ける必要があるか」も大切な判断ポイントです。患者さんの皮膚を見ながら、無理のない方法を選んでいきましょう。

FAQ

皮膚剥離がある部位に、テープを貼ってもよいですか?

一律には判断できません。テープが必要かを見直し、創の状態や固定の目的に応じて、保護材や別の固定方法も検討します。施設の手順に沿い、必要時は医師や創傷・皮膚排泄ケア認定看護師に相談してください。

シリコーン系のテープなら、皮膚損傷を防げますか?

シリコーン系など刺激の少ない製品は選択肢になりますが、すべての人に皮膚損傷が起きないという意味ではありません。使用中の発赤、痛み、掻痒、水疱などを確認し、継続するか見直しましょう。

皮膚がテープと一緒に持ち上がったら、どうすればよいですか?

そのまま引っ張り続けず、いったん止めてください。皮膚を押さえ直し、必要に応じて粘着剥離剤や別の固定方法を検討します。出血や皮膚の裂けがみられる場合は、創の状態も確認して相談しましょう。

参考文献

  • 日本医科大学「高齢者の皮膚を守るケア」に関する資料、2016年。資料を見る
  • 「高齢者への医療用粘着テープの剥離方法に関する研究:皮膚への影響に対する剥離角度の検討」原著研究のデータベース掲載情報。情報を見る
  • Prevention of medical adhesive-related skin injury during patient care. 2022. 論文を見る
  • Solventum「MARSI(医療用粘着剤関連皮膚損傷)から皮膚を守るために」2025年更新。資料を見る
  • Solventum「サージカルテープ剥離時の皮膚裂傷から皮膚を守るために」2023年。資料を見る
  • 日本創傷・オストミー・失禁管理学会「スキン-テアの理解と実践」。資料を見る

実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!

実習記録って、書き始めるまでが大変ですよね…😢

そんなときは、「AI看護学生 あいちゃん」を使ってみてください!
実習目標や看護計画など、あなたの「どうしよう…」を一緒に考えてくれます。

\ 看護学生なら無料!使ってみてね! /

LINEで友だち追加するだけ!
実習中の「ちょっと困った…」を、あいちゃんに相談してみよう😊


LINEで友だち追加

この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

ユウ塾長をフォローする
看護技術
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました