採血後に圧迫する理由|揉んではいけないのはなぜ?看護師・看護学生が押さえるポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、採血が終わったあとに「なぜしばらく押さえるの?」「揉んだほうが早く治るのでは?」と疑問に思ったことはありませんか?
採血後は、絆創膏を貼って終わりのように見えます。しかし、圧迫が不十分だったり、採血部位を揉んだりすると、青あざや腫れ、皮下血腫につながることがあります。
今回は、採血後に圧迫する理由と、圧迫時間の目安、看護師・看護学生が確認したいポイントについて解説します。
結論:採血後は、揉まずに5分程度しっかり圧迫する
まず結論をいうと、採血後に圧迫するのは、穿刺した静脈の穴からの出血を止め、皮下血腫や再出血を防ぐためです。
基本的な対応は、次のとおりです。
- 抜針後すぐに、穿刺部を確認しながら圧迫する
- 採血部位を揉まない
- 通常は5分程度、しっかり圧迫する
- 抗凝固薬・抗血小板薬を内服している人や、出血しやすい人は、10分程度など長めに圧迫する
- ガーゼを外したあと、にじみ出血や腫れがないか確認する
- 採血当日は、採血した腕で重い物を持つことを避ける
ざっくり言うと、採血後の圧迫は「念のため」ではありません。
血管にできた小さな傷を、血液が漏れない状態にするための処置です。
読了目安
約12分
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 採血後に圧迫する理由
- 採血部位を揉んではいけない理由
- 通常時と出血しやすい人の圧迫時間
- 看護師・看護学生が確認したい止血のポイント
- 患者さんへ説明するときの言い方
根拠:採血後は血管に小さな傷が残っている
採血では、針を静脈に刺して血液を採取します。
針を抜いたあと、皮膚の傷は小さく見えても、静脈の壁には針による傷が残っています。そのため、抜針直後は、穿刺部位から血液が皮下へ漏れる可能性があります。
青森労災病院の解説では、採血後の圧迫によって出血部位の血流を抑え、血小板の凝集や血栓形成による止血を助けると説明されています。
つまり、圧迫には次のような意味があります。
血管の傷口に血液が流れ込み続けないようにし、止血が進みやすい状態をつくる
圧迫が不十分なままだと、血液が皮下に漏れて、次のような変化が起こることがあります。
- 青あざ
- 腫れ
- 痛み
- 皮下血腫
- いったん止まったあとの再出血
東京都立病院機構の採血に関する案内や、東京都立大塚病院の説明でも、採血後は圧迫して止血し、揉まないように案内されています。
採血後に揉んではいけないのはなぜ?
採血後に、患者さんから「揉んだほうがいいですか?」と聞かれることがあります。
しかし、採血部位を揉むのは避けます。
理由は、揉むことで、形成されかけた止血を妨げたり、血液が周囲へ広がったりする可能性があるためです。その結果、皮下出血や血腫につながることがあります。
横浜市立大学附属病院の採血に関する資料でも、採血後は押さえるだけにして、揉まないように説明されています。
ただし、採血後に揉まないことについては、文献上の直接的なエビデンスが十分に整理されているわけではないという解説もあります。医学・医療の電子コンテンツ掲載の解説では、「揉まない」という実務上の対応について、直接的な根拠は乏しいとされています。
そのため、ここは少し整理が必要です。
- 医療機関や学会の実務資料では「揉まない」と案内されている
- 揉むことで皮下出血を広げる可能性があるため、安全上避ける対応になっている
- 一方で、「揉むと必ず血腫になる」という強い直接的エビデンスが示されているわけではない
このように、ガイドラインや医療機関の案内と、研究上の直接的な根拠は分けて考える必要があります。
現場では、採血後の止血を確実にするため、揉まずに圧迫するという対応が基本です。
圧迫時間はどのくらい?
通常は5分程度
通常の採血では、5分程度の圧迫が目安とされています。
日本検査血液学会の「標準採血法ガイドラインに基づく正しい採血法(2021)」では、採血後の圧迫について、通常は5分程度、出血傾向がある場合はより長く圧迫する考え方が示されています。
また、東京都立病院機構の患者向け資料や、東京都立大塚病院の案内でも、採血後は5分程度圧迫するよう説明されています。
ここで大切なのは、「5分」という時間だけではありません。
圧迫の途中で何度もガーゼを外すと、止血の状態を確認できる一方で、十分な圧迫が続かなくなることがあります。
患者さんに自分で押さえてもらう場合は、次のように具体的に説明します。
「このガーゼの上から、5分程度しっかり押さえてください。途中で外したり、揉んだりしないようにしてください」
抗凝固薬・抗血小板薬を使用している場合は長めにする
抗凝固薬や抗血小板薬を内服している人、出血しやすい既往がある人では、通常より長めの圧迫が必要になることがあります。
目安として、10分程度以上の圧迫が案内されています。
東京都立広尾病院の「採血を受けられる患者さんへのお願い」では、抗凝固薬などを使用している場合に、通常より長く圧迫するよう説明しています。
また、横浜市立大学附属病院の資料でも、出血しやすい人では圧迫時間を延長することが示されています。
ここで注意したいのは、薬を飲んでいるからといって、自己判断で薬を中止しないことです。
看護師は、抗凝固薬・抗血小板薬の使用状況や出血傾向の有無を確認したうえで、施設の手順に沿って圧迫時間や観察方法を調整します。
止血できたかは、時間だけで判断しない
5分、あるいは10分圧迫したからといって、必ず止血できているとは限りません。
ガーゼを外したときに、次の点を確認します。
- 穿刺部から血液がにじんでいないか
- 腫れが出ていないか
- 腫れが大きくなっていないか
- 痛みが強くなっていないか
- 皮膚の色が変化していないか
- ガーゼを外したあとに再出血していないか
東京都立大塚病院の採血に関する案内では、採血部位を確認し、出血が続いていないことを確認する考え方が示されています。
日本骨髄バンクの採取マニュアルでも、止血の確認では、にじみ出血がないことなどを確認しています。
ざっくり言うと、止血の判断は「何分押さえたか」だけではなく、実際に出血や腫れが止まっているかで考えます。
皮下血腫ができたときに見ること
採血後に、穿刺部位の周囲が膨らんだり、青紫色になったりすることがあります。
これは、血管から漏れた血液が皮下にたまっている状態、つまり皮下血腫の可能性があります。
その場合は、次の変化を観察します。
- 腫脹の範囲
- 疼痛の程度
- 皮膚の色調変化
- 腫れが拡大しているか
- 出血が続いているか
東皮膚科の採血後の処置に関する説明や、横浜市立大学附属病院の資料でも、採血後の腫れや皮下出血について確認することが示されています。
血腫が疑われる場合は、施設の手順に沿って観察し、腫れや痛みが増える場合、出血が続く場合は、必要に応じて報告します。
看護師・看護学生が実践するときのポイント
1.抜針後すぐに圧迫を開始する
採血が終わったら、抜針した部位を確認しながら、すぐに圧迫を開始します。
患者さんに圧迫を任せる場合でも、最初に穿刺部位の状態を確認してから依頼します。
「押さえておいてください」だけではなく、次のように伝えると、患者さんも行動しやすくなります。
「このガーゼの真上を、指でしっかり押さえてください。5分くらい、揉まずにそのままお願いします」
2.圧迫する位置をずらさない
圧迫の位置がずれると、血管の穿刺部に十分な圧がかからないことがあります。
ガーゼや綿球を置いた位置と、押さえる指の位置がずれていないか確認します。
3.薬や既往歴を確認する
次のような情報がある場合は、通常より長めの圧迫や観察が必要になることがあります。
- 抗凝固薬を内服している
- 抗血小板薬を内服している
- 出血しやすい既往がある
- 過去に採血後の止血に時間がかかった
- 採血後に血腫ができやすい
必要な対応は、施設の手順や医師の指示に従います。
4.止血後もすぐに強く腕を使わない
採血当日は、採血した腕で重い物を持つことを避けるよう説明します。
東京都立病院機構の案内や、東京都立大塚病院の資料でも、採血後の生活上の注意として、重い物を持つことを控えるよう説明されています。
5.患者さんが揉もうとしたら、理由を添えて止める
「揉まないでください」とだけ言われると、患者さんは理由が分からないまま我慢することになります。
次のように説明すると、納得してもらいやすくなります。
「揉むと、止まりかけた血液が周囲に広がって、青あざや腫れが大きくなることがあります。押さえるだけにしてください」
筆者の体験談:私が看護師をしていた頃の採血後の場面
私が看護師をしていた頃、採血を終えた患者さんにガーゼを渡し、「ここを押さえていてください」と声をかけたことがありました。
少ししてから患者さんのところを見ると、ガーゼを押さえながら、もう片方の手で採血部位の周囲を軽く揉んでいました。
「どうしましたか?」と聞くと、患者さんは、
「揉んだほうが血が止まりやすいと思って」
と話してくれました。
私は最初、採血後に揉まないことは当然のように考えていました。でも、患者さんの立場からすると、「押さえる」と「揉む」の違いが分かりにくいのかもしれない、とそのとき思いました。
そこで、採血部位を確認してから、
「血を止めるために、今はこの場所を押さえるだけで大丈夫です。揉むと、青あざが広がることがあるので、ガーゼの上からそのまま押さえてください」
と説明しました。
幸い、その患者さんには大きな腫れや出血はありませんでした。ただ、私はその場面から、患者さんにお願いするときは、動作だけでなく理由も伝えたほうがよいと感じるようになりました。
それ以降は、「5分くらい」「揉まずに」「この場所を押さえる」と、できるだけ具体的に声をかけるようになりました。今振り返ると、採血後の短い説明の中にも、患者さんが迷わないための工夫が必要だったのだと思います。
まとめ:採血後は「揉まずに、しっかり圧迫」が基本
今回の記事のポイントをまとめます。
- 採血後の圧迫は、穿刺した静脈の穴からの出血を止めるために行う
- 圧迫不足は、青あざ、腫れ、皮下血腫、再出血につながることがある
- 通常は5分程度、抜針部をしっかり圧迫する
- 抗凝固薬・抗血小板薬の使用中や出血傾向がある場合は、10分程度など長めに圧迫する
- 採血部位は揉まず、押さえるだけにする
- 止血の判断は時間だけでなく、にじみ出血、腫れ、痛み、再出血の有無で確認する
- 採血当日は、採血した腕で重い物を持たないよう説明する
採血後の圧迫は、単に決められた時間を守るだけの処置ではありません。
穿刺部を見ながら、揉まずに、十分な時間圧迫し、止血できたかを確認することが大切です。
FAQ
Q1.採血後は何分押さえればよいですか?
通常は5分程度が目安です。
抗凝固薬・抗血小板薬を使用している場合や、出血傾向がある場合は、10分程度など、より長く圧迫することがあります。最終的には、施設の手順や患者さんの状態に合わせて判断します。
Q2.採血後に揉んでしまったらどうすればよいですか?
まずは採血部位を確認し、揉むのをやめて、ガーゼの上から圧迫します。
腫れや痛みが強くなっていないか、出血が続いていないかを確認してください。腫れが広がる、出血が止まらないなどの変化があれば、医療者へ相談します。
Q3.採血後に青あざができたのは失敗ですか?
青あざは、採血時に血液が皮下へ漏れることで生じることがあります。必ずしも採血手技の失敗とは限りません。
ただし、腫れや痛みが増える、血腫が大きくなる、出血が続く場合は、状態を確認し、必要に応じて相談や報告を行います。
Q4.抗凝固薬を飲んでいる場合、薬を休んでもよいですか?
採血後の出血を理由に、抗凝固薬や抗血小板薬を自己判断で中止してはいけません。
圧迫時間や観察について、医療機関の指示や施設の手順に従ってください。
参考文献
- 日本検査血液学会『標準採血法ガイドラインに基づく正しい採血法(2021)』、日本検査血液学会、公式PDF
- 東京都立病院機構 墨東病院「採血の素朴な疑問にお答えします」、公式ページ
- 東京都立病院機構 大塚病院「採血のお話」、公式ページ
- 東京都立病院機構 広尾病院「採血を受けられる患者さんへのお願い」、公式PDF
- 横浜市立大学附属病院「採血について」、公式PDF
- 青森労災病院「うみねこ通信」、公式ページ
- 東皮膚科「採血後の処置」、公式ページ
- 医学・医療の電子コンテンツ配信サービス掲載「採血後の処置に関する解説」、掲載ページ
- 日本骨髄バンク「骨髄採取マニュアル」、公式PDF
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