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経口・経鼻・胃ろう別の口腔ケア 判断と頻度のポイント

看護技術
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こんにちは、ユウ塾長です。経口・経鼻・胃ろうで栄養をとる患者さんの口腔ケアについて、どこまで必要なのか迷ったことはありませんか?「口から食べていないなら、歯磨きも少なくてよいのかな」と考えたくなりますよね。今回は、栄養経路ごとの違いと、口腔ケアの範囲や頻度をどう判断するかを整理します。

結論:栄養経路だけで、口腔ケアの要否や回数を決めない

口腔ケアが必要かどうかは、経口・経鼻・胃ろうのどれを使っているかだけでは決まりません。口腔内の汚れ、唾液や分泌物を誤嚥する可能性、嚥下や咳をする力、意識・呼吸状態、自分でケアできるかを合わせて判断します。

経鼻栄養や胃ろうで経口摂取をしていない場合も、唾液や口腔内の分泌物を誤嚥する可能性があります。そのため、口腔ケアを省略せず、患者さんの状態に合わせて清掃・保湿・必要時の吸引を検討します。

頻度については、公的資料に「1日3回」とする例も、「少なくとも1日1回」とする胃ろう患者向け資料もあります。一律の回数を当てはめるのではなく、口腔内の汚れや誤嚥リスクを見ながら個別に考えることがポイントです。

読了時間の目安

約8分

この記事でわかること

この記事では、次の点を一緒に整理します。

  • 経口・経鼻・胃ろうで、口腔ケアの考え方がどう違うか
  • 経口摂取がなくても口腔ケアが必要な理由
  • 回数や方法を決めるときに見るポイント
  • 口腔ケア中・ケア後に確認したいこと

結論の根拠:食べていなくても、唾液や分泌物の誤嚥は起こりうる

文部科学省の経管栄養に関する資料では、誤嚥性肺炎には食物だけでなく、唾液中の細菌や胃食道逆流による胃内容物の誤嚥も関係すると説明されています。つまり、口から食べていないことだけでは、誤嚥の可能性をなくせません。

また、胃ろうケアのパンフレットは、口から食べないことで唾液分泌や口腔内の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなることを説明しています。胃ろうから栄養を注入していても、口の中の清掃が不要になるわけではありません。

頻度の目安は資料によって異なります。厚生労働省の経管栄養に関する教材には、歯ブラシやスポンジブラシを使った口腔内の清掃を1日3回とする記載があります。一方、先ほどの胃ろうケアのパンフレットでは、完全胃ろう栄養の人について、少なくとも1日1回の口腔清掃を示しています。

これは、どちらか一方がすべての患者さんに当てはまるという意味ではありません。資料が示す頻度や対象を確認したうえで、患者さんごとの状態や施設の手順に合わせて調整しましょう。

栄養経路ごとの口腔ケア

栄養経路によって、口の中に残りやすいものや確認したいリスクは変わります。ただし、どの経路でも口腔内の状態を見ずに「ケアは不要」と判断しないことが大切です。

栄養経路主に確認すること口腔ケアの考え方
経口食物残渣、歯垢、舌苔、義歯、食後のむせ食後の口腔内を確認し、歯や舌などを清掃する
経鼻経管唾液・分泌物の貯留、嚥下や咳の力、口腔乾燥経口摂取がなくても清掃を続け、必要に応じて吸引を組み合わせる
胃ろう口腔内の汚れや乾燥、唾液の誤嚥、逆流の有無胃ろう部のケアとは別に、口腔内の清掃・保湿・観察を行う

経口摂取をしている場合

食事が口を通るため、歯間や頬の内側、舌などに食物が残ることがあります。食後は、残渣や義歯の汚れを確認し、できる範囲で歯磨きなどの清掃を行います。

嚥下障害がある場合は、食べかすだけでなく、食後のむせや湿った声などにも目を向けましょう。食事のあとにどのくらい介助が必要かは、患者さんの口腔内や嚥下の状態によって変わります。

経鼻経管栄養の場合

経鼻経管栄養では、口から食べていなくても、唾液や分泌物を誤嚥する可能性があります。口腔内の汚れや乾燥を確認し、歯がない場合も舌・頬の内側・口蓋などを清潔に保つことを考えます。

嚥下反射や咳をする力が弱い、分泌物が多い、意識が低下しているといった場合は、ケア中の誤嚥にも注意が必要です。状態に応じて吸引の準備や併用を検討し、チューブを引っ張らないよう固定状態にも気を配ります。

胃ろう栄養の場合

胃ろうは、栄養を胃に届ける方法です。胃ろうを造設しても、唾液や口腔内の分泌物を誤嚥する可能性は残ります。また、口から食べないことで口腔内の自浄作用が低下することもあります。

ここで混同しやすいのが、胃ろう部のケアと口腔ケアです。ろう孔周囲の皮膚を清潔に保つことと、口の中を清掃することは、目的が異なります。胃ろう部を観察していても、口腔内の汚れや乾燥の確認は別に行いましょう。

「どこまで必要か」は、口腔内と全身状態から考える

口腔ケアは、歯ブラシで歯を磨くだけではありません。歯が少ない人や無歯顎の人でも、舌や粘膜の汚れ、分泌物、乾燥などを確認します。

まずは、次のような点を見てみましょう。

  • 歯垢、舌苔、食物残渣、痰などが残っていないか
  • 口腔粘膜に乾燥、出血、痛みなどがないか
  • 唾液や分泌物が多く、口の中にたまっていないか
  • むせやすい、湿った声があるなど、嚥下に気になる変化がないか
  • 意識や呼吸の状態は安定しているか
  • 自分で歯磨きやうがいができるか
  • 義歯を使っている場合、汚れや食物残渣がないか

こうした状態を踏まえて、歯ブラシやスポンジブラシでの清掃、粘膜の清拭、保湿、義歯の洗浄などを組み合わせます。患者さんがどこまで自分でできるかも、必要な介助の程度を考える手がかりになります。

頻度は資料の目安をふまえて個別に考える

資料には、経管栄養者の口腔清掃を1日3回とする例と、完全胃ろう栄養者の清掃を少なくとも1日1回とする例があります。経口摂取者については、胃ろうケアのパンフレットに、食事の都度ケアを行う記載があります。

このように、資料によって対象や示し方が異なります。実際には、口腔内の汚れが強い、乾燥している、分泌物が多いといった状態を見て、回数や方法の見直しを検討します。施設の手順や患者さんごとのケア計画がある場合は、それに沿ってくださいね。

ケア中・ケア後の変化も見る

重症の患者さんや嚥下障害がある患者さんでは、口腔ケア中に水分や汚れが気道へ入ることがあります。愛知県の重症児・者向け口腔ケア資料では、意識状態、嚥下障害、姿勢、呼吸状態、吸引器の使用可否などを確認する考え方が示されています。

実施前には、患者さんの覚醒状態や呼吸、姿勢を確認します。必要な場合は、体を起こす、顔を横に向ける、吸引を準備するなど、安全に配慮した方法を選びましょう。水分を多く口腔内へ流し込まず、スポンジブラシを使う場合は水分を十分に絞ります。

ケア中に強いむせや咳が続く、呼吸が苦しそうになる、嘔吐や逆流が起きるといった変化があれば、いったん中断して状態を確認します。ケア後も、口腔内に汚れや水分が残っていないか、呼吸状態に変化がないかを見てください。

経管栄養の注入直後は、嘔吐や逆流にも注意が必要です。愛知県の資料は、経管・胃ろう栄養の場合、注入後30分以上経過してからのケアを示しています。また、東京都医師会の資料は、栄養前に行うか、注入直後を避ける考え方を説明しています。患者さんの状態や施設の手順を確認して、実施のタイミングを決めましょう。

実践ポイント:安全にケアするために確認したいこと

ケアの範囲や頻度を決めるときは、栄養経路だけでなく、実施前・実施中・実施後の患者さんの状態も合わせて見ていきましょう。

  • 実施前に覚醒状態、呼吸状態、姿勢を確認する
  • 嚥下反射や咳をする力が弱い、分泌物が多い場合は、吸引の準備や併用を検討する
  • 水分を多く口腔内へ流し込まず、スポンジブラシは水分を十分に絞る
  • 経鼻チューブを引っ張らないよう、固定状態に気を配る
  • 胃ろう部のケアと口腔内の清掃・保湿・観察を分けて行う
  • 強いむせや咳、呼吸苦、嘔吐や逆流があればいったん中断して状態を確認する
  • ケア後も、口腔内の汚れや水分、呼吸状態の変化を確認する
  • 注入直後を避けるなど、患者さんの状態や施設の手順に沿ってタイミングを決める

口腔ケアをすれば誤嚥そのものがなくなるわけではありません。口腔内の汚れだけでなく、嚥下や咳をする力、分泌物、意識・呼吸状態も合わせて確認し、必要なケアを考えましょう。

筆者の体験談:胃ろうの患者さんの口腔ケアを考える場面

経口摂取をしていない胃ろうの患者さんを担当する場面を考えてみましょう。口から食べていないため、最初は「食後のケアがないなら、口腔ケアの回数は少なくてもよいのだろうか」と迷うかもしれません。

そこで口腔内を観察すると、舌に汚れがあり、粘膜も乾燥していることに気づきました。患者さんの意識や呼吸の状態、分泌物の量も確認し、必要な介助や吸引の準備を考えます。

この場面で判断の手がかりになるのは、「食べているかどうか」だけではありません。口の中に汚れがあるか、唾液や分泌物を安全に飲み込めるか、自分でケアできるかを合わせて考えると、必要なケアが見えやすくなります。

まとめ:経路よりも、口腔内と誤嚥のリスクを見る

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 経口・経鼻・胃ろうのどれで栄養をとっていても、栄養経路だけで口腔ケアの要否は決められません。
  • 経口摂取がなくても、唾液や分泌物を誤嚥する可能性があります。
  • 口腔内の汚れ、乾燥、嚥下・咳の力、意識・呼吸状態、セルフケア能力を確認します。
  • 口腔ケアの頻度は資料によって示し方が異なるため、患者さんの状態や施設の手順に合わせて考えます。
  • ケア中だけでなく、ケア後の口腔内や呼吸状態も確認しましょう。

「食べていないから、口のケアもいらない」と決めつけず、まずは患者さんの口の中と全身状態を見てみてください。そこから、必要なケアの内容や頻度を考えていきましょう。

FAQ

胃ろうの患者さんは、口から食べていなくても歯磨きが必要ですか?

必要です。口から食べていなくても、唾液や口腔内の分泌物を誤嚥する可能性があり、口腔内の自浄作用が低下することもあります。歯がない場合も、舌や粘膜の汚れを確認しましょう。

経管栄養の口腔ケアは、1日何回が正解ですか?

すべての患者さんに共通する回数は、今回確認した資料からは示せません。厚生労働省の教材には1日3回、胃ろう患者向け資料には完全胃ろう栄養で少なくとも1日1回とする記載があります。口腔内の状態や誤嚥リスク、施設の手順を踏まえて判断してください。

口腔ケアをすれば、誤嚥性肺炎を防げますか?

口腔ケアは口腔内の汚れを除去するために大切ですが、誤嚥そのものをなくすものではありません。嚥下や咳の力、分泌物、呼吸状態なども合わせて評価し、必要なケアを検討します。

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この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

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