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点滴の滴下速度を確認する理由と看護師が見るポイント

看護技術
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点滴の滴下速度を確認する理由|看護師・看護学生が見るポイント

こんにちは、ユウです。

みなさんは、点滴の滴下速度を合わせたあと、「もう一度確認する必要はあるのかな?」と迷ったことはありませんか?

点滴は、最初に速度を合わせれば終わりのように見えます。しかし、患者さんが体を動かしたり、腕の位置が変わったりすると、滴下速度が変わることがあります。

今回は、点滴ルートの滴下速度を確認する理由と、看護師・看護学生が実際に見るポイントについて解説します。

結論:点滴の滴下速度は、設定どおりに続いているかを定期的に確認する

まず結論をいうと、点滴の滴下速度を確認するのは、設定した速度で輸液が続いているかを確かめ、投与量のズレやルート異常を早く見つけるためです。

確認するときは、滴下の速さだけでなく、次の項目も一緒に見ます。

  • 滴下速度が速くなっていないか、遅くなっていないか
  • 点滴ルートが屈曲・圧迫されていないか
  • クレンメや接続部に問題がないか
  • 刺入部に腫脹、発赤、痛み、漏れがないか
  • 患者さんの体位や腕の位置が変わっていないか
  • 輸液の残量や予定量と、大きなズレがないか

ざっくり言うと、点滴の確認は「滴下が落ちているか」を見るだけではありません。

設定した輸液が、患者さんに安全に投与され続けているかを確認する行為です。

この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • 点滴の滴下速度を確認する理由
  • 滴下速度が変化する原因
  • 速い・遅い・止まるときの確認ポイント
  • 看護師・看護学生が定期的に見るべき内容
  • 輸液ポンプを使用している場合の考え方

この記事の想定読了時間

約10分

根拠:滴下速度は途中で変化することがある

点滴の滴下速度は、一度合わせたらずっと同じとは限りません。

患者さんの体位や体動、腕の高さ、肘の曲がり方、ルートの屈曲や圧迫などによって、速度が変わることがあります。ナース専科の輸液に関する解説でも、患者さんの体位や腕の位置などが滴下速度に影響すると説明されています。

また、ナース専科の滴下速度に関する解説や、看護roo!の点滴に関する解説では、滴下が速くなったり遅くなったりする原因として、体位変化、ルートの屈曲・圧迫、閉塞、刺入部位の問題などが示されています。

そのため、点滴は「最初に合わせた速度」ではなく、途中でも設定どおりに続いているかを確認する必要があります。

PMDAの輸液関連資料でも、輸液中に定期的に巡回して確認することが示されています。

詳しい解説:滴下速度が変わると、何が問題なのか

1.滴下が速くなる場合

滴下が速くなると、予定していたよりも短い時間で輸液が入る可能性があります。

速くなるきっかけとして、次のようなものがあります。

  • 点滴ボトルやバッグと患者さんの高さの関係が変わった
  • 患者さんの体位が変わった
  • 腕の位置が変わった
  • クレンメの位置や開き方が変わった
  • 接続部などにゆるみがある

「さっきまで合っていたから大丈夫」と考えず、速くなっていることに気づいたら、ルートや患者さんの状態を確認します。

2.滴下が遅くなる、または止まる場合

滴下が遅くなったり止まったりすると、予定していた輸液が十分に投与されない可能性があります。

確認したいのは、次のような点です。

  • ルートが折れ曲がっていないか
  • 寝具や衣類でルートが押されていないか
  • 肘が曲がっていないか
  • 点滴ルートや接続部が外れていないか
  • 刺入部に腫れや痛みがないか
  • 輸液バッグが空になっていないか

ただし、滴下が止まっているからといって、原因を確認せずに無理に流そうとするのは避けます。施設の手順に従い、必要時は先輩看護師や医師へ相談します。

3.刺入部の変化も一緒に見る

滴下速度だけを見ていると、刺入部の異常を見逃すことがあります。

滴下の確認時には、刺入部に次の変化がないかも見ます。

  • 腫脹
  • 発赤
  • 痛み
  • 漏れ
  • 皮膚の変化

ナース専科の解説では、滴下速度の変化とあわせて、刺入部の状態を確認することが説明されています。

つまり、点滴の観察では、

滴下筒を見ることと、患者さんの腕を見ることをセットにする

と考えると分かりやすいです。

どのくらいの頻度で確認するのか

今回確認できた資料からは、「全国共通で何分ごとに確認する」という統一された公的基準値は確認できませんでした。

一方で、看護roo!の解説では、少なくとも1時間に1度は注入速度を確認するという実践指針が紹介されています。また、PMDAの輸液関連資料では、輸液中にも定期的に巡回して確認することが示されています。

そのため、実際の看護では、

  • 施設の手順
  • 患者さんの状態
  • 輸液の内容
  • 輸液ポンプを使用しているか
  • 体位変換や歩行などの前後

を踏まえて、定期的に確認します。

特に、患者さんが起き上がったあと、歩行したあと、トイレから戻ったあとなどは、体位や腕の位置が変わっている可能性があります。こうした場面では、滴下速度を再確認する意識が大切です。

輸液ポンプを使っていても確認は必要

輸液ポンプを使用している場合、「機械で流量を管理しているから、滴下確認は不要」と考えてしまうことがあります。

しかし、輸液ポンプを使っていても、ルートの屈曲や圧迫、刺入部の異常、接続部の問題などをすべて防げるわけではありません。

輸液ポンプは流量管理を補助する機器ですが、患者さんの状態やルート全体を代わりに観察してくれるものではありません。PMDAの輸液関連資料も確認しながら、機器だけに頼らず、患者さんとルートを確認します。

看護師・看護学生が実践するときのポイント

1.まず滴下の速さを見る

滴下が、

  • 予定どおりか
  • 速すぎないか
  • 遅すぎないか
  • 止まっていないか

を確認します。

2.次にルート全体を見る

滴下速度に変化があった場合は、ルートを目でたどります。

  • 屈曲していないか
  • 圧迫されていないか
  • 接続が外れていないか
  • クレンメの状態に問題がないか
  • 固定がずれていないか

を確認します。

3.刺入部と患者さんの訴えを確認する

滴下速度だけでなく、患者さんに、

「痛みはありませんか?」

「点滴の周囲が腫れていませんか?」

などと確認します。

刺入部の腫れや痛み、漏れなどがある場合は、血管外漏出などの異常を疑い、施設の手順に沿って対応します。

4.体位変化の前後で再確認する

患者さんが寝た状態から起き上がったときや、歩行したときは、滴下速度が変わっていることがあります。

そのため、体位変化の前後では、

「姿勢が変わったから、点滴も確認する」

と意識しておくと、確認漏れを減らしやすくなります。

5.異常があれば記録と報告につなげる

滴下速度の変化や刺入部の異常を見つけた場合は、いつから、どのような変化があったのかを整理します。

報告時には、次のような情報があると伝わりやすくなります。

  • 輸液の種類
  • 設定速度
  • 実際の滴下状態
  • 速度が変化した時間
  • ルートや刺入部の状態
  • 患者さんの訴え
  • 体位変化の有無

輸液速度管理に関するエラー要因を分析した原著論文として、「輸液速度管理におけるエラーの要因分析」があります。点滴の速度管理では、観察が十分に行われているかどうかも重要な要素になります。

筆者の体験談

私が看護師をしていた頃、点滴をしている患者さんの巡視に行ったときのことです。

その患者さんはベッドで休んでいましたが、少し前にトイレへ歩いて行ったと聞いていました。私は最初、「点滴はいつもどおり流れているだろう」と考えて、何気なく滴下筒を見ました。

すると、先ほど確認したときよりも滴下が遅くなっていました。

「歩いたあとだから、腕の位置が変わったのかな」

そう思いながらルートをたどると、患者さんの肘が少し曲がっていて、ルートも寝具に押されていました。刺入部を見ると、患者さんは「少し違和感がある」と話しました。

私は、単に滴下速度だけを元に戻せばよいのか、それとも刺入部の状態をもう少し確認したほうがよいのか迷いました。そこで、先輩看護師に状況を伝え、一緒に刺入部とルート全体を確認しました。

そのときの私は、点滴の観察というと「滴下筒を見て、速さが合っているかを確認すること」だと思っていました。

でも、実際には、患者さんが動いたこと、腕の位置、ルートの状態、刺入部の訴えがつながっていました。

この経験があってから、私は滴下速度だけを単独で見るのではなく、「患者さんの動作や体位が変わったあとではないか」と考えるようになりました。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 点滴の滴下速度を確認する目的は、安全に輸液を続けること
  • 滴下速度は、体位や体動、腕の位置、ルートの屈曲などで変化する
  • 滴下が速い、遅い、止まる場合は、ルートと刺入部を確認する
  • 刺入部の腫れ、発赤、痛み、漏れにも注意する
  • 体位変化や歩行の前後は、滴下速度を再確認する
  • 輸液ポンプを使用していても、患者さんとルートの観察は必要
  • 確認頻度は施設手順や患者さんの状態、輸液内容に応じて判断する

点滴は、一度速度を合わせたら終わりではありません。

「途中で変わっていないか」を定期的に確認することが、点滴を安全に続けるための観察です。

FAQ

Q1.点滴の滴下速度は、最初に合わせれば確認しなくてもよいですか?

いいえ。滴下速度は、体位や体動、腕の位置、ルートの屈曲・圧迫などで変化することがあります。

そのため、輸液中も定期的に確認します。

Q2.滴下が遅いときは、クレンメを開けばよいですか?

まず、ルートの屈曲や圧迫、刺入部の状態、患者さんの体位などを確認します。

原因を確認せずに自己判断で調整するのではなく、施設の手順に従い、必要時は先輩看護師や医師へ相談します。

Q3.輸液ポンプを使用していれば、滴下速度の確認は不要ですか?

いいえ。輸液ポンプを使用していても、ルートの屈曲・圧迫や刺入部の異常を完全に防ぐことはできません。

機器の表示だけでなく、患者さんの状態、ルート、刺入部を確認します。

Q4.滴下速度は何分ごとに確認すればよいですか?

今回確認できた資料からは、全国共通の確認間隔は確認できませんでした。

施設の手順、患者さんの状態、輸液内容などに応じて、定期的に確認します。公開されている看護解説では、少なくとも1時間に1度は注入速度を確認するという実践指針も紹介されています。

参考文献

  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「輸液」:PMDA資料
  • 看護roo!「点滴に関する解説」:看護roo!
  • ナース専科「滴下速度に関する解説」:ナース専科
  • ナース専科「輸液に関する解説」:ナース専科
  • 「輸液速度管理におけるエラーの要因分析」:公開PDF

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この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

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