尿道カテーテル留置中に尿量が減ったときの確認ポイント|看護師・看護学生が最初に見ること
こんにちは、ユウです。
みなさんは、尿道カテーテルを留置している患者さんの尿量が急に減ったとき、最初にどこを確認しますか?
「腎臓で尿が作られていないのかな」と考えることもありますよね。でも実際には、尿は作られているのに、カテーテルの途中で流れが止まっている場合もあります。
今回は、尿道カテーテル留置中に尿量が減ったとき、看護師・看護学生が最初に確認したいことを中心に解説します。
結論:まず尿の「流れ」を確認する
尿道カテーテル留置中に尿量が減ったときは、まず次の2つを分けて考えます。
- 腎臓で尿が作られていない
- 尿は作られているが、カテーテルを通って流れていない
最初に確認したいのは、尿バッグへ尿が流れているかどうかです。
そのうえで、次の項目を確認します。
- チューブが屈曲・ねじれ・圧迫していないか
- 尿バッグが適切な位置にあるか
- チューブが牽引されていないか
- 接続部や固定に問題がないか
- 血塊や浮遊物がないか
- 下腹部の膨満、痛み、不快感がないか
- 尿漏れや血尿がないか
ざっくり言うと、尿量の数字だけを見るのではなく、尿が通る道に問題がないかを先に見るということです。
目安の読了時間
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この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 尿量低下を「尿が作られない場合」と「流れない場合」に分ける考え方
- カテーテルの閉塞や流出障害を疑う観察ポイント
- 下腹部の膨満や血尿を確認する理由
- 看護師・看護学生が報告・相談につなげるときの視点
- 尿量の数値だけで判断しないための注意点
根拠:尿量低下には「尿産生低下」と「流出障害」がある
尿量が減ったとき、原因は大きく2つに分けて考えます。
1つ目は、脱水や循環血液量の低下、腎機能の低下などによって、腎臓で作られる尿そのものが減っている場合です。
2つ目は、尿は作られているものの、カテーテルの屈曲や閉塞などによって、尿がバッグまで流れていない場合です。
看護実務の解説では、尿量低下をこの2つに分け、まず尿バッグへの流れやカテーテル経路を確認する考え方が示されています。ナース専科の解説でも、尿量が少ないときには、尿が作られていないのか、カテーテルから排出されていないのかを見分けることが重要とされています。
また、北海道大学病院の尿路カテーテル管理資料や、看護師向けの実務解説でも、尿の流れ、チューブの屈曲、尿バッグの位置、下腹部症状などを観察項目として挙げています。
つまり、尿量が減ったときに、いきなり「腎機能が悪化した」と決めつけるのは早いということです。
まずは、尿が流れる経路に問題がないか確認します。
尿道カテーテル留置中に尿量が減ったときの確認ポイント
1.尿バッグへ尿が流れているか
最初に見るのは、尿バッグに尿が入っているか、そしてチューブ内を尿が流れているかです。
尿バッグに尿がほとんど入っていない場合でも、すぐに「尿が出ていない」と判断するのではなく、チューブ全体をたどって確認します。
患者さんの身体側から尿バッグまで、尿の通り道を順番に見るイメージです。
2.チューブの屈曲・ねじれ・圧迫
ベッド柵や寝具、患者さんの身体などで、チューブが押されていないでしょうか。
よくある流れの障害には、次のようなものがあります。
- チューブが折れ曲がっている
- ねじれている
- 身体の下に入り込んでいる
- ベッドや車いすに挟まれている
- カテーテルが牽引されている
尿道カテーテルの閉塞原因に関する解説では、屈曲、ねじれ、圧迫、位置不良、血塊、浮遊物などが閉塞につながる要因として説明されています。
「チューブはつながっているから大丈夫」とは限りません。見た目には接続されていても、途中で折れ曲がっていれば尿は流れにくくなります。
3.尿バッグの位置と固定
尿バッグの位置も確認します。
チューブが引っ張られていないか、固定が外れていないか、患者さんの動作で位置が変わっていないかを見ます。
尿バッグやチューブの位置に問題があると、尿の流れが悪くなることがあります。北海道大学病院の資料でも、尿がバッグへ流れているか、チューブの屈曲やバッグ位置を観察することが示されています。
4.下腹部の膨満や痛み
尿バッグに尿が流れていないときは、患者さんの下腹部にも注目します。
- 下腹部が張っていないか
- 膀胱のあたりに痛みや不快感がないか
- 尿が出ない感じを訴えていないか
- カテーテルの周囲から尿が漏れていないか
尿がカテーテルを通らず、膀胱内にたまっている場合には、下腹部の膨満や不快感が見られることがあります。
名古屋大学の排尿管理資料では、残尿がある状態では排出障害だけでなく、尿路感染、膀胱結石、腎機能障害などのリスクにも触れられています。
尿がバッグにないときは、バッグだけでなく、患者さんの身体にも変化がないか確認します。
5.血尿や凝血塊、浮遊物
尿の性状も確認します。
- 血尿がないか
- 血の塊が混じっていないか
- 浮遊物が見られないか
- いつもと色や性状が違わないか
血塊や浮遊物は、カテーテルの閉塞に関係することがあります。尿道カテーテル閉塞の解説や、日本赤十字社の資料でも、尿の性状や閉塞の有無を確認することが説明されています。
血尿や凝血塊があり、尿の流れも悪い場合は、自己判断で様子を見るのではなく、施設の手順に沿って速やかに報告・相談します。
6.全身状態と尿産生の低下
カテーテルに問題がなさそうで、それでも尿量が減っている場合は、尿が作られる段階の問題も考えます。
確認したいのは、次のような項目です。
- バイタルサインの変化
- 水分摂取の状況
- 脱水を疑う変化
- 全身状態の変化
- 尿量が減り始めた時間
- それまでの尿量の推移
尿道カテーテルが入っているからといって、尿が必ず一定量出るわけではありません。カテーテル経路に異常がなくても、身体の状態によって尿産生自体が減ることがあります。
尿量の数値だけで判断しない
一般的な尿量の目安として、看護教材では次のように整理されています。
- 正常:500~2000mL/日
- 乏尿:400mL以下
- 無尿:100mL以下
これらは看護教材サイトに示されている整理です。
ただし、尿道カテーテル留置中に尿量が減ったとき、「この数値になったら最初にカテーテルを確認する」という単一の全国共通基準が示されているわけではありません。
そのため、実際には数値だけでなく、
- いつから減ったのか
- 直前まで尿は流れていたのか
- チューブに問題はないか
- 下腹部の膨満や痛みはないか
- 全身状態に変化はないか
を合わせて考えます。
ざっくり言うと、数値は大切ですが、数値だけでは原因までは分からないということです。
看護師・看護学生が実践するときのポイント
「尿が少ない」ではなく「尿がどこで止まっているか」と考える
尿量が少ないと報告を受けたとき、まず確認したいのは「何mLか」だけではありません。
尿バッグに流れていないのか、チューブ内には尿があるのか、患者さんの膀胱内に貯留していそうなのかを整理します。
観察した内容を具体的に報告する
報告するときは、「尿が出ていません」だけで終わらせず、次のように観察内容を伝えると状況が共有しやすくなります。
- 最後に尿を確認した時間
- その後の尿量
- チューブの屈曲や圧迫の有無
- 尿バッグの位置
- 尿の色や血塊の有無
- 下腹部膨満や痛みの有無
- バイタルや全身状態の変化
カテーテルの操作や交換などが必要になる場合は、施設の手順と指示に従います。看護師・看護学生が独断で処置を進めるのではなく、観察した事実を整理して報告・相談することが重要です。
尿バッグだけを見て終わらない
尿バッグに尿がないと、ついバッグだけを確認して終わってしまうことがあります。
しかし、問題があるのはバッグではなく、患者さん側のカテーテルやチューブかもしれません。患者さんの下腹部や苦痛の有無まで確認して、全体として考えるようにします。
筆者の体験談
私が看護師をしていた頃、夜勤中に「この患者さん、尿が少ないです」と声をかけられたことがありました。
記録を見ると、数時間前までは尿バッグに尿がたまっていました。でも、その後の尿量がほとんど増えていません。
最初は、患者さんの全身状態が悪くなって尿が減っているのかもしれないと思いました。水分摂取も少なかったので、脱水の影響も頭に浮かびました。
ただ、患者さんのところへ行くと、「さっきから下腹部が少し張る感じがする」と話されました。
そこで、私はバッグの中だけを見るのではなく、チューブを患者さん側から順番に確認しました。すると、ベッドの柵と寝具の間でチューブが折れ曲がっていました。
折れ曲がりを整えると、その後、チューブ内を尿が流れ始めました。患者さんも「少し楽になった」と話されました。
そのとき私は、尿量が減った原因を最初から身体の中の問題だと考えかけていたことに気づきました。もちろん、尿産生が減っている可能性もあります。でも、カテーテルが入っている患者さんでは、「尿は作られているのに流れていない」という視点を持たないと、確認の順番を間違えてしまうことがあります。
この経験があってから、尿量が減ったときは、数字だけでなく、尿の通り道と患者さんの下腹部を一緒に見るようになりました。
この体験談は医学的根拠を示すものではなく、尿量低下時の観察場面をイメージするためのものです。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- 尿量が減ったときは、「尿が作られていない」のか「流れていない」のかを分けて考える
- 最初に、尿バッグへ尿が流れているか確認する
- チューブの屈曲、ねじれ、圧迫、牽引、接続、固定、バッグ位置を確認する
- 下腹部膨満、痛み、不快感、尿漏れがあれば閉塞や尿閉を考える
- 血尿、凝血塊、浮遊物は閉塞の原因になることがある
- カテーテルに問題がなければ、脱水や腎機能低下など尿産生の低下も考える
- 尿量の数値だけで判断せず、経過と患者さんの状態を合わせて報告・相談する
尿道カテーテル留置中の尿量低下では、まず「本当に尿が出ていないのか、それとも途中で止まっているのか」を確認することが大切です。
FAQ
Q1.尿バッグに尿が入っていなければ、無尿ですか?
いいえ。尿が作られていても、チューブの屈曲や閉塞によってバッグまで流れていない可能性があります。
まずはチューブ全体、バッグの位置、患者さんの下腹部症状を確認します。
Q2.尿量が少ないときは、何mLから注意すればよいですか?
看護教材では、乏尿を400mL以下、無尿を100mL以下と整理しています。ただし、尿道カテーテル留置中の初期対応を、単一の数値だけで判断することはできません。
尿量の推移や、カテーテルの流れ、下腹部の膨満、全身状態を合わせて判断します。
Q3.尿が流れないとき、すぐにカテーテルを抜いてもよいですか?
自己判断で抜去せず、施設の手順に従って、必要時は看護師や医師へ報告・相談します。
閉塞の原因や患者さんの状態によって対応が異なるため、観察した内容を具体的に伝えることが重要です。
参考文献
- 北海道大学病院 感染制御部門「尿道留置カテーテル管理」公開資料
- 名古屋大学「排尿管理マニュアル」排泄ケア・排尿管理資料
- 日本赤十字社 武蔵野赤十字病院尿道カテーテルに関する資料
- ナース専科「尿量低下時の観察・アセスメント」解説記事
- マイナビ看護師「尿道カテーテル管理の観察ポイント」看護師向け解説
- 看護師向け解説「尿道カテーテル閉塞の原因とサイン」解説記事
- 看護教材サイト「尿量の基準と尿道カテーテル」教材ページ
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
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看護技術クイックノート 第2版
著者:石塚睦子
出版社:照林社
看護技術の手順や根拠、感染予防を写真やイラストで手早く確認でき、カテーテル観察・管理の実践的な確認に最も役立つため。
フィジカルアセスメント 根拠からわかる!実習で実践できる!
著者:中村充浩
出版社:照林社
下腹部触診やバイタル・観察項目の根拠に基づくフィジカルアセスメントを学べ、尿量減少の鑑別や報告につなげやすいため。
看護の現場ですぐに役立つ 症状別看護過程
著者:大口祐矢
出版社:秀和システム
症状(尿量低下)を起点にした看護過程の考え方が学べ、観察事項の整理や報告内容の構築に役立つため。
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