看護の関連図を書くとき、「途中で情報を追加する場所がなくなった」「修正を重ねて紙が見づらくなった」という経験はありませんか。
手書きの関連図には、思いついた内容をすぐに書き込める良さがあります。一方で、実習が進むと新しい検査結果や患者さんの反応が増え、図形の移動や矢印の引き直しが必要になることも少なくありません。
私も学生の頃は、大きな用紙に関連図を書き、後から情報を加えようとして余白が足りなくなったことが何度もありました。紙を継ぎ足したり、小さな文字で無理に書き込んだりして、完成した頃には自分でも流れを追いにくくなっていたことを覚えています。
そこで役立つのが、Microsoft Wordの図形とコネクタを使って関連図を作成する方法です。パソコンなら、図形の移動、文章の修正、矢印の引き直し、複製がしやすくなります。
この記事では、Wordを使って看護の関連図を作る手順と、見やすく仕上げるコツを初心者向けに説明します。
パソコンで看護の関連図を書くメリット
- 患者情報の追加や文章の修正がしやすい
- 図形を移動して、全体の配置を整えられる
- 同じ形式の図形をコピーして使える
- 矢印や線の種類を統一できる
- 色分け、整列、グループ化ができる
- 完成した関連図をPDFで保存できる
ただし、パソコンを使えば自動的に良い関連図ができるわけではありません。関連図で最も大切なのは、患者さんの情報を病態、治療、生活への影響、看護問題へと根拠をもってつなげることです。Wordは、その考えを整理して見せるための道具として使いましょう。
関連図の内容やつなげ方に迷う場合は、先に病態関連図の書き方も確認してみてください。
完成した関連図のイメージ
Wordの図形とコネクタを使うと、次のような関連図を作成できます。

四角の中に患者情報や病態、看護問題を入力し、それぞれの関係を矢印で示します。最初から完成形を作ろうとせず、情報を配置してから少しずつ位置を調整するのがコツです。
作成前に準備するもの
- パソコン
- デスクトップ版のMicrosoft Word
- 関連図に使用する患者情報や学習資料
- 必要に応じてA3印刷ができる環境
この記事ではWindows版のWordを例にします。Microsoft 365、Word 2024、Word 2021などでは、基本的な操作は共通しています。ただし、Wordのバージョンや画面幅によって、タブ名やボタンの位置が異なることがあります。
Mac版では、同じ機能でもCtrlキーの代わりにCommandキーを使う場合があります。学校のパソコンやWordのWeb版では一部の機能が制限されることがあるため、提出前に図形や文字の配置が崩れていないか確認してください。
最初に関連図の内容を整理する
Wordを開く前に、関連図へ入れる情報を大まかに分類しておくと作業が進みやすくなります。
- 基本情報:年齢層、性別、入院までの経過など
- 疾患・病態:原因、解剖生理、症状が生じる機序
- 検査・治療:検査値、手術、薬物療法、処置など
- 患者さんへの影響:疼痛、食事、排泄、睡眠、活動、心理面、家族・社会面など
- 看護上の問題:現在起きている問題と、今後予測されるリスク
- 必要な観察・援助:看護問題の解決に必要な内容
病名から一般的な症状を並べるだけでは、患者さん個人の関連図にはなりません。「この患者さんに実際にある情報」と「病態から予測して観察する情報」を区別して配置しましょう。
Wordで看護の関連図を書く手順
1.用紙を横向きに設定する
Wordで新しい文書を開き、「レイアウト」→「印刷の向き」→「横」を選択します。次に、提出方法に合わせて「レイアウト」→「サイズ」からA3またはA4を選びます。

A3横は広い範囲を使えますが、学校でA3印刷できるとは限りません。提出用紙の大きさ、印刷方法、提出形式を先に確認してください。余白を狭くしたい場合は、「レイアウト」→「余白」から調整できます。
ページ設定の操作は、Microsoft公式のページの向きを横向きまたは縦向きに変更する、文書のレイアウトを変更するでも確認できます。
2.描画キャンバスを挿入する
「挿入」→「図形」→「新しい描画キャンバス」を選択します。文書内に白い枠が表示されたら、四隅や辺のハンドルをドラッグし、関連図を作る範囲まで広げます。


描画キャンバスは必須ではありませんが、図形やコネクタをひとまとまりに扱いやすくなります。関連図のように複数の図形を使う場合は、最初に作っておくと便利です。
3.患者情報を入れる図形を作る
「挿入」→「図形」→「正方形/長方形」を選び、描画キャンバスの中でドラッグします。

図形を選択し、「図形の書式」→「図形の塗りつぶし」→「塗りつぶしなし」を選びます。続いて、「図形の枠線」から色を黒、太さを1pt程度に設定すると、すっきりした枠になります。


実際に起きている問題と、今後起こる可能性があるリスクを区別したい場合は、枠線を実線と破線に分ける方法があります。ただし、色や線の意味は自分の中で統一し、必要なら図の端に凡例を付けましょう。

4.図形の中に文字を入力する
図形を選択した状態で文字を入力するか、図形を右クリックして「テキストの追加」を選びます。文字が入りきらない場合は、文字を小さくしすぎる前に、図形を少し大きくするか文章を簡潔にします。


同じ形式の図形を増やすときは、作成した図形を選び、Ctrl+Cでコピー、Ctrl+Vで貼り付けます。枠線や文字サイズを毎回設定せずに済むため、関連図全体の見た目もそろいます。
5.コネクタで図形をつなぐ
「挿入」→「図形」→「線」から、直線矢印コネクタやカギ線矢印コネクタを選びます。図形の接続ポイントから別の図形の接続ポイントまでドラッグしてください。

コネクタが接続ポイントに正しくつながっていれば、図形を移動したときに線の端も追従します。単なる直線でつないだ場合は、図形を動かしても線が残ることがあるため注意しましょう。

コネクタの使い方は、Microsoft公式の線またはコネクタを描画または削除するで確認できます。記事名のURLはPowerPointになっていますが、図形とコネクタの基本操作はWordでも共通する部分があります。
6.矢印の方向と意味を統一する
矢印は、単に近くの図形同士をつなぐためのものではありません。「原因から結果へ」「患者情報から看護問題へ」など、何を表しているのかが分かる向きにします。
- 原因から結果へ向けて矢印を引く
- 双方向に影響する場合だけ両矢印を使う
- 関係を説明しにくい線は、つなぐ根拠を再確認する
- 交差する線をできるだけ減らす
- 線の色、太さ、矢印の種類を増やしすぎない
線の色や太さは、図形を選択して「図形の書式」→「図形の枠線」から変更できます。詳しい操作はMicrosoft公式の線の色、スタイル、太さを変更するを参照してください。

7.コネクタが重なる場合は曲がる位置を調整する
カギ線コネクタを選択すると、線の途中に調整用のハンドルが表示されます。そのハンドルをドラッグすると、線が曲がる位置を変更できます。

線が図形や文字の上を通ると関係が分かりにくくなります。コネクタの経路を変えるだけでなく、図形の位置や関連図全体の並びも見直しましょう。
8.図形を整列し、グループ化する
複数の図形をCtrlキーを押しながら選択し、「図形の書式」→「配置」から左揃え、上下中央揃え、横方向に整列などを選ぶと、配置をそろえられます。
ひとまとまりの図形を選択して「グループ化」すると、複数の図形をまとめて移動・拡大・縮小できます。グループ化の手順は、Microsoft公式のWord内の図形、図、その他のオブジェクトをグループ化するで確認できます。
細かく位置をそろえたい場合は、グリッドを利用する方法もあります。Microsoft公式のグラフ、図、オブジェクトをグリッドに合わせるも参考になります。
9.保存してPDFで確認する
作業中はこまめに保存しましょう。完成したらWordファイルだけでなくPDFでも保存し、文字切れ、図形のずれ、線の欠けがないか確認します。
- 画面を縮小し、関連図全体の流れを確認する
- PDFを開いて、文字や線の位置を確認する
- 印刷する場合は、用紙サイズと拡大・縮小設定を確認する
- 提出形式がWord、PDF、紙のどれなのか確認する
見やすい関連図にする6つのコツ
1.中心となる情報を先に配置する
患者さんの主要疾患や中心となる状態を先に置き、その周囲へ原因、症状、検査、治療、生活への影響を広げると、全体の構造を作りやすくなります。
2.文章を短くする
一つの図形へ長文を詰め込むと、文字が小さくなり、関係も追いにくくなります。必要な情報を短い語句や一文にまとめ、詳細な説明は実習記録へ書き分けましょう。
3.色には役割を持たせる
色分けする場合は、「患者さんから得た情報」「病態」「治療」「看護問題」など、色ごとの意味を決めます。装飾のために色を増やすと、かえって重要な部分が分かりにくくなります。
4.線を交差させすぎない
線が何本も交差する場合は、図形の配置か情報の分類を見直します。似た内容を近くへ置き、上から下、または左から右へ流れを統一すると読みやすくなります。
5.患者さん固有の情報を明確にする
教科書の病態を詳しく書くだけでは、患者さんの全体像を表した関連図にはなりません。症状、検査値、治療への反応、ADL、思い、家族背景など、受け持ち患者さんから得た情報を病態と結びつけます。
6.看護問題まで一本の流れでつなぐ
疾患、症状、生活への影響、看護問題が別々に置かれているだけでは、判断の根拠が伝わりません。「なぜこの看護問題を挙げたのか」が矢印を追うと分かる構成を目指しましょう。
患者情報をパソコンで扱うときの注意点
実習で得た患者情報には、厳格な取り扱いが必要です。関連図を作る前に、学校と実習施設の規則を必ず確認してください。
- 患者氏名、患者ID、住所、生年月日など、個人を特定できる情報を入力しない
- 学校や実習施設が許可していない私物パソコン、USBメモリ、クラウドへ保存しない
- 共有パソコンへファイルを残さない
- ファイル名にも患者名や病室番号を入れない
- メールやSNSで関連図を送信しない
- 提出後のデータ削除についても学校の指示に従う
氏名を消しても、年齢、疾患、入院日、家族構成などの組み合わせから患者さんが特定される可能性があります。「名前を書かなければ大丈夫」と考えず、必要最小限の情報だけを扱いましょう。判断に迷う場合は、自己判断で入力せず、実習指導者や教員へ確認してください。
医療情報を扱う際の安全管理については、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインも参考になります。
私がWordで関連図を書くときに意識していること
私も、関連図を簡単に作れる専用ソフトを探したことがあります。しかし、学校や実習先で使える環境、提出方法、修正のしやすさを考えると、身近なWordが使いやすいと感じました。
初めの頃は、最初からきれいに完成させようとして、図形の位置や線の重なりばかりを気にしていました。ところが、患者さんの情報は実習中に増えていきます。早い段階で細部を整えすぎると、後から大きく配置を変えることになり、かえって時間がかかりました。
今は、最初に大きな図形だけを配置し、内容と因果関係が固まってから整列や色分けをするようにしています。関連図は「きれいな図を作る課題」ではなく、「患者さんに何が起きているのかを考える課題」です。見た目を整える作業に時間を使いすぎないことも大切です。
パソコンで関連図を書くときによくある質問
WordとPowerPointはどちらが書きやすいですか?
図形の自由な配置だけを考えると、PowerPointのほうが扱いやすいと感じる人もいます。一方、学校からWord形式を指定されている場合や、文章と関連図を一つのファイルへまとめる場合はWordが便利です。提出条件に合うほうを選びましょう。
図形を動かすと矢印が外れるのはなぜですか?
線の端が図形の接続ポイントへつながっていない可能性があります。通常の直線ではなくコネクタを選び、図形に表示される接続ポイントから別の図形の接続ポイントまで引き直してください。
図形を選択しにくいときはどうすればよいですか?
「ホーム」→「選択」→「オブジェクトの選択」または「選択ウィンドウ」を使うと、重なった図形を選びやすくなります。図形をグループ化しておくことも、移動時の選択ミスを減らす方法です。
A3で作った関連図をA4で印刷できますか?
縮小して印刷できますが、文字が小さくなります。A4提出なら、最初からA4で作るか、関連図を複数ページに分けることも検討してください。必ず印刷プレビューやPDFで読みやすさを確認しましょう。
まとめ
- Wordでは図形とコネクタを使って看護の関連図を作成できる
- 作成前に患者情報を分類し、中心となる内容から配置する
- 用紙は提出条件に合わせてA3横またはA4横に設定する
- 図形はコピーして書式を統一し、接続ポイントをコネクタでつなぐ
- 整列、グループ化、グリッドを使うと配置を整えやすい
- 見た目よりも、患者情報から看護問題へ至る根拠を明確にする
- 患者情報は、学校と実習施設の規則に従って安全に扱う
手書きとパソコンには、それぞれ良さがあります。下書きは手書き、修正と清書はWordというように組み合わせても構いません。自分が考えを整理しやすく、指導者にも根拠が伝わる方法を選んでください。
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参考資料
- Microsoft Support:ページの向きを横向きまたは縦向きに変更する
- Microsoft Support:文書のレイアウトを変更する
- Microsoft Support:線またはコネクタを描画または削除する
- Microsoft Support:Word内の図形、図、その他のオブジェクトをグループ化する
- Microsoft Support:グラフ、図、オブジェクトをグリッドに合わせる
- Microsoft Support:線の色、スタイル、太さを変更する
- 厚生労働省:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン




コメント
詳しい関連図の書き方を記載して頂きありがとうございます
今日から長期実習なので参考にさせていただきます
助かりました
どういたしましてー♪
ぜひ参考にしてくださいね!。+.。ヽ(*>∀<*)ノ。.+。 またリクエストがあればお待ちしております☆彡
わかりやすいです!
読んで良かったです
コメントありがとうございます。
良かったです!
症状も対処もみな同じ図形で、同じ色。ごちゃごちゃしてて非常に見にくいですが、もう少し整然とした並びにできないのでしょうか。
コメントありがとうございます。
仰る通りですね。すみません。
症状や対処の図形分け、色の変更などによりもっと見やすくなると思います。
作成時の配慮が欠けていたと思います。
ご助言いただきありがとうございました。
左上が空いていてバランスが悪いのは、何か理由があるのでしょうか。
コメントいただきありがとうございます。
バランスが悪くなってしまい申し訳ございません。
こちらは、全体関連図のうち、病態関連図の部分のみを抜き出しておりますので
バランスが悪くなってしまっております。
「全体関連図の書き方」https://kango.pw/archives/1092
こちらの記事を読んでいただければ、意図がお分かりいただけるかと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
全体関連図の書き方のURLの先に飛んだら404エラーが表示されていて閲覧できませんでした。再度アップする予定はありますか?ぜひ参考にさせていただきたいのでご検討よろしくお願いいたします。
ご指摘ありがとうございます。
さっそく、修正させていただきました。
リンクが切れており、大変申し訳ございませんでした。