こんにちは、ユウです。
病態関連図を書こうとして、教科書を開いたまま手が止まってしまったことはありませんか。
「何から書き始めればよいのか分からない」「矢印をどこにつなげればよいのか迷う」「調べた内容を全部書いたら、線だらけになった」という悩みは、多くの看護学生が経験します。
私も学生の頃は、疾患名の周囲に症状や治療を書き並べ、最後に矢印でつなごうとしていました。しかし、それでは情報同士の因果関係を説明できず、指導者から「なぜ、この症状が起こるの?」と聞かれるたびに答えに詰まっていました。
病態関連図で大切なのは、情報の量や見た目の華やかさではありません。病気が起こる仕組みから、患者さんに現れている症状・検査値・治療・看護上の問題までを、根拠のある流れで示すことです。
この記事では、病態関連図を書く順番、矢印のつなぎ方、情報を選ぶ基準、実習でよくある失敗と直し方を分かりやすく解説します。
病態関連図とは
病態関連図とは、疾患の原因、発症の仕組み、症状、検査、治療、合併症などの関係を図で表したものです。実習では、一般的な疾患の知識だけでなく、受け持ち患者さんの情報を結びつけて考えるために使います。
関連図を作る過程では、新しく得た患者情報を既存の知識と結びつけ、情報同士の関係を検討します。看護教育におけるコンセプトマップを検討した系統的レビュー・メタ解析では、批判的思考を育てる教育方法として有用である可能性が示されています。ただし、研究方法を統一した質の高い研究がさらに必要とも述べられています。
参考: The effectiveness of concept mapping on development of critical thinking in nursing education
関連図の種類や基本的な考え方を先に確認したい方は、看護の関連図とは何かも参考にしてください。
病態関連図と全体関連図の違い
- 病態関連図:疾患の発症機序、症状、検査、治療、合併症などを中心に整理する
- 全体関連図:病態に加えて、ADL、心理面、家族関係、生活背景、社会的役割なども含め、患者さんの全体像を整理する
両者の境界は、学校や担当教員の考え方によって異なることがあります。この記事では、病態を中心に患者さんの症状、検査、治療、看護上の問題までつなげる方法を扱います。指定された様式がある場合は、学校のルールを優先してください。
最初に凡例を決める
凡例(はんれい)とは、関連図で使用する図形、線、色などの意味を示したものです。

たとえば、次のように使い分けます。
- 実線の枠:現在確認できている症状、検査値、看護上の問題
- 破線の枠:今後起こる可能性がある合併症やリスク
- 実線の矢印:現在確認できる因果関係
- 破線の矢印:予測される経過や潜在的な関係
- 色分け:患者情報、病態、治療、看護問題などを区別する
ただし、図形や線の意味に全国共通の決まりがあるわけではありません。学校の指定に従い、読み手が意味を誤解しないように凡例を付けましょう。色や図形を増やしすぎると、かえって読みにくくなります。
病態関連図を書く前に集める情報
関連図を書き始める前に、必要な情報を次のように分けて整理します。
患者さんから得る情報
- 主疾患、治療に影響する既往歴・併存疾患
- 入院までの経過、現在の症状と訴え
- バイタルサイン、身体所見
- 血液検査、画像検査、生理検査などの結果
- 手術、処置、薬物療法、リハビリテーション
- 食事、排泄、移動、睡眠、清潔などへの影響
- 疾患や治療に対する患者さんの理解・思い
資料から調べる情報
- 疾患の原因とリスク因子
- 解剖生理と発症機序
- 典型的な症状と、その症状が起こる理由
- 検査の目的と、異常値が示す意味
- 治療の目的と作用機序
- 薬剤の主な作用、副作用、観察項目
- 起こり得る合併症と早期徴候
疾患や治療は、教科書だけでなく、学会の診療ガイドラインなど新しい資料でも確認します。国内の診療ガイドラインは、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営するMindsガイドラインライブラリから検索できます。
薬剤の効能・効果、用法、副作用、注意事項を調べるときは、PMDAの医療用医薬品 添付文書等情報検索が利用できます。一般的な副作用をそのまま患者さんに起きていると判断せず、投与状況、症状、検査値、経過を照合しましょう。
病態関連図の書き方
病態関連図は、次の順番で作ると整理しやすくなります。
1.患者情報と一般的な病態を分ける
最初に、電子カルテや患者さんとの会話から得た患者固有の情報と、教科書などで調べた一般的な病態を分けます。
- 患者固有の情報:実際の症状、検査値、治療内容、患者さんの反応など
- 一般的な病態:疾患で起こり得る症状、合併症、標準的な治療など
教科書に書かれている症状が、すべて患者さんに現れるわけではありません。確認できていない内容は「現在起きていること」として書かず、必要であれば今後観察するリスクとして区別します。
2.中心となる疾患・病態を配置する
用紙の中央または上部に、今回の入院・治療の中心となる疾患や病態を書きます。診断名だけでなく、必要に応じて病期、術式、重症度なども加えます。
複数の疾患がある場合でも、すべてを同じ大きさで詳しく書く必要はありません。現在の治療や看護に影響する既往歴・併存疾患を選び、主疾患との関係が分かる位置に置きます。
3.原因・リスク因子から病態の流れを書く
疾患名の手前に、発症へ影響した原因やリスク因子を配置します。その後、体内で何が起き、どのように機能が障害されるのかを、原因から結果へ向かう順番でつなぎます。
原因・リスク因子 → 組織や臓器の変化 → 機能障害 → 症状・検査値の変化
病態を一つの大きな箱へ長文で書くより、変化を小さな段階に分けると、矢印の根拠を説明しやすくなります。
4.患者さんの症状・検査値をつなぐ
病態の流れができたら、患者さんに現れている症状、身体所見、検査値を、発生機序に対応する場所へつなぎます。
たとえば、検査値は数値だけを書くのではなく、基準値との違いや推移、病態との関係を考えます。「CRP高値」とだけ書くのではなく、患者さんの症状やほかの検査結果と合わせて、何を示す可能性があるのかを検討します。
5.治療を作用する場所へつなぐ
手術、薬物療法、酸素療法、食事療法などは、「行われている治療」として一覧にするだけでなく、何を改善するための治療なのかが分かる場所へつなぎます。
病態・症状 ← 治療の作用 → 期待される変化
薬剤からは、患者さんに必要な観察へつながる副作用や注意点も整理します。ただし、添付文書にある副作用をすべて書くのではなく、投与量、患者背景、現在の症状、実習目標を踏まえて優先します。
6.合併症とリスクを加える
現在起きている問題だけでなく、病態や治療から予測される合併症も整理します。リスクを書くときは、「起こるかもしれない」で終わらせず、次の3点を明確にします。
- なぜ、そのリスクが高いのか
- どのような徴候を観察するのか
- 発生を防ぐために何が必要か
7.看護上の問題へつなげる
最後に、病態、治療、患者さんの反応が、生活や安全、安楽へどのような影響を与えているのかを考え、看護上の問題へつなげます。
看護診断を使用する場合は、学校が指定する最新版の分類や教科書を確認してください。看護診断は単なるラベルではなく、アセスメントに基づく臨床推論と結びついています。標準化された看護診断と臨床推論については、NANDA Internationalから名称変更したInternational Nursing Knowledge Association(INKA)の公式情報も参考になります。
8.すべての矢印を言葉で説明する
完成後は、矢印を一本ずつ指で追い、「AによってBが起こる。その結果Cになる」と説明してみます。説明できない矢印は、根拠が不足しているか、途中の病態が省略されている可能性があります。

病態関連図のつなぎ方の例
たとえば、化学療法後の感染リスクを考える場合は、次のような流れで整理できます。
化学療法 → 骨髄機能の抑制 → 好中球数の減少 → 感染防御能の低下 → 感染リスクの上昇
この流れへ、患者さんの好中球数の推移、体温、口腔粘膜の状態、中心静脈カテーテルの有無など、実際に得られた情報をつなげます。そのうえで、必要な観察や感染予防行動を考えます。
ここで重要なのは、「化学療法を受けているから感染する」と短絡しないことです。使用薬剤、治療後の日数、血球数の推移、感染徴候などを確認し、この患者さんにどの程度のリスクがあるのかを考えます。
病態関連図でよくある失敗と直し方
疾患名から症状へ直接つないでいる
修正方法:疾患名と症状の間に、組織の変化や機能障害を入れます。症状が生じる仕組みを説明できる関連図になります。
教科書の症状をすべて書いている
修正方法:患者さんに現れている症状と、今後注意する症状を分けます。確認できていない症状を、患者情報として書かないようにします。
薬剤名だけが並んでいる
修正方法:薬剤を投与目的や作用する病態へつなぎ、患者さんに必要な副作用の観察も加えます。
矢印が多く、どこを見ればよいか分からない
修正方法:原因から結果へ流れる方向をそろえ、同じ領域の情報を近くにまとめます。関係の弱い情報や、看護につながらない細部を減らすことも必要です。
看護問題が病態とつながっていない
修正方法:看護問題から矢印を逆にたどり、根拠となる症状、検査値、病態、患者背景へ到達できるか確認します。
見本をそのまま写している
修正方法:参考書の関連図は、病態を理解するための土台として使います。受け持ち患者さんの症状、検査値、治療への反応と照合し、該当しない内容は削除します。出典を示さずに図や文章をそのまま転載することも避けましょう。
病態関連図を見直すチェックリスト
- 患者固有の情報と一般的な病態を区別している
- 原因から症状までの流れを説明できる
- 検査値を病態とつなげている
- 治療の目的と作用する場所が分かる
- 薬剤の副作用を患者さんの状態に合わせて選んでいる
- 現在の問題と今後のリスクを区別している
- 看護上の問題まで根拠をたどれる
- 矢印の向きと凡例が統一されている
- 文字や線が重ならず、全体の流れを追える
- 使用した資料の出典を記録している
患者情報の取り扱いに注意する
関連図には、患者氏名、患者ID、住所、生年月日など、個人を特定できる情報を記載しません。イニシャルであっても、ほかの情報と組み合わせると個人を特定できる場合があります。
- 学校・実習施設が指定する患者記号を使用する
- 必要に応じて年齢を年代で示す
- 許可されていない私物パソコンやクラウドへ保存しない
- ファイル名へ氏名や病室番号を入れない
- 関連図をSNSへ掲載しない
- 提出後の保管・廃棄も学校の規則に従う
医療情報の安全管理については、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインも参考になります。実習記録の具体的な取り扱いは、学校と実習施設の規則を必ず確認してください。
私が関連図を書くときに意識していること
私が学生の頃は、関連図を「たくさん書いた人ほど評価される課題」のように考えていました。そのため、教科書で見つけた症状や副作用をできるだけ多く書き、結果として患者さんに関係のない情報まで増やしてしまいました。
臨床で患者さんを受け持つようになってから、関連図の本当の価値は情報量ではなく、変化を予測できることにあると感じました。病態と治療をつなげて考えると、「次に何が起こり得るのか」「どの変化を早く見つける必要があるのか」が見えてきます。
関連図を書いていて迷ったときは、図形を増やす前に、「この患者さんに、なぜこの情報が必要なのか」と自分へ問いかけてみてください。その答えが、観察や看護計画につながる情報を選ぶ基準になります。
病態関連図についてよくある質問
病態関連図に患者さんの名前は必要ですか?
原則として、氏名など個人を特定できる情報は記載しません。学校・実習施設が指定する患者記号を使用し、年齢や入院日なども必要性を考えて記載します。
既往歴はすべて書きますか?
すべてを詳しく書く必要はありません。現在の病態、治療、回復、生活に影響する既往歴を優先します。影響が分からない場合は、主疾患との関係を調べてから判断しましょう。
一般的な症状も書いたほうがよいですか?
患者さんに現れている症状を優先します。まだ現れていなくても重要な合併症の徴候は、リスクや観察項目として区別して示すとよいでしょう。
手書きとパソコンはどちらがよいですか?
学校の指定がなければ、考えを整理しやすい方法で構いません。手書きはすぐに書き足せること、パソコンは配置や文章を修正しやすいことが利点です。下書きは手書き、清書はパソコンと使い分ける方法もあります。
まとめ
- 病態関連図は、原因、病態、症状、検査、治療、看護上の問題の関係を示す
- 患者固有の情報と、教科書にある一般的な情報を区別する
- 原因から結果へ向かう順番で病態を分けて書く
- 症状や検査値は、対応する発生機序へつなぐ
- 治療は目的と作用する病態へつなぐ
- 看護問題から根拠となる患者情報まで逆にたどれるか確認する
- 参考書の見本をそのまま写さず、患者さんの状態に合わせて作り直す
- 個人を特定できる情報は記載せず、学校と実習施設の規則に従う
関連図は、一度で完成させるものではありません。実習中に得た新しい情報を加え、不要な内容を削り、矢印の意味を見直しながら更新していきましょう。
病態関連図から患者さんの生活背景や心理・社会面まで広げる方法は、全体関連図の書き方で確認できます。
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参考文献・参考資料
- Yue M, Zhang M, Zhang C, Jin C. The effectiveness of concept mapping on development of critical thinking in nursing education: A systematic review and meta-analysis. Nurse Educ Today. 2017;52:87-94.
- International Nursing Knowledge Association. Nursing Classification & Clinical Reasoning.
- 公益財団法人日本医療機能評価機構.Mindsガイドラインライブラリ.
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構.医療用医薬品 添付文書等情報検索.
- 厚生労働省.医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版.




コメント
病態関連図に患者情報は不要では?
患者関連図なら必要ですがね
ご指摘ありがとうございます。
ごもっともなご意見です。病態のみの関連を示すためには患者情報はなくても良いと思います。
病態関連図に関する参考書でも患者情報については触れてい無いことが多いですからね。
しかしながら、今回はあくまで看護学生が実習で書く関連図を意識したため「どの患者の情報なのか(患者情報)」という部分を追加しました。
ご理解いただけると幸いです。
とても分かりやすかったです。関連図苦手なんですけどこれを見ながらなら出来そうだと感じました!ありがとぅございます‼︎
コメントありがとうございます。
参考にしていただけて嬉しく思います。
関連図の書き方に困っている友達がいたら、ぜひこの方法を紹介してあげてくださいね!