空腹時血糖と随時血糖の違い|看護師・看護学生が採血前に確認すること
こんにちは、ユウです。
みなさんは、血糖値を見たときに「これは空腹時血糖なのか、随時血糖なのか」と迷ったことはありませんか?
採血した時刻が朝なら空腹時血糖、昼や夕方なら随時血糖、と考えてよいのでしょうか。それとも、採血した時刻よりも食事との間隔を確認したほうがよいのでしょうか。
今回は、空腹時血糖と随時血糖の違いと、看護師・看護学生が採血前後に確認したいポイントについて解説します。
結論:血糖値は「採血時刻」ではなく「最後に食べた時刻」で判断する
結論からいうと、空腹時血糖と随時血糖を見分けるときは、採血した時刻だけでなく、最後に食事をした時刻を確認することが重要です。
基本的な考え方は、次のとおりです。
- 空腹時血糖:10時間以上の絶食後に測定した血糖
- 随時血糖:食事との時間関係を問わずに測定した血糖
つまり、朝に採血したからといって、必ず空腹時血糖になるわけではありません。
前日の夜遅くに食事をしていれば、朝の採血でも絶食時間が10時間未満の可能性があります。反対に、午後の採血であっても、10時間以上食べていなければ、空腹時の条件に当てはまる可能性があります。
ざっくり言うと、
「何時に採血したか」よりも、
「最後に食べたのは何時か」
を確認することが大切です。
この記事の所要時間
読了の目安:約8分
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 空腹時血糖と随時血糖の基本的な違い
- 採血前に確認したい最終摂食時刻
- 朝食前採血でも注意したいこと
- 血糖値を解釈するときの考え方
- 看護師・看護学生が起こしやすい判断の間違い
根拠:空腹時血糖は10時間以上の絶食後、随時血糖は食事との時間を問わない
厚生労働省の資料では、空腹時の条件として、朝まで10時間以上絶食していることが示されています。
一方、随時血糖は、食事と採血時間との関係を問わずに測定した血糖として扱われています。
また、厚生労働省の定期健康診断・特定健康診査に関する資料でも、随時血糖は食事との時間関係を問わない血糖として説明されています。
したがって、看護実務では、採血オーダーに「血糖」と書かれているだけで判断するのではなく、次の情報を確認します。
- 最後に食事をした時刻
- 絶食時間が10時間以上あるか
- 食事との時間関係をそろえて採血したのか
- 健診・外来・入院中など、どの場面で測定したのか
詳しい解説
空腹時血糖とは?
空腹時血糖とは、食事の影響をできるだけ受けにくい条件で測定した血糖値です。
国内資料では、10時間以上の絶食後に測定した血糖が空腹時血糖として扱われています。
たとえば、次のような場合です。
- 前日の20時に夕食を食べた
- 翌朝6時に採血した
この場合、絶食時間は10時間です。
一方で、前日の23時に夜食を食べ、翌朝6時に採血した場合は、絶食時間は7時間です。この場合、朝の採血であっても、10時間以上の絶食後とはいえません。
ここで大切なのは、「朝に採血したか」ではなく、「採血までに何時間食べていないか」です。
空腹時血糖を確認する場面
空腹時血糖は、食事条件をある程度そろえたうえで血糖を評価したい場合に用いられます。
食後は血糖値が変化するため、食事をしてからどのくらい時間が経っているかによって、血糖値の意味が変わることがあります。
そのため、空腹時血糖として扱う場合は、採血結果だけでなく、絶食時間の確認が必要になります。
随時血糖とは?
随時血糖は、食事をしてから何時間経ったかにかかわらず測定した血糖です。
「随時」という言葉には、食事との時間関係をそろえず、その時点で測定したという意味があります。
たとえば、次のような血糖値は随時血糖として考えます。
- 朝食後に測定した血糖
- 昼食から数時間後に測定した血糖
- 食事の時間がはっきりしない状態で測定した血糖
- 外来や救急などで、食事時間をそろえずに測定した血糖
ここで注意したいのは、随時血糖が「食後血糖」と同じ意味ではないことです。
食後血糖は、食事をしてから一定の時間が経過した時点で測定する血糖を指すことがあります。一方、随時血糖は、食事からの経過時間を問わず、その時点で測定した血糖です。
つまり、
- 食後何時間かをそろえて測るもの
- 食事との時間を問わず測るもの
は、同じではありません。
朝の採血なら、必ず空腹時血糖になる?
これは、必ずしも正しくありません。
朝の採血でも、前日の夜遅くに食事をしていれば、10時間以上の絶食になっていない場合があります。
また、患者さんが「何も食べていない」と話していても、最後に食べた時刻が曖昧なこともあります。
たとえば、
「夕食は食べていません」
という場合でも、
- 夜にパンを食べた
- 寝る前に補食を摂った
- 家族から差し入れをもらった
- 入院中に食事時間が変更されていた
などの可能性があります。
そのため、単に「食べましたか?」と聞くだけではなく、
「最後に食事をしたのは何時ごろですか?」
と、時刻を具体的に確認することが大切です。
採血前に確認したいこと
1.最後に食事をした時刻
最も重要なのは、最後に食事をした時刻です。
「昨日の夜」「寝る前」ではなく、可能であれば「20時ごろ」「23時ごろ」のように、時刻で確認します。
そして、採血時刻までの絶食時間が10時間以上あるかを考えます。
2.採血の目的
同じ血糖測定でも、目的によって確認したい内容が異なります。
たとえば、健診で空腹時血糖を測る場合は、絶食時間が条件を満たしているかが重要になります。
一方、外来や入院中に状態を確認するために測定する場合は、食事時間がそろっていないこともあります。この場合は、随時血糖として、食事との時間関係とともに記録します。
3.血糖値だけでなく、測定条件も記録する
血糖値を記録するときは、数値だけでなく、可能であれば次の内容も確認します。
- 測定した時刻
- 最後に食事をした時刻
- 食前か食後か
- 空腹時として測定したのか、随時測定したのか
血糖値は、数字だけでは解釈しにくいことがあります。
同じ血糖値でも、10時間以上絶食した状態なのか、食後間もない状態なのかで、読み取り方が変わる可能性があるためです。
血糖値の基準を考えるときの注意点
一般的な糖尿病型の判定として、医療機関の解説資料などでは、次の数値が示されています。
- 空腹時血糖126mg/dL以上
- 随時血糖200mg/dL以上
これらの数値は、奈良県医師会の解説や、医療機関の糖尿病検査に関する解説などで確認できます。
ただし、今回確認できた資料では、日本糖尿病学会の原典そのものではなく、厚生労働省資料内の引用や医師会・医療機関の解説として確認された情報です。
また、血糖値が一度高かったからといって、それだけで糖尿病と決まるわけではありません。
糖尿病の判定では、血糖値の種類や測定条件に加えて、HbA1c、症状の有無、再検査の結果などを合わせて考えることがあります。
したがって、看護師が血糖値を確認するときは、
「数値が基準を超えているか」
だけでなく、
「空腹時なのか、随時なのか」
「どのような条件で測定されたのか」
を一緒に確認することが重要です。
実践ポイント:看護師・看護学生が確認すること
ポイント1:採血オーダーだけで空腹時と決めつけない
採血項目に血糖が含まれていても、オーダーだけでは実際の食事状況までは分かりません。
朝の採血だから空腹時、というように判断せず、患者さんに最終摂食時刻を確認します。
ポイント2:「食べていない」ではなく「何時に食べたか」を聞く
患者さんに、
「食事はしていませんか?」
と聞くと、「していない」と答えることがあります。
しかし、夜食や補食などを含めると、最後に食べた時刻が異なる場合があります。
そのため、
「最後に食事をしたのは何時ごろですか?」
と確認すると、より具体的に把握できます。
ポイント3:血糖値と測定条件をセットで見る
血糖値を見たときは、次のように考えます。
- 何時に測定したか
- 最後に食べたのは何時か
- 絶食時間は10時間以上か
- 空腹時血糖として扱えるか
- 随時血糖として記録・解釈するか
この順番で考えると、採血時刻だけで判断する間違いを減らせます。
ポイント4:判断に迷うときは、記録と指示を確認する
患者さんの話と記録が一致しない場合や、検査の目的が分からない場合は、自己判断で処理しないことも大切です。
検査オーダー、食事摂取記録、看護記録、施設の手順などを確認し、必要に応じて先輩看護師や担当者へ相談します。
筆者の体験談:看護師をしていた頃の経験
私が看護師をしていた頃、朝の採血前に患者さんへ「昨夜から食事はしていませんか?」と確認したことがありました。
患者さんは「食べていません」と答えたので、最初は空腹時血糖として問題ないのかなと思いました。
ところが、少し会話を続けていると、「寝る前に家族が持ってきたゼリーを食べた」と話してくれました。
私はそのとき、最初の「食べていない」という返答だけで判断しなくてよかったと思いました。同時に、「食事をしていない」という言葉が、患者さんにとっては夕食を食べていないという意味だったのだと気づきました。
その後、最後に食べた時刻を確認して記録し、採血の扱いについて先輩看護師に相談しました。
当時の私は、朝の採血なら空腹時血糖として考えるものだと思いがちでした。しかし、この経験から、採血の時刻だけではなく、患者さんが最後に何をいつ口にしたのかを確認するようになりました。
今振り返ると、短い質問でも「何時に食べましたか?」と具体的に聞くことが、検査結果を考えるきっかけになるのだと感じています。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- 空腹時血糖は、10時間以上の絶食後に測定した血糖
- 随時血糖は、食事との時間関係を問わずに測定した血糖
- 朝に採血したからといって、必ず空腹時血糖になるわけではない
- 血糖値を解釈するときは、採血時刻よりも最後に食べた時刻を確認する
- 「食べていないか」だけでなく、「最後に何時に食べたか」を具体的に聞く
- 血糖値の判定では、測定条件やHbA1c、症状なども含めて考える
結局のところ、血糖値は数字だけでは判断できません。
採血前には、
「最後に食べたのは何時か」
「絶食時間は10時間以上あるか」
を確認し、その条件に応じて空腹時血糖か随時血糖かを考えることが基本です。
FAQ
Q1.朝食前に採血すれば、必ず空腹時血糖ですか?
必ずではありません。
前日の夜遅くに食事をしていると、朝の採血でも10時間以上の絶食になっていないことがあります。採血時刻ではなく、最後に食べた時刻を確認します。
Q2.随時血糖は、食後血糖のことですか?
同じではありません。
随時血糖は、食事からの経過時間を問わずに測定した血糖です。食後血糖は、食事後の一定時間に測定する血糖を指すことがあります。
Q3.空腹時血糖は何時間食べなければよいですか?
今回使用した厚生労働省資料では、空腹時の条件として10時間以上の絶食が示されています。
ただし、検査の種類や施設の指示がある場合は、施設の手順や医師の指示を優先します。
Q4.血糖値が高ければ、糖尿病と判断できますか?
血糖値が高いことだけで、直ちに糖尿病と決まるわけではありません。
空腹時か随時か、測定条件、HbA1c、症状の有無などを合わせて判断します。必要に応じて医師の評価や再検査につなげます。
参考文献
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
今回の記事について、さらに理解を深めたい方におすすめの書籍を紹介します。
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著者:土方ふじ子
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