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変形性膝関節症の階段昇降 安全な介助と実践手順

看護技術
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こんにちは、ユウ塾長です。変形性膝関節症の患者さんに階段の昇り降りを説明するとき、「痛くても普通に交互に上り下りしてもらうの?」「介助者はどこに立てばいいの?」と迷ったことはありませんか?特に降りる動作は痛みや膝折れが心配ですよね。今回は、痛みを減らす動作と、安全に介助するための確認ポイントを一緒に整理します。

結論:手すりを使い、一段ずつ足をそろえる

変形性膝関節症の患者さんには、階段を一律に禁止するのではなく、痛みや膝折れ、ふらつきを確認したうえで、安全な方法を選びます。基本は、昇るときは痛みの少ない脚から、降りるときは痛む脚から。一段ずつ足をそろえ、手すりを使う方法です。

ただし、「患側・健側」の決めつけだけで進めないことも大切です。両膝に症状がある場合や、筋力・バランスに問題がある場合は、実際の動作を確認して調整しましょう。強い痛みや膝折れ、ふらつきがあるときは、無理に続けず、担当の医療者に相談してくださいね。

読了時間の目安

約8分

この記事でわかること

この記事では、次のポイントを解説します。

  • 階段では、なぜ降りる動作に注意が必要なのか
  • 昇段・降段の基本的な手順
  • 介助前に確認したいことと、介助者の位置
  • 後ろ向きに降りる方法を検討するときの注意点

結論の根拠:降段では膝で体を支えながら下ろす

変形性膝関節症では、階段の昇降、とくに下降時の痛みが問題になりやすいとされています。「関節の機能障害(1)変形性膝関節症」では、階段下降時の痛みや日常生活上の指導について説明されています。

階段を降りるときは、体を下へ移動させながら、支持している脚で動きを調整します。膝の痛みや筋力低下があると、体を支えにくくなり、膝折れや不安定さにつながることがあります。膝OA患者の降段動作を健常者と比較した研究も報告されていますが、すべての患者さんに当てはまる単一の安全基準や負荷の数値は、今回確認した資料からは示されていません。

二足一段、つまり一段ごとに両足をそろえる方法は、動作をシンプルにしやすい方法です。ただし、症状や手すりの位置などによって適した動きは変わります。まずは実際の一段昇降で、痛みやふらつきが出ないか確かめましょう。

階段の昇り降りを説明する手順

患者さんには、手順を短く、具体的に伝えると分かりやすくなります。「ゆっくり進みましょう」だけでなく、どちらの脚をどこへ動かすのかも伝えてみましょう。

昇るときは、痛みの少ない脚から

基本の手順は次のとおりです。

  1. 手すりを持つ
  2. 痛みの少ない脚を一段上げる
  3. 体が安定してから、もう一方の脚を同じ段にそろえる
  4. 一段ずつ繰り返す

声かけは、たとえば「手すりを持ちます。痛みの少ない右足を一段上げて、次に左足をそろえましょう」のように、患者さんの左右に合わせて伝えます。

痛む脚で体を持ち上げようとせず、手すりも使って進むのがポイントです。ただし、痛みの少ない側の筋力が弱い場合や、両膝に症状がある場合は、この順番だけでは判断できません。動作を見ながら調整してくださいね。

降りるときは、痛む脚から

降段では、手すりを持ち、痛む脚を一段下ろしてから、もう一方の脚を同じ段にそろえます。これを一段ずつ繰り返します。

患者さんには、「痛む左足を一段下ろします。次に右足を同じ段にそろえましょう」と具体的に伝えます。痛みの少ない脚で体を支えながら動く形にしやすい方法ですが、両側に痛みがある場合は左右の痛みや安定性をそれぞれ確認しましょう。

降りるときに、膝が急に折れる、足が滑る、体が大きく傾くといった様子があれば、いったん止めて再評価します。

介助前に確認したいこと

階段の介助では、まず患者さんの状態と環境を確認します。「痛みがあるか」だけでなく、膝折れや足の引っかかりがないかも見ておきましょう。

確認したいポイントは、次のとおりです。

  • 痛みの部位と、昇段・降段での変化
  • 膝折れやふらつきの有無
  • 立った姿勢を保てるか
  • 手すりを安全に握れるか
  • 杖を使う場合、その持ち方や手すりとの併用方法
  • 階段の濡れ、障害物、照明、手すりの位置
  • めまいや息切れなど、動作を続けるうえで気になる症状

「一度できたか」だけで判断せず、動作のたびに安定して行えるかを見ましょう。足の位置、膝の安定、体幹の傾き、手すりの使い方、痛みの変化なども観察します。

介助者は患者さんを引っ張らない

一般的には、介助者は患者さんのやや下方かつ患側寄りで、転倒時に体幹を支えられる位置を取ります。ただし、患者さんの動きを妨げないことが大切です。実際の位置や支え方は、患者さんの状態や施設の手順に合わせてください。

腕を強く引っ張るのではなく、患者さん自身が手すりを使えるようにし、介助者は一段ごとの動きを見守ります。「右足を一段上げます」「次に左足をそろえます」のように、次の動作を一つずつ伝えると、患者さんも動きやすくなります。

杖を使う患者さんでは、手すりと杖をどう使うかも事前に確認しましょう。杖を持ち替える動作が不安定な場合などは、無理にその方法を続けず、医療者間で相談してください。

後ろ向きに降りる方法は、専門職の評価のもとで検討する

前向きに降りると膝折れや強い痛みが生じる場合、専門職が評価したうえで、後ろ向きに降りる方法を検討することがあります。

研究報告では、後方降段で膝関節間力が、健常者で最大約27%、膝OA患者で約40%低下したとされています。また、両側膝OAの患者さんに後方降段と二足一段を指導した症例報告があります。「両変形性膝関節患者における自宅退院へ向けて 階段昇降に…」

一方で、後ろ向きでは進行方向を見にくく、足元や下段の障害物も確認しづらくなります。報告された負担の低下は、特定の研究条件で得られた結果であり、個々の患者さんの転倒リスクが下がることを保証する数値ではありません。患者さんが自己判断で始める方法ではなく、理学療法士などの専門職が安全性を確認して指導する方法として考えましょう。

看護師・看護学生が実践するときのポイント

階段の昇降を評価するときは、「できたか」だけでなく、「安全に同じ方法を続けられるか」を見てみましょう。

特に、次の点を意識して観察します。

  • 立脚している脚の膝が安定しているか
  • 足が段にしっかり乗っているか
  • 膝が内側に崩れたり、体幹が大きく傾いたりしていないか
  • 手すりを適切に使えているか
  • 痛みや疲れで動作が乱れていないか

また、病棟の階段でできても、自宅の階段で同じようにできるとは限りません。手すりの位置、段差、照明、階段の幅、荷物を持つ必要があるかなど、生活環境も確認しましょう。退院後に家族の見守りや介助が必要な場合は、実際の方法を共有することも大切です。

筆者の体験談

階段の練習を見守る場面を考えてみます。患者さんが「上るのは平気だけれど、降りるときに膝が不安です」と話しました。最初は、手すりを持って一段ずつ進めば大丈夫かもしれないと思います。

ところが、一段目を降りるときに、患者さんの足が止まり、体が少し傾きました。ここで「もう少し頑張りましょう」と続けるのではなく、私はいったん動作を止めて、痛みや膝折れがないかを確認する場面だと考えます。そのうえで、患者さんの状態を担当者に共有し、続ける方法を相談します。

この場面は、特定の患者さんの体験談ではなく、判断の流れを考えるための例です。私が伝えたいのは、手順を覚えてもらうことだけが階段指導ではない、ということです。動作中に見えた小さな変化をきっかけに、方法を立ち止まって考えることも大切にしたいですね。

まとめ

変形性膝関節症の患者さんには、階段を一律に禁止するのではなく、痛みや膝折れ、ふらつきと安全性を確認して方法を選びます。基本は、昇段は痛みの少ない脚から、降段は痛む脚から。手すりを使い、一段ずつ足をそろえることです。

降段では特に、痛みや膝の不安定さに注意しましょう。後ろ向きに降りる方法は、負担軽減の可能性が報告されていますが、安全面の確認が必要です。患者さんの状態に合わせた専門職の指導のもとで検討してくださいね。

FAQ

階段は変形性膝関節症の患者さんに禁止したほうがよいですか?

一律に禁止するのではなく、痛みや膝折れ、ふらつきなどを確認して、安全な方法を選びます。状態に応じて、手すりの使用や介助も検討しましょう。

階段を降りるとき、どちらの脚から出しますか?

基本は、痛む側の脚から一段下ろし、もう一方の脚を同じ段にそろえます。ただし、両膝に症状がある場合などは、実際の痛みや安定性を確認して調整します。

後ろ向きに降りる方法を患者さんに勧めてもよいですか?

患者さんが自己判断で始める方法として勧めるのは避けましょう。負担が軽くなる可能性を示した研究報告はありますが、安全面の課題もあります。理学療法士などの専門職が実際の状態を評価したうえで検討します。

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