ストーマケアで皮膚保護剤を使う理由とは?看護師が知っておきたい役割と観察ポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、ストーマ装具を交換するとき、「皮膚保護剤は何のために使うのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
皮膚を守るためのもの、というイメージはあっても、漏れとの関係や、どんなときに使い方を見直すのかは迷いやすいですよね。今回は、皮膚保護剤の役割と、装具交換時に確認したいポイントを解説します。
結論:皮膚保護剤は、排泄物から皮膚を守り、装具とのすき間を減らすために使う
皮膚保護剤を使う主な目的は、ストーマから出る排泄物が皮膚に直接触れるのを防ぎ、面板とのすき間を埋めて漏れを減らすことです。
大切なのは、皮膚に起きたトラブルに対処するだけでなく、排泄物が皮膚に届きにくい装具の貼り方や組み合わせを整えることです。
交換時には、皮膚の赤みだけでなく、面板の浮きや溶け方、ストーマ周囲のしわ・くぼみ、皮膚の湿りなども確認します。皮膚保護剤を追加すれば必ず漏れが防げるわけではないため、装具の適合も合わせて見直しましょう。
この記事でわかること
- ストーマケアで皮膚保護剤を使う目的
- 皮膚保護剤が漏れ対策につながる仕組み
- 装具交換時に確認したい皮膚や面板の状態
- 漏れや皮膚トラブルがあるときの見直し方
読了時間の目安:約6分
結論の根拠:排泄物が皮膚に触れにくい状態をつくる
ディアケアの皮膚保護剤の解説では、皮膚保護剤は排泄物や分泌物を吸収し、ストーマ周囲の皮膚を保護するものとして説明されています。
また、アルケアのストーマ用品の解説では、皮膚保護剤は露出した皮膚を守り、面板とのすき間を補う目的で使用されると紹介されています。しわやくぼみがある部分を補正して面板が密着しやすい状態に整えることも、漏れ対策の一つです。
国立がん研究センター中央病院のセルフケア資料では、排泄物が漏れにくい装具を選ぶことや、皮膚への刺激を避ける工夫が示されています。
つまり、皮膚保護剤は「荒れた皮膚に塗るもの」というだけではありません。排泄物が皮膚に触れにくい状態をつくり、装具を安定して貼るためにも使われます。ただし、皮膚保護剤だけで漏れの原因すべてを解決できるわけではありません。面板の形やサイズ、貼付部の状態も一緒に確認する必要があります。
皮膚保護剤は「皮膚を守る層」と「すき間を補うもの」
ストーマ装具の面板は、ストーマ周囲の皮膚に貼り付けます。面板と皮膚の間にすき間があると、排泄物が入り込み、皮膚に触れることがあります。
皮膚保護剤は、製品の種類に応じて、排泄物や水分を吸収したり、露出した皮膚を覆ったり、凹凸を補ったりして、皮膚と装具の間を整えます。たとえば、パウダー、ペースト、リング状の製品などがあります。形状や役割は製品によって異なるため、使い方は製品情報や施設の手順に沿って確認しましょう。
なお、「皮膚保護剤」と呼ばれる製品が、すべて同じ働きをするわけではありません。何を補いたいのか、どの製品が適しているのかを見極めることが大切です。
漏れがあるときは、皮膚保護剤だけでなく装具の状態も確認する
排泄物が漏れたとき、「皮膚保護剤が足りなかったのかな」と考えることがあるかもしれません。けれど、漏れの背景には、面板の開口部が合っていない、皮膚にしわやくぼみがある、面板が浮いている、貼付部が湿っているなど、複数の要因が関係している場合があります。
大阪市の資料では、皮膚保護剤が皮膚のしわやくぼみを補い、面板を密着させやすくする役割が説明されています。また、国立がん研究センター中央病院の資料では、装具選びや貼付時の工夫が紹介されています。
漏れが繰り返す場合は、皮膚保護剤を増やすことだけに注目せず、面板の開口部とストーマの大きさが合っているか、貼付部にしわやくぼみがないか、面板が浮いていないかも確認しましょう。
看護師・看護学生が装具交換時に確認したいポイント
交換時には、次のような点を合わせて見ていきます。
- 皮膚の状態:発赤、ただれ、湿りなどがないか
- ストーマ周囲の形状:しわやくぼみがあり、面板との間にすき間ができていないか
- 面板の状態:浮きや剥がれがないか、開口部がストーマに合っているか
- 面板の裏側:排泄物が入り込んだ跡や、皮膚保護剤の溶け・崩れがないか
- 交換時の状況:漏れが起きた場所や、装具を使用していた間の変化がないか
アルメディアの解説では、皮膚保護剤の種類や特徴が紹介されています。皮膚の状態や凹凸に応じた製品の選択は重要ですが、製品を自己判断で変更するのではなく、患者さんの装具や施設の手順に合わせて検討してください。
皮膚に赤みやただれがある場合、あるいは漏れを繰り返す場合は、装具の適合や皮膚保護剤の使い方を見直すきっかけになります。必要に応じて、ストーマケアに詳しい看護師や医療チームに相談しましょう。
皮膚に保湿剤を使用する場合も注意が必要です。国立がん研究センター中央病院のセルフケア資料では、貼付範囲に保湿剤を使う際は少量にし、十分に乾燥させることが示されています。貼付部が湿ったままだと装具が密着しにくくなることがあるため、使用する製品と手順を確認してください。
実践ポイント:装具交換時の観察チェックリスト
- 皮膚の発赤、ただれ、湿りがないか確認する
- ストーマ周囲のしわやくぼみ、貼付部の状態を確認する
- 面板の開口部がストーマの大きさに合っているか、浮きや剥がれがないか確認する
- 外した面板の裏側で、排泄物の入り込みや皮膚保護剤の溶け・崩れを確認する
- 漏れが繰り返す場合は、皮膚保護剤だけでなく装具の適合や組み合わせも見直す
- 保湿剤を使用する場合は、製品と手順を確認し、貼付前に十分乾燥させる
- 皮膚トラブルや漏れが続く場合は、ストーマケアに詳しい看護師や医療チームに相談する
筆者の体験談:装具の裏側を見ると、次のケアのヒントが見えてくる
装具交換を患者さんと一緒に確認するとき、私は皮膚の状態だけでなく、外した面板の裏側にも目を向けるようにしています。
「皮膚が少し赤いですね」と気づいたとき、最初は皮膚そのものに目が向きます。でも、面板の裏側を見て排泄物が入り込んだ跡があれば、「どこから入り込んだのだろう」と考え直すことがあります。面板の開口部は合っているか、貼付部にくぼみはないか。皮膚保護剤がどのように溶けているかも見ながら、患者さんと装具の状態を確かめます。
皮膚だけを見ていると、赤みへの対応に意識が偏ることがあります。装具の裏側まで一緒に見ることで、皮膚の変化と漏れ方を結びつけて考えやすくなる。私は、その視点を大切にしています。
ここで紹介した内容は看護場面を理解するための筆者の視点であり、医学的根拠を示すものではありません。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 皮膚保護剤は、排泄物から皮膚を守り、面板とのすき間を補うために使う
- 漏れがあるときは、皮膚保護剤だけでなく面板の適合や皮膚の凹凸も確認する
- 交換時は皮膚の状態に加え、面板の浮きや裏側の溶け方も見る
- 皮膚トラブルや漏れが続く場合は、装具の組み合わせや使い方を見直し、必要に応じて相談する
皮膚保護剤を使うときは、「何を守るために、どのすき間を補うのか」を意識すると、装具交換時の観察につながります。
FAQ
皮膚保護剤を使えば、漏れは防げますか?
皮膚保護剤は、皮膚を保護したり、装具とのすき間を補ったりする助けになります。ただし、それだけで漏れを必ず防げるわけではありません。面板の開口部や密着状態、皮膚のしわ・くぼみなども合わせて確認しましょう。
皮膚保護剤は、皮膚に赤みが出てから使うものですか?
皮膚保護剤は、皮膚トラブルへの対応だけでなく、排泄物が皮膚に触れにくい状態をつくる目的でも使われます。使用する製品や方法は、皮膚の状態と装具に合わせて確認してください。
交換時に面板の裏側を見るのはなぜですか?
面板の裏側には、排泄物が入り込んだ跡や皮膚保護剤の溶け・崩れが見られることがあります。皮膚の赤みや漏れの状況と合わせて見ることで、装具の貼り方や適合を見直す手がかりになります。
参考文献
- 国立がん研究センター中央病院「ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を設けた人のセルフケア」
- 大阪市「別紙3」
- アルケア「ストーマケアサイト|皮膚保護剤」
- ディアケア(アルメディア)「皮膚保護剤(種類)」
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
今回の記事について、さらに理解を深めたい方におすすめの書籍を紹介します。
褥瘡ケア とにかく使える
著者:溝上祐子
出版社:照林社
ストーマ周囲の皮膚観察やスキンケア、創傷管理の実践的なポイントがまとめられており、皮膚保護剤の選択・使用や皮膚トラブル対応を深めるのに最適です。
看護技術クイックノート 第2版
著者:石塚睦子
出版社:照林社
面板交換などの看護技術を写真・根拠とともにコンパクトに確認でき、装具交換時の具体的手順や注意点の学習に役立ちます。
フィジカルアセスメント 根拠からわかる!実習で実践できる!
著者:中村充浩
出版社:照林社
フィジカルアセスメントの観察法と根拠を学べるため、皮膚の発赤・湿り・凹凸など装具適合を判断する観察力向上に適しています。
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