輸血開始後15分はなぜ重要?看護師・看護学生が観察したい副作用のサイン
こんにちは、ユウです。
みなさんは、輸血を開始するときに「なぜ最初の5分間は患者さんのそばを離れてはいけないのだろう」と疑問に思ったことはありませんか?
輸血は、開始してしまえばあとは滴下を確認しておけばよいように感じるかもしれません。しかし、輸血開始直後には、重い副作用や不適合輸血の症状が出ることがあります。
今回は、輸血開始後の最初の5分間と15分程度の観察が重要な理由、看護師・看護学生が確認したい症状、異常時の対応について解説します。
結論:輸血開始後15分は、重篤な副作用を早期発見するために特に重要
輸血を開始したら、最初の5分間は患者さんのそばを離れずに観察し、その後15分程度の時点で再評価することが基本です。
この時間帯を慎重に観察する理由は、次のとおりです。
- ABO型不適合輸血などによる急性溶血反応が、輸血開始直後から起こることがある
- 血管痛、不快感、胸痛、腹痛などの症状が出ることがある
- 発熱、悪寒、掻痒、蕁麻疹などの副作用を早期に発見する必要がある
- 異常があれば、輸血の中止や医師への連絡など、迅速な対応につなげる必要がある
赤血球製剤では、成人の場合、開始後の最初の10〜15分間は1mL/分程度の低速で投与し、その後は1分間に5mL程度とする手順が日本赤十字社から示されています。
ざっくり言うと、輸血開始後の15分間は、単に滴下を確認する時間ではありません。
輸血による急変の最初のサインを見逃さないための時間です。
ただし、具体的な投与速度や観察方法、異常時の対応は、製剤の種類、患者さんの状態、医師の指示、施設の手順を優先してください。
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この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 輸血開始後の最初の5分間が重要な理由
- 15分程度の時点で再観察する目的
- 輸血副作用を疑う観察項目
- 異常を認めたときの基本的な対応
- 看護師・看護学生が起こしやすい見落とし
根拠:輸血開始直後から急性の副作用が起こることがある
輸血では、患者さんと血液製剤の血液型などが適切に確認されていることが重要です。
しかし、確認手順を行っていても、患者確認や製剤確認の間違いなどによって、不適合輸血が起こる可能性はあります。
厚生労働省の「輸血療法の実施に関する指針」では、ABO型不適合輸血の場合、輸血開始直後から次のような症状がみられることがあると説明されています。
- 血管に沿った痛み
- 不快感
- 胸痛
- 腹痛
このため、同指針では、輸血開始後5分間はベッドサイドで患者さんを観察することが示されています。
日本赤十字社の輸血手順でも、開始後5分間は急性反応の確認のためにベッドサイドで観察し、輸血開始後15分程度の時点でも再度観察する手順が示されています。
15分程度の時点では、即時型の溶血反応がないかに加えて、発熱や蕁麻疹などのアレルギー症状がないかも確認します。
つまり、5分間と15分程度の観察には、それぞれ次のような意味があります。
| 時間 | 観察の目的 |
|---|---|
| 開始後5分間 | 輸血開始直後に起こる急性反応を早期に発見する |
| 開始後15分程度 | 溶血反応や発熱、蕁麻疹などの副作用を再評価する |
| その後 | 輸血終了まで状態の変化を継続して確認する |
「15分を過ぎれば安全」という意味ではありません。
輸血中は、その後も患者さんの自覚症状や全身状態を適宜確認する必要があります。
輸血開始後に観察したい症状
輸血を開始したら、患者さんの訴えと見た目の変化を確認します。
患者さんの訴え
まずは、患者さんに次のような症状がないか確認します。
- 胸が痛い
- 背中が痛い
- お腹が痛い
- 血管に沿って痛む
- 気分が悪い
- 息苦しい
- 寒気がする
- 体が熱い
- かゆい
- 何となくおかしい
特に、「何となく変な感じがする」「いつもと違う」という訴えは、見逃さないようにします。
患者さんが症状をうまく言葉にできない場合もあるため、表情や落ち着きのなさなども含めて観察します。
外見や全身状態の変化
次のような変化にも注意します。
- 顔色が悪い
- 冷汗がある
- 呼吸状態が変化している
- 発熱している
- 悪寒やふるえがある
- 蕁麻疹や発赤がある
- 掻痒感が強くなっている
- 血圧や脈拍などのバイタルサインに変化がある
輸血前から発熱や呼吸苦などの症状がある患者さんでは、輸血前の状態と比較することが大切です。
「症状があるか」だけではなく、輸血前と比べて変化したかを考えます。
輸血開始前に確認すること
副作用を早期に発見するためには、輸血を始める前の確認も重要です。
日本赤十字社や厚生労働省の資料では、輸血前に患者さんと製剤の確認を行うことが示されています。
確認する内容には、次のようなものがあります。
- 患者さんの氏名などの本人確認
- 血液型や製剤の種類
- 製剤の番号や有効期限
- 製剤の外観
- 輸血の指示内容
- 輸血ルートや輸血セットの状態
- 輸血前のバイタルサイン
- 輸血前の自覚症状
患者確認では、患者さんに名前を名乗ってもらう方法や、リストバンドを用いた確認など、施設で定められた手順に従います。
確認を一人の記憶や思い込みだけで済ませないことも大切です。
「たぶん合っている」と感じたときほど、手順に沿って一つずつ確認します。
実践ポイント:最初の5分間は何を見る?
輸血開始後の最初の5分間は、患者さんのそばで観察します。
このときは、輸血が予定どおり落ちているかだけではなく、患者さんに変化がないかを見ます。
観察したいポイント
- 表情や顔色
- 呼吸の苦しさや呼吸状態
- 胸痛、背部痛、腹痛の有無
- 血管に沿った痛みや違和感
- 悪寒、ふるえ、発熱
- 掻痒、蕁麻疹、発赤
- 血圧、脈拍などの変化
- 患者さんの「いつもと違う」という訴え
輸血開始直後は、患者さんに「何か変わったことはありませんか」と声をかけるだけでなく、表情や呼吸の様子も確認します。
患者さんが「大丈夫」と答えていても、明らかに苦しそうであれば、その変化を見逃さないようにします。
15分程度の時点で再評価する
輸血開始後15分程度の時点では、もう一度患者さんの状態を確認します。
確認する内容は、輸血前や開始直後と比較して、変化がないかという視点で考えると分かりやすくなります。
- バイタルサイン
- 発熱や悪寒
- 呼吸状態
- 胸痛、腹痛、背部痛
- 掻痒や蕁麻疹
- 顔色や気分不良
- 輸血部位の痛みや違和感
ここで問題がなければ観察を終える、ということではありません。
その後も輸血中は、患者さんの状態や副作用の有無を適宜確認します。
副作用が疑われたら、自己判断で輸血を続けない
輸血中に副作用が疑われる症状を認めた場合は、自己判断で輸血を継続しないことが重要です。
日本赤十字社の手順では、輸血副作用が疑われる場合、次のような対応が示されています。
- 直ちに輸血を中止する
- 医師へ連絡する
- 施設の手順に従って対応する
- 輸血セットを交換し、生理食塩液などへ切り替える
輸血を中止した後のルート管理や輸液の種類、製剤の取り扱いは、医師の指示と施設の手順に従います。
看護師が単独で判断して対応を完結させるのではなく、異常を認めた時点で速やかに報告・連携します。
報告するときは、次の内容を整理して伝えると状況が共有しやすくなります。
- 輸血を開始した時刻
- 使用している製剤
- どのような症状が出たか
- 症状が出た時刻
- 輸血前後のバイタルサイン
- 輸血をどの程度行ったか
- 実施した対応
看護師・看護学生が起こしやすい見落とし
「最初の5分間」を時間だけで考えてしまう
最初の5分間は、時計を見ながら待つ時間ではありません。
患者さんのそばで、症状や表情、呼吸状態などを観察する時間です。
輸血開始後に別の業務を思い出しても、まずは観察を優先します。どうしても離れる必要がある場合は、施設の手順に従い、他のスタッフへ確実に引き継ぎます。
輸血前の状態を確認していない
輸血後に体温が上がったとしても、輸血前から発熱していたのか、輸血開始後に変化したのかで評価は異なります。
輸血前のバイタルサインや症状を確認しておくと、その後の変化を捉えやすくなります。
患者さんの訴えを軽く考えてしまう
「少し気分が悪い」「何となく胸が変」など、はっきりしない訴えでも、輸血開始直後であれば注意が必要です。
症状が軽いからといって、そのまま輸血を続けるのではなく、状態を確認して報告します。
滴下だけを見てしまう
輸血中は、滴下速度や輸血ラインの確認も必要です。
しかし、滴下が正常でも、副作用が起きていないとは限りません。
輸血の確認と患者さんの観察は、別々ではなく同時に行うものと考えます。
筆者の体験談
私が看護師をしていた頃、輸血を開始してしばらくした患者さんから、「少し寒い気がする」と言われたことがありました。
そのとき私は、病室の温度や寝具の影響かもしれないと思いました。患者さんの顔色は大きく変わっておらず、会話もできていたためです。
ただ、輸血を始めたばかりだったことが気になりました。
「寒いだけなら、少し様子を見てもよいのだろうか」と迷いましたが、念のため輸血をいったん止め、もう一度バイタルサインを確認しました。そして、輸血開始時刻と患者さんの訴えを整理して、先輩看護師へ相談しました。
先輩からは、「輸血直後の変化は、軽く見える症状でも一度立ち止まって確認しよう」と言われました。
その後、医師へ報告し、施設の手順に沿って対応しました。結果として大きな変化にはつながりませんでしたが、私はそのとき、「重い症状になってから報告する」のではなく、「いつもと違うと感じた時点で確認する」ことの大切さを実感しました。
最初の私は、患者さんの症状を環境のせいにしようとしていました。でも、輸血開始直後という時間を意識すると、見え方が変わりました。
この経験があってから、私は輸血中の「少し変」「何となくおかしい」という言葉を、以前より丁寧に聞くようになりました。
この体験談は医学的根拠を示すものではなく、輸血中の観察を臨床場面と結び付けて考えるためのものです。
よくある質問
輸血開始後、なぜ最初の5分間は患者さんのそばを離れないのですか?
ABO型不適合輸血などによる急性反応は、輸血開始直後から起こることがあります。血管に沿った痛み、不快感、胸痛、腹痛などの症状を早期に発見するため、最初の5分間はベッドサイドで観察します。
輸血開始後15分を過ぎれば観察は終了ですか?
いいえ。「15分を過ぎれば安全」という意味ではありません。15分程度の時点で再評価した後も、輸血終了まで患者さんの自覚症状や全身状態の変化を適宜確認します。
患者さんが「少し寒い」と訴えたらどうしますか?
輸血開始直後であれば、症状が軽く見えても注意が必要です。患者さんの状態を確認し、必要に応じて輸血を中止して医師へ報告します。その後のルート管理や対応は、医師の指示と施設の手順に従います。
輸血中は滴下速度だけ確認すればよいですか?
滴下速度や輸血ラインの確認は必要ですが、それだけでは不十分です。患者さんの表情、呼吸状態、痛み、発熱、悪寒、掻痒、蕁麻疹、バイタルサインなども同時に観察します。
輸血副作用が疑われた場合の基本的な対応は何ですか?
自己判断で輸血を継続せず、直ちに輸血を中止し、医師へ連絡します。その後は施設の手順に従い、輸血セットの交換や生理食塩液などへの切り替えを行います。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 輸血開始後の最初の5分間は、患者さんのそばを離れずに観察する
- 15分程度の時点で、バイタルサインと自覚症状を再確認する
- 胸痛、腹痛、背部痛、血管痛、呼吸苦、発熱、悪寒、蕁麻疹などに注意する
- 輸血前の状態と比較して、変化がないかを確認する
- 副作用が疑われたら、自己判断で継続せず、輸血を中止して医師へ報告する
- その後は施設の手順に従い、輸血セットの交換や生理食塩液への切り替えなどを行う
輸血開始後の最初の15分間は、急性副作用を早く発見するための重要な時間です。
「輸血が落ちているか」だけではなく、「患者さんに変化がないか」を見ることが、輸血時の看護につながります。
参考資料
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輸血開始直後の急性副作用への“気づき”と即時対応(観察→判断→報告)の訓練に直結するため、この記事の学習を深めるのに最も適している。
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