ルート採血で溶血を防ぐには?看護師が押さえたい手技と検体の扱い方
こんにちは、ユウです。
みなさんは、ルート採血で溶血を防ぐには、どの操作に気をつければよいのか迷ったことはありませんか?
採血が終わったあとに検体が溶血していると、「採血のどこがよくなかったのだろう」と気になりますよね。採血中の手技だけでなく、採血後の分注や混和、検体の保管・運搬も関係します。
今回は、ルート採血で溶血を防ぐためのポイントを、採血前・採血中・採血後に分けて解説します。
結論:採血時の負担を減らし、検体を乱暴に扱わない
ルート採血で溶血を防ぐには、赤血球にかかる機械的な負担を減らすことと、輸液などが検体に混ざらないようにすることが大切です。
具体的には、消毒薬が乾いてから穿刺し、強い陰圧で吸引しないようにします。細すぎる針を避け、採血管へ血液を移すときは強く押し込まないこともポイントです。採血後は、採血管を泡立てずにゆっくり転倒混和し、強い振とうや不適切な保管・運搬を避けます。
ルート採血では、輸液の混入によって検体が希釈されたり、溶血したりする可能性があります。可能な場合は単独ルートから採取し、やむを得ずラインから採取するときは、施設の手順や検査マニュアルに従ってください。
判断の基本は、採血時から検体の保管・運搬まで、血液に余計な負担をかけず、輸液などの混入を避けられているか確認することです。針の太さやライン採血の具体的な操作は施設によって手順が異なるため、自己判断で一律に決めず、施設の手順を優先しましょう。
この記事の読了時間
約8分
この記事でわかること
- 溶血とはどのような状態か
- ルート採血で溶血や輸液混入を避けるポイント
- 採血前・採血中・採血後に気をつけたい操作
- 検体に問題があったときの考え方
結論の根拠:採血手技だけでなく、採血後の扱いも関係する
日本臨床検査医学会の「標準採血法ガイドラインに基づく正しい採血法」では、採血の基本として、消毒後に乾燥を待つことや、適切な針を選ぶこと、静かな採血操作などが重視されています。
また、日本輸血・細胞治療学会の「輸血のための検査マニュアル Ver.1.4」では、輸液が検体に混ざると、検体の希釈や溶血につながる可能性があるため、単独ルートから採取することが示されています。やむを得ずラインから採取する場合の手順も示されていますが、実施時は施設の手順を確認しましょう。
札幌医科大学の採血に関する教育資料でも、消毒液を乾かすこと、細すぎる針を避けること、泡立てずに転倒混和することなどが紹介されています。
このように、溶血予防は「穿刺がうまくできたか」だけで決まるものではありません。採血後の分注や混和、保管、運搬まで含めて考える必要があります。
溶血とは?
溶血とは、赤血球が壊れて、赤血球の中にあるヘモグロビンが血清や血漿に出てくる状態です。大阪医科薬科大学の検査部FAQでも、溶血についてこのように説明されています。
採血した検体で溶血が起こると、検査結果に影響することがあります。ここでいう「採血時の溶血」は、採取した血液の中で赤血球が壊れた状態です。検体の見た目や検査結果だけから、患者さんの体内で溶血が起きていると判断しないようにしましょう。
ルート採血で溶血を防ぐポイント
採血前:消毒薬が乾くのを待つ
穿刺部位を消毒したら、消毒薬が乾いてから穿刺します。乾燥前に穿刺することは避けるよう、病院や大学の資料でも示されています。
また、採血に使う針は、細すぎるものを避けます。資料によって具体的な太さの示し方には違いがあるため、数値だけで判断せず、施設の採血手順に沿って選択してください。
ルート採血では、輸液の混入を避ける
輸液が検体に混ざると、検体が希釈されたり、溶血につながったりすることがあります。日本輸血・細胞治療学会の輸血検査マニュアルでは、単独ルートからの採取が示されています。
採血部位や方法を選べる場合は、輸液が流れているラインを避けることを検討します。ラインから採取せざるを得ない場合は、同マニュアルや施設の手順を確認してください。生理食塩液でのリンスなど、具体的な操作を自己判断で追加せず、定められた方法に従うことが大切です。
採血中:強く引かず、血液に負担をかけない
シリンジで採血するときは、強い陰圧で吸引しないようにします。強く引く操作や、針先・ルートを無理に動かす操作は、血液に機械的な負担をかける可能性があります。
採血が進みにくいときに、力を入れて吸引したくなることもあるかもしれません。しかし、強い吸引を続けるのではなく、状況を確認して施設の手順に沿って対応します。
採血した血液を採血管へ移すときも、押し子で勢いよく押し込むのは避けます。施設で定められた器具や方法を使い、泡立てないように静かに移してください。
採血後:採血管を強く振らない
採血管は、必要な添加剤と血液が混ざるように転倒混和します。ただし、激しく振るのではなく、泡立てないようにゆっくり行います。
検体の保管や運搬も、溶血予防の一部です。強い振動や不適切な温度管理を避け、施設の検査手順に沿って取り扱いましょう。検体を冷蔵庫に入れるかどうかなど、保管条件は検査項目や施設の手順によって異なるため、一律に判断しないことが大切です。
看護師・看護学生が実践するときのポイント
採血の前後で、次の点を確認しておくと、どの段階に気をつけるべきか整理しやすくなります。
| 場面 | 確認したいこと |
|---|---|
| 採血前 | 消毒薬が乾いているか、採血に適した針を選んでいるか |
| ルート採血 | 輸液の混入を避けられる採取方法か、施設手順に沿っているか |
| 採血中 | 強い陰圧で吸引していないか、血液に無理な力をかけていないか |
| 採血後 | 血液を勢いよく移していないか、採血管を泡立てずに混和しているか |
| 検体の搬送 | 保管・運搬方法が施設の手順に合っているか |
溶血が報告された場合は、採血手技だけに原因を限定せず、輸液の混入、分注方法、混和、保管や運搬まで振り返る必要があります。再採血の要否や方法は、検査部門や医師の指示、施設の手順に従って判断しましょう。
なお、針の太さについては、資料によって「23G未満を避ける」「25〜27Gは避ける」といった異なる表現があります。具体的な数値をそのまま一律の基準として扱うのではなく、施設で定められた採血手順を優先してください。
筆者の体験談:採血後に検体を振りそうになったとき
採血後、検体を準備している場面では、採血管の中で血液が混ざっていないように見えて、つい強く振って混ぜたくなることがあります。「ちゃんと混ぜないと」と思う一方で、どの程度の操作が適切なのか迷う場面です。
たとえば、看護師が採血管を持ったところで、近くにいた先輩から「振るのではなく、ゆっくり転倒混和しよう」と声をかけられる場面を考えてみます。採血管を泡立てないようにゆっくり返す方法を確認すると、混和の目的だけでなく、検体に余計な負担をかけない扱い方も意識しやすくなります。
この場面は、検体の扱い方を振り返るための一例です。医学的な根拠を示すものではありません。採血後のちょっとした操作も検体の状態に関わることを、手技を確認するきっかけにしましょう。
まとめ
ルート採血で溶血を防ぐためには、採血時の機械的な負担を減らし、検体を適切に扱うことが基本です。
- 消毒薬が乾いてから穿刺する
- 強い陰圧で吸引せず、細すぎる針を避ける
- 輸液の混入を避け、ルート採血では施設の手順に従う
- 血液を採血管へ勢いよく押し込まない
- 採血管は泡立てずにゆっくり転倒混和する
- 保管・運搬まで含めて検体を丁寧に扱う
「採血手技」だけでなく、「採血後の検体の扱い」まで確認することが、溶血予防につながります。
FAQ
ルート採血では、輸液が流れているラインから採血してもよいですか?
輸液の混入によって、検体が希釈されたり溶血したりする可能性があります。可能な場合は単独ルートから採取し、ラインから採取せざるを得ないときは、日本輸血・細胞治療学会のマニュアルや施設の手順に従ってください。
採血管に溶血が見られたら、必ず採り直しですか?
検査項目や検体の状態によって対応が異なるため、一律には判断できません。検査部門や医師に確認し、施設の手順に沿って再採血の要否を判断します。
採血管を混和するときは、何回転倒させればよいですか?
今回参照した資料から、すべての採血管に共通する転倒回数は示せません。採血管の種類や施設の検査手順を確認し、泡立てずに混和してください。
参考文献
- 日本臨床検査医学会「標準採血法ガイドラインに基づく正しい採血法」
- 日本輸血・細胞治療学会「輸血のための検査マニュアル Ver.1.4」
- 札幌医科大学「採血に関する教育資料(Seasons Vol.16)」
- 大阪医科薬科大学「検査部FAQ」
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
今回の記事について、さらに理解を深めたい方におすすめの書籍を紹介します。
看護技術クイックノート 第2版
著者:石塚睦子
出版社:照林社
採血を含む看護技術の手順と根拠が写真・イラストでまとまっており、採血手技や混和・保管の実践確認に最適です。
もっとよくわかる ナースのための急性期(ICU・救急)の輸液
著者:北別府孝輔
出版社:照林社
輸液管理の視点からラインからの採血や輸液混入のリスク理解が深まり、ルート採血時の判断や手順確認に役立ちます。
ナースが書いた看護に活かせる血液ガスノート
著者:春名純平
出版社:照林社
血液ガスや採血検体の取り扱いと検査値の解釈を学べるため、検体の扱い(溶血や保存)が検査結果に与える影響の理解に有用です。
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