CRPが高いときは感染症?看護師・看護学生が確認したい見方と観察ポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、採血結果でCRPが高い患者さんを見たとき、「感染症があるのかな?」と迷ったことはありませんか?
CRPは炎症の程度を考える手がかりになりますが、CRPが高いだけで感染症と決めつけることはできません。術後や外傷後、心筋梗塞、がん、膠原病など、感染症以外でも上昇することがあります。
今回は、CRP高値を見たときにどう考えるのか、看護師・看護学生が確認したい観察ポイントを中心に解説します。
結論:CRP高値は「炎症の可能性」を示すが、感染症の確定ではない
CRPが高いときは、まず体内で炎症や組織障害が起きている可能性を考えます。
ただし、
CRP高値=感染症
ではありません。
CRPは、細菌やウイルスなどの病原体を直接見つける検査ではなく、炎症反応が起きた結果として増える蛋白です。そのため、感染症かどうかを判断するときは、次の情報を組み合わせます。
- 発熱や悪寒があるか
- 疼痛や腫脹などの局所症状があるか
- 呼吸状態や呼吸音に変化があるか
- 尿の混濁、排尿時痛、尿量の変化があるか
- 創部の発赤、腫脹、排液などがあるか
- 血圧、脈拍、呼吸数、SpO2に変化があるか
- WBCや白血球分画がどうなっているか
- プロカルシトニンなど、ほかの検査結果はどうか
- 術後や外傷後の場合、発症からどのくらい経過しているか
- CRPが前回と比べて上昇しているのか、低下しているのか
ざっくり言うと、CRPは「感染症を知らせる検査」ではなく、炎症や組織障害の可能性に気づくための検査です。
この記事の読了時間
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この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- CRPが高くなる理由
- CRP高値だけで感染症と判断できない理由
- CRPの数値や経時変化の見方
- 看護師・看護学生が確認したい観察ポイント
- CRP高値を申し送るときの情報整理
根拠:CRPは炎症反応を示す非特異的な指標
CRPは、炎症が起きたときに血液中で増える蛋白です。
「非特異的」という言葉が少し難しいですが、これは、CRPが上昇していても、その原因や場所までは分からないという意味です。
日本臨床衛生検査技師会の解説資料や、鳥取県医師会のCRPに関する解説でも、CRPは炎症の程度をみる検査であり、CRP単独で原因を特定するものではないと説明されています。
感染症ではCRPが上昇することがあります。しかし、感染症以外にも、次のような状態で上昇することがあります。
- 心筋梗塞
- がん
- 膠原病
- 外傷
- 手術後の反応
このため、CRPの結果だけで「感染あり」「細菌感染」と記録したり、説明したりするのは適切ではありません。
医療機関によるCRPの解説でも、CRP高値だけでは感染症の有無や原因疾患を判断できないとされています。
詳しい解説
CRPが高いときに感染症を疑う理由
感染症では、体内に侵入した病原体に対して免疫反応が起きます。その結果、炎症反応が生じ、CRPが上昇することがあります。
そのため、発熱や局所の症状があり、CRPやWBCも上昇している場合には、感染症の可能性を考えます。
ただし、ここでも大切なのは、CRPだけで判断しないことです。
たとえば、CRPが高くても、手術直後であれば手術による組織への刺激が影響している可能性があります。外傷後であれば、損傷した組織による炎症反応が関係していることもあります。
つまり、CRP高値を見たときは、
「感染症があるか」だけではなく、「炎症を起こす出来事がほかにないか」も確認する
ことが重要です。
CRPの数値はどう見る?
CRPは炎症の有無や程度を考える参考になりますが、単独で使える診断基準ではありません。
一部の解説では、CRPが1〜10mg/dL程度の中等度上昇の場合、ウイルス感染、自己免疫疾患、悪性腫瘍、術後反応など、複数の原因を考える必要があるとされています。
また、細菌感染ではCRPが数mg/dLから10mg/dL以上に上昇することがあると説明される場合もあります。
しかし、これらはあくまで鑑別を考えるときの目安です。
CRPの数値だけで、
- 細菌感染である
- ウイルス感染である
- 感染症はない
- 重症である
と確定することはできません。
同じCRP値でも、患者さんの症状や発症時期、基礎疾患、術後日数などによって意味が変わります。
CRPは発症直後だと上がっていないことがある
CRPは、炎症が起きた直後からすぐに高値になるとは限りません。
HORIBAのCRPとWBCに関する資料では、CRPは炎症刺激後すぐではなく、約12時間後に上昇しうると説明されています。
そのため、発熱や疼痛などの症状が出てから間もない時点では、CRPが軽度であったり、まだ上昇していなかったりすることがあります。
反対に、CRPが高いからといって、必ずしも現在の症状が急激に悪化しているとは限りません。CRPは、現在の状態だけでなく、少し前から起きている炎症反応を反映している場合があります。
だからこそ、1回の数値だけでなく、前回値との比較や、その後の推移を確認します。
看護師・看護学生が確認したい観察ポイント
1.まず患者さんの症状を確認する
CRPの結果を見る前後に、患者さんの全身状態を確認します。
- 発熱、悪寒、倦怠感の有無
- 疼痛の部位と程度
- 食欲や水分摂取量
- 意識状態や反応の変化
- 呼吸困難、咳、痰の有無
- 排尿時痛、尿の色や混濁
- 創部や皮膚の発赤、腫脹、熱感、排液
「CRPが高い」という検査結果を、患者さんの症状と結びつけて考えることが大切です。
2.バイタルサインの変化を確認する
発熱の有無だけでなく、次の変化も確認します。
- 体温
- 脈拍
- 血圧
- 呼吸数
- SpO2
CRP高値があっても、バイタルサインが安定している場合があります。反対に、CRPの上昇が目立たなくても、呼吸状態や意識状態に変化がみられる場合があります。
検査値だけでなく、患者さんを実際に観察した情報を合わせて評価します。
3.WBCや白血球分画を確認する
CRPを見るときは、WBCや白血球分画も確認します。
CRPとWBCが同じように変化しているのか、どちらか一方だけが変化しているのかを見ることで、患者さんの状態を整理しやすくなります。
ただし、WBCや白血球分画を組み合わせても、それだけで感染症の診断ができるわけではありません。
感染症におけるCRPの解説でも、CRP、WBC、症状、画像所見などを組み合わせて評価する必要があると説明されています。
4.術後日数や外傷の有無を確認する
手術後や外傷後は、感染症がなくても炎症反応が起こることがあります。
そのため、CRP高値を見たら、
- 手術を受けてから何日目か
- 外傷が起きてからどのくらいか
- 創部に新たな変化があるか
- CRPが上昇し続けているのか、低下しているのか
を確認します。
「術後だから問題ない」と決めつけるのも、「CRPが高いから感染している」と決めつけるのも、どちらも注意が必要です。
5.CRPの推移を確認する
CRPは、単発の値よりも経過を見ることが重要です。
申し送りや記録では、次のように整理すると伝わりやすくなります。
「CRPは昨日の○mg/dLから本日○mg/dLに上昇しています。体温は○℃、脈拍は○回/分です。咳嗽と膿性痰があり、SpO2は昨日より低下しています。」
このように、CRPの数値だけでなく、症状やバイタルサインの変化をセットで伝えます。
CRP高値を記録するときの注意点
看護記録では、CRP高値を見たときに、原因を断定しない表現を使うことが大切です。
避けたい書き方
- CRP高値のため感染症あり
- CRPが高く、細菌感染が疑われる
- CRP上昇は肺炎によるもの
これらは、CRPだけでは判断できない内容を断定しています。
情報と解釈を分けた書き方
- CRP 8.2mg/dL、体温38.1℃、咳嗽と膿性痰あり
- WBC 12,000/μL、好中球分画上昇あり
- 胸部聴診で右下肺野に湿性ラ音を聴取
- 呼吸器感染症を含めた炎症性病態の可能性を考え、担当看護師へ報告した
観察した事実と、そこから考えたことを分けると、記録を読む人が状況を判断しやすくなります。
実践ポイント
- CRP単独で「感染あり」と記録・説明しない。
- 患者さんの発熱、疼痛、局所所見、呼吸状態、尿所見、創部所見、バイタルと合わせて考える。
- WBC、好中球分画、プロカルシトニンなどの他検査と整合するか確認する。
- 術後や外傷後は、CRP上昇が感染ではなく生理的反応の可能性もあるため、術後日数と推移を見る。
- 上昇のタイミングを意識する。症状出現直後はCRPが十分上がっていないことがある。
- 看護記録・申し送りでは、「CRP高値」だけでなく、何の所見があり、どう変化しているかをセットで伝える。
筆者の体験談
私が看護師をしていた頃、術後の患者さんの採血結果を確認していて、CRPが前日より上がっていることがありました。
その患者さんには微熱があり、私は最初、「術後の炎症反応として上がっているのかもしれない」と考えました。
しかし、訪室すると、患者さんが「昨日より少し息がしにくい」と話しました。ベッド上で会話はできていましたが、返答の途中で息継ぎが増えているように見えました。
私は、CRPの値だけを見ていたときには、術後の経過として考えてよいように感じていました。でも、患者さんの話を聞いてから、「CRPの解釈を数値だけで終わらせてはいけないかもしれない」と迷いました。
そこで、体温や脈拍、呼吸数、SpO2を測定し、前日の記録と比較しました。呼吸状態の変化とCRPの上昇を合わせて、先輩看護師に報告しました。
先輩からは、「術後だからという理由だけで片づけず、患者さんに変化があるなら、その変化を報告しよう」と言われました。
結果として、その場でCRPだけから感染症と判断したわけではありません。ですが、患者さんの訴えや呼吸状態を含めて報告したことで、追加の観察と評価につながりました。
この経験があってから、私は採血結果を見るときに、最初に数値だけを追いかけないようになりました。検査値を見たら、「この患者さんは今、どのように見えているのか」「前回と何が変わったのか」を一緒に考えるようにしています。
この体験談は医学的根拠を示すものではなく、CRP高値を患者さんの観察や看護実践と結び付けて考えるための一例です。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- CRP高値は、炎症や組織障害の可能性を示す
- CRPが高いだけでは、感染症と断定できない
- 細菌感染、ウイルス感染、非感染性炎症をCRP単独で鑑別することはできない
- 術後、外傷後、心筋梗塞、がん、膠原病などでもCRPは上昇しうる
- 発症直後はCRPがまだ上昇していない場合がある
- CRPは単発の値ではなく、症状、バイタル、WBC、白血球分画、画像所見、経時変化と合わせて評価する
- 記録や申し送りでは、「CRP高値」だけでなく、患者さんにどのような症状や変化があるのかを伝える
ざっくり言うと、CRPは「感染症を確定する検査」ではなく、患者さんの状態をもう一度確認するきっかけになる検査です。
FAQ
Q1.CRPが高ければ、必ず感染症ですか?
いいえ。CRP高値だけで感染症とはいえません。
CRPは感染症以外にも、手術後、外傷、心筋梗塞、がん、膠原病などで上昇することがあります。症状や身体所見、ほかの検査結果、経過を合わせて評価します。
Q2.CRPが正常なら感染症は否定できますか?
否定できません。
炎症が起きてから時間が経っていない場合、CRPがまだ十分に上昇していないことがあります。症状やバイタルサインに変化がある場合は、CRPが低値でも患者さんの状態を継続して確認します。
Q3.CRPが高いと細菌感染ですか?
CRPは細菌感染で上昇することがありますが、CRPだけで細菌感染と判断することはできません。
ウイルス感染や感染症以外の炎症でも上昇するため、WBC、白血球分画、プロカルシトニン、症状、画像所見などと合わせて考えます。
Q4.看護記録には「CRP高値、感染あり」と書いてもよいですか?
CRPだけで感染症と確定できないため、「感染あり」と断定するのは避けます。
CRPの数値、発熱、疼痛、呼吸状態、創部所見などの事実を記録し、そのうえで「感染症を含めた炎症性病態の可能性を考えた」など、解釈であることが分かる表現を使います。
参考文献
- 日本臨床衛生検査技師会、CRPに関する解説資料、臨床検査に関する資料
- 鳥取県医師会、「CRPとは」、健康ア・ラ・カルト
- MRSO、「CRPが高いときに考えられること」、Colorda
- ドック東京、「感染症とCRP」、検査結果の見方
- HORIBA、「CRPとWBC」、医療関係者向け資料
- 日経メディカル、「CRPの読み方に関する解説」、看護・医療関係者向け記事
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