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BNPが高いときに疑う病態と看護師・看護学生の観察ポイント

フィジカルアセスメント
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BNPが高いときは何を疑う?心不全との関係と看護師・看護学生の観察ポイント

こんにちは、ユウです。

みなさんは、採血結果でBNPが高い患者さんを見たとき、「心不全ということなのかな?」と迷ったことはありませんか?

BNPは心不全と関係する検査ですが、数値が高いだけで心不全と確定するわけではありません。腎機能低下や不整脈など、ほかの病態でも上昇することがあります。

今回は、BNPが高いときにまず何を疑うのか、数値をどう考えるのか、看護師・看護学生が確認したい観察ポイントを解説します。

結論:BNP高値では、まず心不全を疑い、症状や検査結果と合わせて判断する

BNPが高いときに最初に疑うのは、心臓に負担がかかっている状態、特に心不全です。

ただし、BNP高値だけで心不全と決めつけることはできません。

まずは、次のような情報を合わせて確認します。

  • 息切れ、呼吸困難、起坐呼吸があるか
  • 下腿浮腫や体重増加があるか
  • 尿量が低下していないか
  • 脈の乱れや動悸がないか
  • 血圧、SpO2、呼吸音に変化がないか
  • 腎機能が低下していないか
  • 前回のBNP値から上昇しているか
  • 心電図、胸部X線、心エコーなどで異常がないか

ざっくり言うと、BNPは「心不全の診断ボタン」ではなく、心臓への負担を考えるきっかけになる検査です。

BNP高値を見たら、
「心不全の可能性を考えながら、うっ血や心不全症状の有無を確認し、必要な報告・精査につなげる」
という流れで考えると整理しやすくなります。

想定読了時間:約12分

この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • BNPが高いときにまず疑う病態
  • BNPの数値を考えるときの目安
  • 心不全以外でBNPが上昇する原因
  • BNP高値の患者さんに対する看護の観察ポイント
  • 看護師・看護学生が報告するときの情報整理

根拠:BNPは心臓への負担を反映する

BNPは、心臓、とくに心室に負担がかかったときに分泌されるホルモンです。

心室の壁に強いストレスがかかると、BNPが血液中に増えます。そのため、心不全などで心臓に負荷がかかっているときに、BNPが高くなりやすくなります。

日本心臓財団の「BNPが高値で心配」でも、BNPは心不全で上昇する一方、高血圧や不整脈などでも上昇することが説明されています。

つまり、BNPの結果は、

心臓に負担がかかっている可能性がある

という情報を示すものです。

BNPの数値だけを見て「心不全がある」「心不全はない」と判断するのではなく、症状や身体所見、画像検査などを合わせて評価します。

日本心不全学会のステートメントでも、BNPは心不全の評価に役立つ一方、BNPだけで判断するのではなく、症状や身体所見、心電図、胸部X線、心エコーなどを組み合わせる必要があるとされています。

詳しい解説

BNPの数値はどう見る?

BNPについては、使用する基準やステートメントの改訂時期によって、示されている目安に違いがあります。

2023年改訂版では35 pg/mLが目安

日本心不全学会の2023年改訂版ステートメントでは、BNPについて、35 pg/mL以上を心不全の可能性を考える目安としています。

一方、従来の日本心不全学会のステートメントでは、次のような区分が示されています。

  • BNP 40 pg/mL以上:心不全の可能性を考える
  • BNP 100 pg/mL以上:治療対象となる心不全の可能性がある
  • BNP 200 pg/mL以上:治療対象となる心不全の可能性が高い

2023年改訂版では、心不全の可能性を考えるBNPの目安が35 pg/mLに変更されています。

そのため、数値を読むときは、どの基準や資料を使っているのかを確認することが大切です。

前回値から40%以上上昇している場合

BNPは、その時点の絶対値だけでなく、前回値との比較も重要です。

日本心不全学会の2023年改訂版ステートメントでは、BNPが前回より40%以上上昇している場合、心不全の増悪の可能性を考え、原因検索と早期介入が必要とされています。

たとえば、BNPが基準範囲を少し超えている場合でも、以前より明らかに上昇しているなら、患者さんの症状や体液バランスの変化を確認する必要があります。

BNP高値でまず疑う病態

1.心不全

BNP高値で最初に考えるのは心不全です。

心不全では、心臓が血液を十分に送り出せなかったり、心臓に血液がうっ滞したりすることで、心臓に負担がかかります。その結果、BNPが上昇しやすくなります。

心不全を疑う症状としては、次のようなものがあります。

  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 起坐呼吸
  • 夜間の呼吸困難
  • 下腿浮腫
  • 体重増加
  • 尿量低下
  • 倦怠感
  • 動悸

ただし、これらの症状がすべてそろうとは限りません。BNPの数値と症状が一致しないこともあるため、複数の情報を組み合わせて考えます。

2.体液過剰やうっ血

体液が過剰になっている場合も、BNP高値の背景として考えます。

体重が増えている、浮腫が出ている、呼吸状態が悪化している、尿量が減っているなどの変化があれば、体液バランスの変化がないか確認します。

看護では、単に「BNPが高い」と記録するだけではなく、次の項目を合わせて確認することが重要です。

  • 体重の変化
  • 輸液量
  • 尿量
  • 浮腫
  • 呼吸状態

心不全以外でもBNPは高くなる

BNPが高いからといって、必ず心不全があるとは限りません。

心不全以外にも、次のような状態でBNPが上昇することがあります。

  • 心房細動などの不整脈
  • 高血圧性心疾患
  • 弁膜症
  • 腎機能低下や腎不全
  • 肺高血圧症
  • 急性冠症候群や心筋虚血
  • 肺塞栓症
  • 加齢

日本心臓財団の解説では、高血圧や不整脈がある場合にもBNPが上昇しうると説明されています。

また、日本心不全学会のステートメントでも、BNPは心不全の評価に役立つ一方、BNPだけで判断するのではなく、症状や身体所見、心電図、胸部X線、心エコーなどを組み合わせる必要があるとされています。

腎機能低下がある場合

腎機能が低下している患者さんでは、BNPの解釈が難しくなることがあります。

そのため、BNPが高いときは、クレアチニンやeGFRなどの腎機能データ、尿量、体液バランスも確認します。

「BNPが高いから心不全」と短絡的に考えるのではなく、

心不全による上昇なのか、腎機能低下などが影響しているのか

を考える必要があります。

不整脈がある場合

心房細動などの不整脈でも、BNPが上昇することがあります。

BNP高値の患者さんでは、脈拍数だけでなく、脈の不整や動悸の有無も確認します。心電図の結果があれば、洞調律なのか、不整脈があるのかを確認します。

肥満ではBNPが高くならないこともある

BNP高値とは反対に、肥満の患者さんでは、心不全があってもBNPが上がりにくいことがあります。

そのため、BNPがそれほど高くないからといって、症状や身体所見を無視してはいけません。

息切れや浮腫、体重変化などがある場合は、BNPの値だけで安心せず、ほかの情報と合わせて考えます。

BNPとNT-proBNPは同じ検査ではない

BNPと似た検査に、NT-proBNPがあります。

どちらも心不全を考えるときに使われますが、BNPとNT-proBNPは同じ物質ではなく、数値をそのまま比較することはできません

調査結果では、NT-proBNPについて、125 pg/mL以上が心不全を疑う目安として用いられることがあり、急性心不全では300 pg/mL未満が可能性を低くする目安とされています。また、年齢に応じた目安として450、900、1800 pg/mL超が示されています。

ただし、BNPとNT-proBNPでは検査項目が異なるため、検査結果を見るときは、まず項目名を確認します。

「BNPなのか」「NT-proBNPなのか」を確認せずに、数値だけを比較しないようにしましょう。

実践ポイント:BNP高値のときに看護師・看護学生が確認したいこと

1.呼吸状態

まず、呼吸状態を確認します。

  • 息苦しさの有無
  • 安静時・体動時の呼吸困難
  • 起坐呼吸の有無
  • 夜間の呼吸状態
  • 呼吸数
  • SpO2
  • 呼吸音の変化

患者さんが「苦しくない」と話していても、会話時に息切れがある、移動で呼吸状態が変化するなど、観察から分かることがあります。

2.うっ血や体液貯留の所見

次に、体液がたまっている可能性を考えます。

  • 下腿浮腫
  • 体重増加
  • 頸静脈怒張
  • 尿量の変化
  • 輸液量
  • 食事や水分摂取量
  • 皮膚の張りや患者さんの自覚症状

特に体重は、前回と比較して変化を確認します。

「体重が何kgか」だけではなく、「いつからどの程度変化したのか」を把握することが大切です。

3.循環状態

循環状態として、次の項目を確認します。

  • 血圧
  • 脈拍数
  • 脈のリズム
  • 動悸
  • 倦怠感
  • 末梢冷感などの変化

BNPが高く、脈が不整で動悸を訴えている場合は、不整脈の可能性も考えながら心電図などの情報を確認します。

4.腎機能と尿量

BNP高値の解釈では、腎機能も重要です。

  • クレアチニン
  • eGFR
  • 尿量
  • 尿の回数や性状
  • 輸液量とのバランス

腎機能が低下している場合は、BNPの高さだけで心不全の重症度を判断しないようにします。

5.前回値との比較

BNPは、過去の値と比較して確認します。

  • 前回のBNP値
  • 今回のBNP値
  • 前回からの変化率
  • その間に出現した症状
  • 治療や輸液内容の変化

前回比40%以上の上昇は、心不全増悪の可能性を考える目安とされています。

BNP高値を報告するときの整理方法

BNPの値だけを伝えるよりも、症状や身体所見を合わせて報告すると、状態が伝わりやすくなります。

報告内容の例

  • BNPが前回より上昇している
  • 息切れや起坐呼吸がある
  • SpO2や呼吸数に変化がある
  • 下腿浮腫や体重増加がある
  • 尿量が減少している
  • 脈が不整である
  • 腎機能が低下している
  • 輸液量や水分摂取量に変化がある

「BNPが高いです」と伝えるだけではなく、

BNP高値に加えて、どのような症状や身体所見があるのか

を具体的に伝えることがポイントです。

もちろん、実際の報告や対応は、患者さんの状態と施設の手順に従います。呼吸困難や急な状態変化がある場合は、BNPの数値を待つのではなく、患者さんの安全を優先して速やかに相談・報告します。

筆者の体験談:BNPの数値だけで判断しない大切さ

私が看護師をしていた頃、採血結果を確認していて、BNPが前回より高くなっている患者さんを受け持ったことがありました。

その患者さんは、ベッド上では「苦しくない」と話していました。私は最初、呼吸困難の訴えがないので、急いで対応する状態ではないのかもしれないと思いました。

ただ、記録を見返すと、前日より体重が増えていました。さらに、朝の歩行時に「少し息が切れた」と話していたことにも気づきました。

私はそのとき、「BNPが高いから心不全」と考えてよいのか、それとも腎機能の影響もあるのか、少し迷いました。

そこで、呼吸数やSpO2、呼吸音、下腿の浮腫、尿量をもう一度確認し、前回のBNP値と腎機能のデータも見直しました。そのうえで、体重の変化と歩行時の息切れがあることを含めて、先輩看護師に相談しました。

先輩から「数値だけではなく、前回からの変化と患者さんの様子を合わせて伝えよう」と言われ、医師への報告内容を整理しました。

振り返ると、私は最初、患者さんが「苦しくない」と話したことに引っ張られていました。けれども、症状は安静時だけでなく、動いたときに出ることもあります。

この経験があってから、私はBNPの値を見たとき、数値だけで判断せず、前回値や体重、尿量、呼吸状態を一緒に見るようになりました。

この体験談は医学的根拠を示すものではなく、BNP高値の患者さんを観察・報告する際の考え方を具体的にイメージするためのものです。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • BNPが高いときは、まず心不全や心臓への負荷を疑う
  • BNP高値だけで心不全と確定することはできない
  • 腎機能低下、不整脈、高血圧性心疾患、弁膜症、肺高血圧などでも上昇する
  • BNPは症状、身体所見、心電図、胸部X線、心エコー、腎機能と合わせて判断する
  • 2023年改訂版では、BNP 35 pg/mL以上が心不全の可能性を考える目安とされている
  • 前回よりBNPが40%以上上昇している場合は、心不全増悪の可能性を考える
  • 看護では、息切れ、起坐呼吸、浮腫、体重増加、尿量、SpO2、呼吸音、脈の不整を確認する
  • BNPとNT-proBNPは別の検査なので、項目名を確認する

結局、BNP高値を見たときに大切なのは、数値だけで結論を出すことではありません。

「心不全の可能性を考えながら、患者さんの症状・身体所見・前回値・腎機能などを組み合わせて評価する」ことが基本です。

FAQ

BNPが高いと、必ず心不全ですか?

いいえ。BNP高値は心不全を疑うきっかけになりますが、心不全と確定するわけではありません。

腎機能低下、不整脈、高血圧性心疾患、弁膜症、肺高血圧、肺塞栓症、加齢などでも上昇することがあります。症状や身体所見、画像検査などと合わせて判断します。

BNPが低ければ、心不全は否定できますか?

BNPが低い場合でも、症状や身体所見を確認する必要があります。

肥満の患者さんでは、心不全があってもBNPが上がりにくいことがあります。そのため、BNPの値だけで心不全を否定しないことが大切です。

BNPが何pg/mLなら危険ですか?

日本心不全学会の資料では、BNP 35 pg/mL以上を心不全の可能性を考える目安としています。

また、従来のステートメントでは、100 pg/mL以上、200 pg/mL以上について、心不全の可能性や治療対象となる心不全の可能性が高くなる区分が示されています。

ただし、数値だけで危険度を決めるのではなく、症状、身体所見、前回値、腎機能などを合わせて評価します。

BNP高値の患者さんで、看護師が最初に見ることは何ですか?

まず、呼吸困難や息切れ、起坐呼吸、SpO2、呼吸数、呼吸音を確認します。

そのうえで、下腿浮腫、体重変化、尿量、脈の不整、血圧、腎機能、前回のBNP値などを確認します。

BNPとNT-proBNPは同じですか?

同じではありません。

どちらも心不全を考えるときに使われますが、別の検査項目です。基準や数値の見方も異なるため、検査結果では「BNP」なのか「NT-proBNP」なのかを確認します。

参考文献

  • 日本心不全学会「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント」2013年、日本心不全学会
  • 日本心不全学会「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント」改訂版、2023年、日本心不全学会
  • 日本心不全学会「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント」改訂版PDF、2023年、日本心不全学会
  • 日本心臓財団「BNPが高値で心配」、日本心臓財団

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