【限定公開】全教科で「優」が取れた実習教材

起立性低血圧の観察ポイント 症状・測定・記録のコツ

フィジカルアセスメント
この記事は約11分で読めます。

起立性低血圧で観察すること|看護師・看護学生が確認したいポイント

こんにちは、ユウです。

みなさんは、患者さんが立ち上がったときに「ふらつく」「目の前が暗くなる」と訴えた場面で、何を確認すればよいのか迷ったことはありませんか?

起立性低血圧というと、血圧の数値だけを測ればよいように思うかもしれません。でも実際には、どの体位で、いつ症状が出たのか、脈拍はどう変化したのか、背景に何があるのかを合わせて見る必要があります。

今回は、起立性低血圧でまず観察したい項目と、看護師・看護学生が状態を判断するときの考え方について解説します。


結論:起立性低血圧は「血圧の変化・症状・原因」をセットで見る

起立性低血圧が疑われる患者さんでは、まず次の3つを確認します。

  1. 体位変換に伴う血圧・脈拍の変化
  2. めまい、ふらつき、眼前暗黒感などの症状と出現タイミング
  3. 脱水、薬剤、自律神経障害、心疾患などの背景

具体的には、次の項目を観察します。

  • 仰臥位で安静にしたあとの血圧・脈拍
  • 立位1分後、3分後の血圧・脈拍
  • 起立直後から症状が出るまでの時間
  • めまい、ふらつき、立ちくらみ、眼前暗黒感、失神の有無
  • 顔色、冷汗、意識状態、立位の安定性
  • 座位や臥位に戻したあと、どのくらいで回復したか
  • 脱水を示す所見
  • 排尿後、食後、入浴後、運動後などの発症状況
  • 服薬内容や服薬後の症状
  • 糖尿病や神経疾患などの既往

ざっくり言うと、起立性低血圧では、

「血圧が下がったか」だけでなく、「患者さんがどうなったか」を見る

ことが重要です。

想定される読了時間

約15分

この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • 起立性低血圧で最初に確認する観察項目
  • 起立時の血圧・脈拍を測定するときの考え方
  • 症状の出現タイミングと回復経過を見る理由
  • 脱水や薬剤、自律神経障害など原因を考えるポイント
  • 看護師・看護学生が安全に観察・記録・報告するための視点

根拠:起立性低血圧では体位変換後の変化を確認する

起立性低血圧は、立位への体位変換後に、めまい、ふらつき、立ちくらみ、眼前暗黒感、失神などが起こる場合に疑われます。

医学書院の医療情報サービスによる起立性低血圧の解説では、体位変換後の症状に加えて、貧血、脱水、神経疾患、糖尿病などの背景を考えることが説明されています。

また、MSDマニュアル「起立性低血圧」では、仰臥位で5分間安静にしたあと、立位1分後・3分後の血圧と心拍数を確認する方法が示されています。

つまり、起立時の一時点だけを測定するのではなく、

  • 臥位から立位になったときにどう変化したか
  • 立位を続けたときに変化が続くか
  • 症状が出たのか
  • 座位や臥位に戻すと回復するのか

を流れとして見る必要があります。

起立性低血圧でまず見る観察項目

1.体位変換前後の血圧・脈拍

まず確認したいのは、体位変換に伴う血圧と脈拍の変化です。

基本的には、次のような流れで確認します。

  1. 仰臥位で5分間安静にする
  2. 仰臥位の血圧・脈拍を測定する
  3. 安全を確認して立位になる
  4. 立位1分後の血圧・脈拍を測定する
  5. 立位3分後の血圧・脈拍を測定する

患者さんに症状が出た場合は、無理に立位を続けません。転倒の危険があるため、安全を優先して座位または臥位に戻します。

記録するときは、単に「血圧低下」と書くのではなく、次のように体位と時点をそろえて記録します。

  • 仰臥位5分後:血圧、脈拍
  • 立位1分後:血圧、脈拍、症状
  • 立位3分後:血圧、脈拍、症状
  • 臥位または座位へ戻した後:回復の有無と時間

2.症状の種類と出現タイミング

起立性低血圧では、血圧の変化だけでなく症状を確認します。

主な症状には、次のようなものがあります。

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • ふらつき
  • 眼前暗黒感
  • 頭痛
  • 失神
  • 脱力感

患者さんには、次のように具体的に尋ねると確認しやすくなります。

  • 「立ち上がったときに、目の前が暗くなりませんでしたか?」
  • 「体がふわっとする感じはありましたか?」
  • 「症状は立った直後に出ましたか?それとも少し時間がたってからですか?」
  • 「座るとすぐに楽になりますか?」
  • 「これまでに意識を失ったことはありますか?」

特に重要なのは、症状が立位後の何分で出たのかです。

起立直後に症状が出るのか、立位を続けてから出るのかによって、観察の仕方が変わります。症状の出現時間と、座位・臥位に戻したあとの回復までの時間を記録しておくと、状態の変化を追いやすくなります。

3.脈拍の変化と代償反応

立ち上がると、重力の影響で血液が下肢に移動します。通常は、心拍数を増やすなどの反応によって血圧を保とうとします。

そのため、血圧が低下したときに脈拍がどのように変化したかも確認します。

  • 血圧低下に対して脈拍が増えているか
  • 脈拍の増加が乏しいか
  • 立位で頻脈になっていないか

MSDマニュアルの解説では、血圧低下に対する心拍数の増加が乏しい場合は自律神経障害を、心拍数が大きく増加する場合は循環血液量の減少を示唆することが説明されています。

具体的には、同資料では、代償性の心拍数増加が10回/分未満の場合は自律神経障害を示唆し、心拍数が100回/分を超える、または30回/分を超えて増加する場合は循環血液量減少を示唆するとされています。

ただし、脈拍の変化だけで原因を決めることはできません。血圧、症状、脱水所見、病歴、薬剤などと合わせて評価します。

起立性低血圧の原因を考える観察

起立性低血圧が起きたときは、「なぜ起きたのか」を考えることも必要です。

脱水や循環血液量の減少

脱水があると、体内を循環する血液量が減少し、立位で血圧を保ちにくくなることがあります。

次のような情報を確認します。

  • 発熱
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 水分制限
  • 食事や水分摂取量の低下
  • 発汗の有無
  • 尿量や排尿回数の変化
  • 口腔内や皮膚の乾燥
  • 立位時の頻脈

神経原性起立性低血圧に関する学術的資料でも、発熱、嘔吐、下痢、水分制限など、循環血漿量が低下する要因を確認することが示されています。

薬剤の影響

服薬内容も確認します。

たとえば、血圧に関係する薬剤や利尿薬などを使用している場合は、薬剤の開始・増量・変更後に症状が出ていないかを確認します。

ただし、看護師が自己判断で薬剤を中止したり、内服量を変更したりすることはできません。

確認するのは、

  • どの薬を飲んでいるか
  • いつから飲み始めたか
  • 最近、薬が変更されたか
  • 内服後に症状が出ていないか
  • 飲み忘れや重複内服がないか

といった情報です。

薬剤の影響が疑われる場合は、患者さんの状態と服薬状況を整理して、医師や薬剤師へ相談・報告します。

自律神経障害や神経疾患

自律神経は、血圧や脈拍などを調整しています。

糖尿病や神経疾患などがある場合、自律神経の働きが低下し、立位で血圧を維持しにくくなることがあります。

確認したい背景には、次のようなものがあります。

  • 糖尿病
  • 神経疾患
  • 自律神経障害の指摘
  • アルコール多飲
  • 悪性腫瘍などの病歴
  • 発汗や排尿に関する変化
  • 立位以外での血圧変動

神経原性起立性低血圧の整理資料では、糖尿病、アルコール多飲、悪性腫瘍などの病歴や、他の神経障害を確認することが示されています。

心疾患やその他の病態

起立時の症状があるからといって、すべてが起立性低血圧とは限りません。

胸部症状、強い動悸、意識状態の変化などがある場合は、血圧だけでなく全身状態を確認します。

また、貧血や心機能低下など、立位で症状が出やすくなる背景がないかも確認します。

症状が強い場合や、転倒・失神につながる可能性がある場合は、立位を継続せず、状態を再評価して医療チームへ報告・相談します。

状況性の誘因を確認する

起立性低血圧の症状は、いつでも同じように起こるとは限りません。

次のような場面で症状が出ていないかを確認します。

  • 起床直後
  • 排尿後
  • 食後
  • 入浴後
  • 運動後
  • 疼痛があるとき
  • 強い不安や恐怖を感じたとき
  • 長時間臥床したあと

患者さんが「トイレのあとに毎回ふらつく」「朝、ベッドから起きるときだけ目の前が暗くなる」と話している場合、単に血圧を測るだけではなく、症状が起こる状況を記録することが重要です。

神経原性起立性低血圧の資料では、排尿、食事、運動、疼痛、恐怖などの状況性の誘因を確認することが示されています。

看護師・看護学生が実践するときのポイント

「測る・聞く・見る・考える」で整理する

起立性低血圧の観察は、次の4つに分けると整理しやすくなります。

1.測る

  • 仰臥位5分後の血圧・脈拍
  • 立位1分後の血圧・脈拍
  • 立位3分後の血圧・脈拍
  • 座位または臥位に戻したあとの変化

2.聞く

  • どのような症状があったか
  • 立位後、何分で症状が出たか
  • どの場面で起きたか
  • 失神したことがあるか
  • 座位や臥位で症状が改善するか
  • 水分摂取や食事摂取の状況
  • 服薬内容と薬剤変更の有無

3.見る

  • 顔色
  • 冷汗
  • 意識レベル
  • ふらつき
  • 立位の安定性
  • 皮膚や口腔内の乾燥
  • 胸部症状や強い動悸の有無

4.考える

  • 脱水はないか
  • 薬剤の影響はないか
  • 貧血や心疾患の可能性はないか
  • 糖尿病や神経疾患はないか
  • 自律神経障害を示す情報はないか
  • 立位を継続して安全か

記録は「数値だけ」にしない

起立性低血圧の記録では、血圧の値だけでは情報が不足します。

たとえば、

立位で血圧低下あり

だけでは、症状の有無や危険性が分かりません。

次のように、体位、時間、数値、症状、回復経過をまとめて記録します。

仰臥位5分後は血圧○○/○○mmHg、脈拍○○回/分。立位1分後に血圧が低下し、ふらつきと眼前暗黒感を訴えたため座位へ戻した。座位後○分で症状は改善した。

このように記録すると、次に観察する人が同じ条件で状態を確認しやすくなります。

立位を続けてよいかは症状を優先する

起立性低血圧を確認するために測定していても、患者さんに強い症状が出ている場合は、測定を続けることが安全とは限りません。

  • ふらつきが強い
  • 支えが必要
  • 意識がぼんやりしている
  • 眼前暗黒感がある
  • 冷汗や顔面蒼白がある
  • 胸部症状や強い動悸がある
  • 失神しそうだと訴えている

このような場合は、転倒を防ぐために立位を中止し、座位または臥位に戻します。

数値をそろえることも大切ですが、患者さんの安全を優先します。

筆者の体験談

私が看護師をしていた頃、リハビリテーションへ向かう前に、患者さんの移動を介助したことがありました。

その患者さんは、ベッド上では特に問題なく会話をしていました。血圧も大きく外れている印象はなく、私は「このまま端座位になっても大丈夫そうだ」と考えていました。

ところが、ベッドの端に座って数十秒ほどたったところで、患者さんが小さな声で、

「少し、目の前が暗いです」

と話しました。

最初は、起き上がった直後の一時的なふらつきだと思いました。でも、患者さんの顔色が少し変わり、手に冷汗も見えました。

「立てますか?」と聞きかけたのですが、その時点で立位にするのは危ないかもしれないと考え直しました。私は立位にせず、患者さんを支えながらベッド上で休んでもらい、血圧と脈拍を測り直しました。

先輩看護師に状況を伝えると、

「立つ前の数値だけではなく、座ったあとにどう変化したかと、症状が出たタイミングを記録しておこう」

と言われました。

その言葉を聞いて、私は少しはっとしました。私はそれまで、血圧の値が大きく低くなければ、離床を進めてもよいのではないかと考えがちでした。

しかし、その患者さんでは、数値だけでなく、体位を変えたあとに症状が出たこと、顔色や冷汗があったこと、休むと症状が改善したことが重要な情報でした。

その経験があってから、私は起立時の観察で血圧の数字だけを先に見るのではなく、「患者さんは今、どんな感じなのか」「症状はいつ出たのか」を意識するようになりました。

この体験談は医学的根拠を示すものではなく、起立時の観察を臨床場面と結び付けて考えるためのものです。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 起立性低血圧では、血圧の低下だけでなく症状を確認する
  • 仰臥位5分後、立位1分後・3分後の血圧と脈拍を確認する方法がある
  • めまい、ふらつき、眼前暗黒感、失神の有無と出現タイミングを見る
  • 血圧低下に対して脈拍がどう変化したかを確認する
  • 脱水、薬剤、糖尿病、神経疾患、自律神経障害、心疾患などの背景を考える
  • 起床時、排尿後、食後、入浴後、運動後など、症状が起きる状況を確認する
  • ふらつきや意識状態の変化がある場合は、立位を継続せず安全を優先する
  • 記録では、体位・測定時点・血圧・脈拍・症状・回復時間をセットで残す

起立性低血圧で大切なのは、

「何mmHg下がったか」だけでなく、「いつ、どの体位で、どんな症状が出たか」を見ること

です。

FAQ

Q1.起立性低血圧では、血圧がどのくらい下がればよいのでしょうか?

調査結果には、起立性低血圧の確認として、収縮期血圧が90mmHg未満に低下する例が示されています。

ただし、血圧の数値だけで判断することはできません。症状の有無、脈拍の変化、発症状況、回復経過、脱水や薬剤などの背景を合わせて評価します。

Q2.症状がなければ、血圧が低下していても問題ありませんか?

症状がなくても、血圧の変化は記録し、普段の値や体位変換前後の経過を確認します。

一方で、症状がある場合は、血圧の低下が大きく見えなくても転倒につながる可能性があります。数値だけで安全と判断せず、患者さんの訴えや立位の安定性を確認します。

Q3.脈拍が増えなければ、必ず自律神経障害ですか?

必ず自律神経障害と決めることはできません。

MSDマニュアルでは、血圧低下に対する心拍数の増加が乏しい場合、自律神経障害を示唆すると説明されています。

ただし、脈拍だけで原因を判断せず、症状、脱水所見、既往歴、薬剤などを合わせて考えます。

Q4.起立時に患者さんがふらついたら、測定を続けますか?

ふらつきが強い場合や、意識状態の変化、冷汗、顔面蒼白、失神しそうな訴えなどがある場合は、立位を継続しません。

転倒を防ぐため、安全を確保して座位または臥位に戻し、状態を再評価します。そのうえで、必要に応じて医療チームへ報告・相談します。

参考文献

実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!

実習記録って、書き始めるまでが大変ですよね…😢

そんなときは、「AI看護学生 あいちゃん」を使ってみてください!
実習目標や看護計画など、あなたの「どうしよう…」を一緒に考えてくれます。

\ 看護学生なら無料!使ってみてね! /

LINEで友だち追加するだけ!
実習中の「ちょっと困った…」を、あいちゃんに相談してみよう😊


LINEで友だち追加

タイトルとURLをコピーしました