CRPが高い=感染症?看護師・看護学生が確認したい判断と観察ポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、血液検査でCRPが高い患者さんを見たとき、「感染症があるのだろう」と考えたことはありませんか?
発熱があり、CRPも高ければ、たしかに感染症を疑いますよね。
でも、CRPが高いだけで感染症と判断してよいのでしょうか。CRPの値が高ければ高いほど、重症感染症と考えてよいのでしょうか。
今回は、CRP高値の見方と、看護師・看護学生が確認したい観察ポイントについて解説します。
結論:CRP高値は感染症を疑う材料。ただし、診断の確定にはならない
結論からいうと、CRP高値は感染症の可能性を示しますが、CRPだけで感染症とは言い切れません。
CRPは、体内で炎症が起きているときに上昇する検査値です。しかし、感染症以外の炎症でも上昇します。
そのため、CRPが高いときは、次の情報を組み合わせて判断します。
- 発熱、悪寒、倦怠感などの症状
- 呼吸器症状や排尿時痛などの局所症状
- 血圧、脈拍、呼吸数、SpO2、意識状態
- 白血球数と白血球分画
- CRPの前回値と経時的な変化
- 培養検査や画像検査の結果
- 手術後、外傷、自己免疫疾患、悪性腫瘍などの背景
ざっくり言うと、CRPは「炎症がありそうか」を考える検査です。
「感染しているか」「どこで起きているか」「原因微生物は何か」まで、CRP単独で分かるわけではありません。
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- CRPが上昇する仕組み
- CRP高値でも感染症とは限らない理由
- CRPの数値や基準値を見るときの注意点
- 看護師・看護学生が確認したい観察項目
- CRP高値を報告・判断するときの整理方法
想定読了時間
約10分
根拠:CRPは炎症を示す「非特異的な急性期反応」
CRPは、炎症が起きたときに血液中で増加する蛋白です。肝臓で作られ、炎症刺激に反応して上昇します。
しかし、CRPは炎症の原因を特定する検査ではありません。
東京大学保健センターのCRP定量に関する資料では、CRPは炎症の程度を知る手がかりになる一方、感染症以外でも上昇することが説明されています。
また、富士フイルム和光純薬のC反応性蛋白に関する解説でも、CRPは細菌感染やウイルス感染だけでなく、自己免疫疾患、悪性腫瘍、組織壊死、外傷・手術後などで上昇するとされています。
つまり、CRPの上昇は次のように考えます。
CRPが高い
→ 体内で炎症反応が起きている可能性がある
→ 感染症か、感染症以外の炎症かを追加情報で考える
CRPが高くなる主な原因
CRPは、次のような状態で上昇する可能性があります。
感染症
細菌感染やウイルス感染などでは、免疫反応の一つとして炎症が起こり、CRPが上昇することがあります。
発熱、悪寒、咳や痰、呼吸苦、排尿時痛、腹痛、創部の発赤などがあれば、感染症を疑う材料になります。
ただし、CRPが高いからといって、感染部位や原因微生物まで分かるわけではありません。
自己免疫疾患
自己免疫疾患では、免疫反応によって感染を伴わない炎症が起こることがあります。
この場合も、炎症反応としてCRPが上昇することがあります。
外傷・手術後・組織の障害
外傷や手術によって組織が傷ついた場合にも、体内で炎症反応が起こります。
そのため、手術後のCRP高値を見て、すぐに感染症と判断するのは適切ではありません。手術から何日経過しているのか、創部の状態や全身状態に変化があるのかを合わせて確認します。
悪性腫瘍など
悪性腫瘍や組織壊死などでも、CRPが上昇することがあります。
このように、CRPは「感染症だけに反応する検査」ではありません。
CRPの基準値や数値を見るときの注意点
CRPの基準範囲は、検査方法や施設によって異なります。
東京ドックのCRPに関する解説では、基準値の例として0.3mg/dLが示されています。
ただし、基準値を少し超えたからといって、重篤な感染症と決まるわけではありません。
一方、解説資料では、10mg/L以上で明らかな急性期反応、50〜100mg/Lを超えると細菌感染などをより強く疑う場面があるとされています。
ここで注意したいのは、これらの数値も診断を確定する基準ではないということです。
数値が高くても、感染症以外の炎症である可能性があります。
反対に、感染症の初期ではCRPがまだ上昇していないこともあります。HORIBAの炎症バイオマーカーに関する資料では、CRPの上昇には時間差があり、炎症の初期には十分に上がっていない場合があると説明されています。
つまり、
- CRPが高いから、必ず感染症とは限らない
- CRPが低いから、感染症を否定できるとも限らない
- 数値だけではなく、症状と経過を見る
ということです。
CRP高値を見たときの看護の考え方
CRPの結果を確認したら、まず「高いか低いか」だけで終わらせないことが大切です。
1.患者さんに症状があるか
次のような症状がないかを確認します。
- 発熱、悪寒、悪寒戦慄
- 強い倦怠感
- 咳、痰、呼吸苦
- 腹痛、嘔気、下痢
- 排尿時痛、頻尿
- 創部の発赤、腫脹、熱感、疼痛
- 意識状態の変化
CRPの値と症状が一致しているのか、それとも検査値だけが高いのかを整理します。
2.バイタルサインに変化があるか
CRP高値を見たときは、バイタルサインも確認します。
特に、次のような変化がある場合は、CRPの値だけで様子をみようとしないことが重要です。
- 発熱
- 頻脈
- 呼吸数の増加
- 血圧低下
- 意識状態の変化
これらがみられる場合は、感染症や敗血症を含めた評価につなげます。m3.comの感染症診療に関する解説でも、CRP単独ではなく、患者さんの状態やほかの検査を組み合わせて判断する必要性が説明されています。
3.前回値と比べてどう変化しているか
CRPは、その時点の数値だけでなく、前回値との比較も重要です。
- 前回より上昇しているのか
- 高値のまま推移しているのか
- 低下傾向にあるのか
- 症状の変化と検査値の変化が一致しているのか
東京ドックの解説や東京大学保健センターの資料でも、CRPは経時的な変化をみながら判断することが示されています。
4.ほかの検査結果を確認する
感染症が疑われる場合は、CRP以外の情報も確認します。
- 白血球数
- 白血球分画
- プロカルシトニン
- 血液や尿などの培養検査
- X線やCTなどの画像検査
ただし、これらの検査も、それぞれに特徴や限界があります。
看護師・看護学生は、検査結果を単独で評価して病名を決めるのではなく、症状、身体所見、バイタルサイン、経過と結びつけて観察します。
報告するときは「CRPが高い」だけにしない
医師や先輩看護師へ報告するときに、
「CRPが高いです」
だけでは、患者さんの状態が伝わりにくいことがあります。
たとえば、次のように整理します。
- CRPの現在値と前回値
- 発熱の有無と体温の推移
- 脈拍、呼吸数、血圧、SpO2
- 意識状態の変化
- 咳や痰、排尿時痛、腹痛などの局所症状
- 創部やカテーテル挿入部の状態
- 手術や外傷の有無
- 食事・水分摂取状況や全身状態の変化
大切なのは、検査値を患者さんの状態から切り離さないことです。
CRPが高い患者さんでも、全身状態が安定している場合と、バイタルサインや意識に変化がある場合では、緊急度の考え方が異なります。
筆者の体験談
私が看護師をしていた頃、朝の採血結果を確認していると、受け持ち患者さんのCRPが前日より上がっていました。
最初に結果を見たときは、「感染症が悪化したのかもしれない」と考えました。患者さんは数日前に手術を受けていたため、創部感染という言葉も頭に浮かびました。
病室へ行くと、患者さんはベッド上でテレビを見ていました。
「体調はいかがですか?」と声をかけると、
「少し疲れているけれど、昨日とあまり変わらないです」
と話されました。
私は、CRPが上がっていることに意識が向きすぎていたのだと思います。もう一度、体温や脈拍を確認し、創部も観察しました。創部の見た目に大きな変化はなく、患者さんの自覚症状も目立っていませんでした。
それでも、検査値が上昇していることは事実です。
「CRPが上がっています。現時点では症状やバイタルサインに大きな変化はありませんが、手術後の経過も含めて確認をお願いします」
と、検査値だけでなく患者さんの様子と合わせて報告しました。
そのとき先輩看護師から、
「CRPの数字だけで感染と決めつけず、患者さんの状態と時間の流れを一緒に見よう」
と言われました。
当時の私は、検査値に変化があると、その原因をすぐ一つに決めたくなっていたのだと思います。
この経験があってから、採血結果を見るときは、まず患者さんの表情や訴え、バイタルサインを思い出すようになりました。検査値は大切ですが、それだけで患者さんの状態を説明できるわけではないと感じています。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- CRP高値は、体内で炎症が起きている可能性を示す
- CRPが高いだけでは、感染症とは言い切れない
- 感染症以外にも、自己免疫疾患、悪性腫瘍、組織壊死、外傷・手術後などでCRPは上昇する
- CRPの数値だけでなく、症状、バイタルサイン、局所所見、白血球分画、培養、画像、経過を確認する
- 発熱、頻脈、呼吸数増加、血圧低下、意識変化がある場合は、検査値だけで安心しない
- CRPは上昇に時間差があるため、低値でも感染症を否定できない場合がある
- 報告では「CRPが高い」だけでなく、患者さんの状態と前回値からの変化を伝える
CRPは、感染症を考えるための重要な材料です。
ただし、CRPはあくまで「炎症を示す検査値」です。感染症の有無や重症度を考えるときは、患者さんの全身状態と経過を中心に、複数の情報を組み合わせて判断しましょう。
FAQ
CRPが0.3mg/dLを超えたら感染症ですか?
感染症とは限りません。
CRPの基準値は施設や検査方法によって異なります。また、軽度の上昇は感染症以外の炎症でも起こります。症状やバイタルサイン、前回値などと合わせて確認します。
CRPが高ければ、細菌感染と考えてよいですか?
CRP高値だけで細菌感染と確定することはできません。
細菌感染、ウイルス感染、自己免疫疾患、悪性腫瘍、外傷・手術後など、複数の原因でCRPは上昇します。
CRPが低ければ感染症は否定できますか?
否定できない場合があります。
CRPは炎症が起きてから上昇するまでに時間差があり、感染症の初期には十分に上がっていないことがあります。そのため、CRPだけで判断せず、症状や経過を確認します。
CRP高値の患者さんで、看護師が最初に確認することは何ですか?
まず、患者さんの症状と全身状態を確認します。
発熱、頻脈、呼吸数増加、血圧低下、意識変化の有無を確認し、咳や痰、排尿時痛、腹痛、創部の変化などの局所症状も観察します。そのうえで、CRPの前回値やほかの検査結果を確認します。
参考文献
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
今回の記事について、さらに理解を深めたい方におすすめの書籍を紹介します。
フィジカルアセスメント 根拠からわかる!実習で実践できる!
著者:中村充浩
出版社:照林社
CRP高値を見て患者の身体所見やアセスメントを行う力を養うのに直結するフィジカルアセスメントの実践書で、記事の観察ポイントを深めるのに最適です。
看護学生のための臨床判断
著者:三浦友理子
出版社:照林社
検査値(CRP)と症状・経過を結びつけて臨床判断する思考過程を事例で学べるため、記事で示した『複数情報を組み合わせる』力を高められます。
看護の現場ですぐに役立つ 感染症対策のキホン
著者:大口祐矢
出版社:秀和システム
感染症の基礎と標準予防策を体系的に学べ、CRP高値を感染症と考える際の背景知識や感染管理の視点を補強できます。
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