尿道留置カテーテルの閉塞・感染を疑うサイン|看護師・看護学生が確認したい観察ポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、尿道留置カテーテルを留置している患者さんで、「尿が出ていないのは閉塞?それとも感染?」と迷ったことはありませんか?
尿バッグに尿がたまらないとき、単純に尿量が少ないだけなのか、カテーテルが詰まっているのか、感染が起きているのか。見た目だけでは判断しにくいこともありますよね。
今回は、尿道留置カテーテル留置中に閉塞や感染を疑うサインと、看護師・看護学生が確認したいポイントについて解説します。
結論:まず尿の流れを確認し、その後に感染徴候を評価する
尿道留置カテーテルで異常を感じたら、まず次の順番で考えます。
- 尿がバッグへ流れているか確認する
- バッグの位置、チューブの屈曲、牽引がないかを見る
- 尿量の急な減少、下腹部膨満、痛み、尿漏れがないか確認する
- 発熱、悪寒、恥骨上圧痛、側腹部痛などの感染徴候を確認する
- 尿の混濁、血尿、悪臭、尿道口の発赤・腫脹・排膿を観察する
- 異常があれば、施設の手順に従って報告・対応する
ざっくり言うと、
尿が流れない・減る、下腹部が張る・痛む場合は閉塞を疑う。
発熱や痛み、意識の変化、尿道口の炎症所見がある場合は感染を疑う。
ということです。
ただし、閉塞と感染は症状が重なることがあります。尿の混濁や悪臭だけで、感染と断定することはできません。
判断の基本は、「尿が作られていない」のか、「作られた尿が流れていない」のかを分けて考えることです。
読了目安:約8分
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 尿道留置カテーテルの閉塞を疑うサイン
- カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)を疑う症状
- 閉塞と感染を分けて考える理由
- 看護師・看護学生が観察・報告するときのポイント
- 尿道留置カテーテルで起こりやすい見落とし
根拠:最初に見るのは「尿が流れているか」
尿道留置カテーテルを留置している患者さんで尿量が急に減ったり、尿がバッグへ流れなくなったりした場合、まず考えたいのが機械的な閉塞です。
閉塞の原因には、次のようなものがあります。
- カテーテルやチューブの屈曲
- カテーテルへの牽引
- 血塊
- 粘液
- 結石
- 沈殿物
閉塞が起こると、膀胱内に尿がたまり、下腹部の膨満や痛みにつながることがあります。また、カテーテル周囲から尿が漏れることもあります。
北海道大学病院のカテーテル管理資料などでも、尿量低下や尿流停止時には、カテーテルや蓄尿バッグの状態を確認することが示されています。
つまり、尿が出ていないときに、すぐ「腎機能が悪化した」「感染した」と考えるのではなく、
尿が作られていないのか、作られた尿が流れていないのか
を分けて考える必要があります。
詳しい解説:閉塞・感染を疑う観察ポイント
感染を疑う主なサイン
カテーテル関連尿路感染症は、英語でCAUTIと呼ばれます。
尿道留置カテーテルを留置している患者さん、または抜去後48時間以内の患者さんに、感染を示す症状があり、尿培養などの条件を満たす場合に診断が検討されます。
感染を疑うサインとして、次のようなものがあります。
全身に現れるサイン
- 38℃以上の発熱
- 悪寒
- 全身状態の悪化
- 炎症反応の上昇
- 高齢者における意識障害、眠気、行動変化
特に高齢者では、典型的な排尿症状がはっきりしないことがあります。
「いつもより反応が鈍い」「眠っている時間が増えた」「落ち着きがない」などの変化が、感染の手がかりになる場合もあります。
局所に現れるサイン
- 恥骨上部の圧痛や不快感
- 側腹部痛
- 肋骨脊椎角、いわゆるCVAの痛み
- 尿意切迫感
- 頻尿
- 排尿困難
- 尿道口の発赤、腫脹、熱感
- 尿道口からの排膿
尿道留置中は、通常の排尿がないため、頻尿や排尿困難などの症状が分かりにくいことがあります。そのため、患者さんの訴えだけでなく、腹部所見や尿道口の状態、全身状態を合わせて観察します。
尿の混濁・血尿・悪臭だけで感染とは限らない
尿道留置カテーテルを観察していると、尿の混濁や血尿、悪臭に気づくことがあります。
これらは感染を疑う所見の一つですが、尿の性状だけでCAUTIと判断することはできません。
閉塞、血塊、結石、沈殿物などでも尿の見た目が変化する可能性があります。また、閉塞と感染が同時に起きていることも考えられます。
そのため、
- 尿の色や濁り
- 尿量の変化
- 尿の流れ
- 発熱
- 痛み
- 尿道口の状態
- 意識や行動の変化
を一つずつ確認していきます。
ざっくり言うと、尿の観察は大切ですが、尿だけを見て判断しないことがポイントです。
閉塞と感染の症状が重なる理由
閉塞が起きると、尿が膀胱内にたまり、下腹部の膨満や痛みが出ることがあります。
一方、感染でも恥骨上部の不快感や痛みが出ることがあります。そのため、下腹部の痛みだけでは、閉塞か感染かを区別できない場合があります。
また、発熱があると感染を考えやすくなりますが、発熱がある患者さんでも、カテーテルの閉塞がないか確認する必要があります。
MSDマニュアルでも、CAUTIの症状は非特異的であり、閉塞や膀胱結石などでも似た症状が出ることが説明されています。
したがって、臨床では、
- 尿の流れやカテーテルの状態を確認する
- 感染を疑う症状を確認する
- 必要な検査や治療につなげる
という順番で評価することが重要です。
実践ポイント:看護師・看護学生が確認すること
1.尿バッグの位置を確認する
尿バッグが適切な位置にあるかを確認します。
チューブが引っ張られていないか、身体の下敷きになっていないか、途中で折れ曲がっていないかも見ます。
尿がバッグへ流れないときは、まず目で確認できる異常がないかを確認します。
2.尿量の変化を時系列で見る
「今、尿が少ない」という情報だけでは判断しにくいことがあります。
次のような情報を時系列で整理します。
- いつから尿量が減ったのか
- それまでの尿量はどうだったか
- 尿が完全に止まっているのか
- 尿漏れが出ていないか
- 下腹部膨満や痛みがあるか
特に、尿流停止に腹部膨満や下腹部痛が加わっている場合は、閉塞の可能性を強く考えます。
3.発熱だけで感染と決めつけない
38℃以上の発熱は感染を疑う重要なサインです。
しかし、発熱があるからといって、カテーテルの閉塞確認を省略してはいけません。尿の流れが止まっていないか、腹部症状がないかも合わせて確認します。
4.尿道口を観察する
尿道口の発赤、腫脹、熱感、排膿がないかを確認します。
カテーテル周囲の皮膚状態だけでなく、患者さんが痛みや違和感を訴えていないかも観察します。
5.高齢者では意識・行動の変化を見る
高齢者では、感染があっても、排尿時痛などの典型的な症状が目立たないことがあります。
その代わりに、
- ぼんやりしている
- 眠気が強い
- 会話がかみ合わない
- 落ち着きがない
- 普段と行動が違う
といった変化が出ることがあります。
もちろん、これらの変化だけで感染とは断定できません。脱水や薬剤、環境変化など、ほかの原因も考えながら、全身状態を確認します。
6.尿培養などの検査は、症状と合わせて考える
CAUTIの診断では、症状だけでなく尿培養も重要になります。
資料によって細かな定義の表現に違いはありますが、尿培養で105 CFU/mL以上の細菌が検出されることが、診断基準の一つとして示されています。
ただし、検査結果だけを見て判断するのではなく、発熱や痛みなどの症状と合わせて医師が総合的に判断します。
看護記録に残したい内容
異常を疑ったときは、次の内容を記録しておくと、状態の変化や報告内容を整理しやすくなります。
- 尿量と尿の流れ
- 尿の色、混濁、血尿、悪臭
- 尿漏れの有無
- 下腹部膨満の有無
- 恥骨上部や側腹部の痛み
- 体温、悪寒の有無
- 意識や行動の変化
- 尿道口の発赤、腫脹、排膿
- チューブの屈曲や牽引の有無
- 確認した時間と、その後の変化
「尿が少ない」とだけ記録するよりも、「何時から」「どの程度」「どのような症状と一緒に」起きているのかを残すことが大切です。
筆者の体験談
私が看護師をしていた頃、尿道留置カテーテルを使用している患者さんの尿バッグに、しばらく尿がたまっていないことがありました。
最初は、「今日は飲水量が少ないのかもしれない」と考えました。患者さんに体調を聞くと、「少しおなかが張るような感じがする」と話されました。
その言葉を聞いて、私は少し気になりました。
尿量が少ないだけなら、飲水量や点滴量、もともとの尿量などを確認する必要があります。でも、下腹部の張りがあるなら、尿の流れが悪くなっていないかも見たほうがよいと思いました。
そこで、尿バッグの位置とチューブの走行を確認しました。すると、チューブの一部が身体の下に入り、折れ曲がっていました。
先輩看護師に状況を伝え、患者さんの状態を再確認しました。その後、チューブの状態を整えると、バッグに尿が流れ始めました。
私はそのときまで、「尿が少ない」という情報を、患者さんの体の中で尿が作られていない可能性と結びつけて考えがちでした。
でも、実際には、尿が作られていても、カテーテルやチューブの問題で流れていないことがあります。
この経験があってから、私は尿量の変化に気づいたとき、尿の量だけでなく、「尿が流れる道に問題はないか」を先に見るようになりました。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
- バッグに尿が流れない、尿量が急に減る場合は閉塞を疑う
- 下腹部膨満、恥骨上部の痛み、尿漏れも閉塞のサインになりうる
- まずバッグの位置、チューブの屈曲、牽引などを確認する
- 38℃以上の発熱、悪寒、恥骨上圧痛、側腹部痛は感染を疑うサイン
- 尿の混濁、血尿、悪臭、尿道口の発赤・腫脹・排膿も観察する
- 高齢者では、眠気や意識・行動の変化が手がかりになることがある
- 尿の性状だけ、または一つの症状だけで感染と断定しない
- 閉塞と感染は症状が重なるため、尿の流れと全身状態を合わせて評価する
- 異常があれば、施設の手順に従って報告・対応につなげる
尿道留置カテーテルの観察では、まず「尿が流れているか」を確認します。
そのうえで、発熱や痛み、尿道口の状態、尿の性状、意識の変化を合わせて見ることが、閉塞と感染を見逃さないための基本的な考え方です。
よくある質問
尿バッグに尿がたまらないとき、最初に何を確認しますか?
まず、尿がバッグへ流れているかを確認します。その後、バッグの位置、チューブの屈曲、身体の下敷きになっていないか、カテーテルへの牽引がないかを確認します。
尿が混濁していたら感染ですか?
尿の混濁だけで感染と断定することはできません。尿量や尿の流れ、発熱、痛み、尿道口の状態、意識や行動の変化などを合わせて観察します。
閉塞を疑うサインには何がありますか?
尿がバッグへ流れない、尿量が急に減る、下腹部が膨満する、下腹部が痛む、カテーテル周囲から尿が漏れるといった変化が閉塞のサインになりうります。
感染を疑うサインには何がありますか?
38℃以上の発熱、悪寒、全身状態の悪化、恥骨上部の圧痛や不快感、側腹部痛、尿道口の発赤・腫脹・熱感・排膿などがあります。高齢者では、眠気や意識・行動の変化が手がかりになる場合もあります。
異常があった場合はどう対応しますか?
患者さんの全身状態と尿の流れ、カテーテルやチューブの状態を確認し、確認した内容と経時的な変化を記録します。そのうえで、施設の手順に従って報告・対応につなげます。
参考資料
- 厚生労働省「デバイス関連感染防止策とサーベイランス」
- 日本泌尿器科学会関連資料・感染対策ガイドライン
- EAUNガイドライン日本語版「尿道留置カテーテル」
- 札幌市立病院「尿道留置カテーテル関連尿路感染予防策」
- 北海道大学病院 ICTマニュアル「膀胱留置カテーテル管理」
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「カテーテル関連尿路感染症」
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