NRSの痛みスケールとは?数字だけで判断しない看護の評価ポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、患者さんに「痛みは何点ですか?」と聞いたあと、NRSの数字をどのように解釈すればよいのか迷ったことはありませんか?
「NRSが5なら重症なのか」「3以下なら様子を見てよいのか」「前回と同じ数字なら痛みは変わっていないのか」など、判断に迷う場面はありますよね。
今回は、NRSの基本的な意味と、数字だけで痛みを判断してはいけない理由、看護師・看護学生が確認したい観察ポイントについて解説します。
- 結論:NRSは数字だけで判断せず、前回からの変化と生活への影響を確認する
- この記事の要点
- この記事でわかること
- NRSとは、痛みを0〜10で表す方法
- 根拠:NRSは数値そのものではなく、痛みの変化を見るために活用する
- 詳しい解説:同じ「NRS5」でも、患者さんによって意味が違う
- NRSに「軽症・重症」の共通基準があるわけではない
- 大切なのは「何点か」より「前回からどう変わったか」
- 痛みは「強さ」だけでなく、いくつかの側面から確認する
- 患者さんが考える「0」と「10」を確認する
- 「NRS3以上なら必ず対応する」とは限らない
- 実践ポイント:看護師・看護学生が確認したいこと
- NRSだけで評価しにくい患者さんへの注意
- 筆者の体験:NRSの数字だけでは見えなかった痛み
- NRSを使うときに起こりやすい間違い
- まとめ:NRSは「数字+変化+生活への影響」で見る
- FAQ
- 参考資料
- 実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!
結論:NRSは数字だけで判断せず、前回からの変化と生活への影響を確認する
結論からいうと、NRSは、痛みの強さを0〜10の数字でそろえて伝えるための道具です。
NRSの数字だけで、痛みの重症度や病気の程度を決めることはできません。
評価するときは、次の内容を一緒に確認します。
- 前回と比べて痛みが増えたか、減ったか
- 鎮痛薬などの介入後に変化したか
- 痛みの部位や性質
- 持続痛か、動作時だけの痛みか
- 何をすると悪化し、何をすると軽くなるか
- 睡眠、食事、移動、排泄などに影響しているか
- 患者さんが考える「0」と「10」がどのような状態か
つまり、NRSは「いま何点か」だけを見るのではなく、その数字が患者さんにとって何を意味しているのかを確認することが大切です。
この記事の要点
- NRSは痛みを0〜10で表す主観的な評価方法
- NRSの数字だけで、痛みの重症度や病気の程度を決めてはいけない
- 重要なのは、前回や治療前と比べてどう変化したか
- 部位、性質、持続時間、増悪・緩和因子を確認する
- 睡眠、食事、移動など、生活への影響も評価する
- 記録は「NRSの数字+痛みの状況」で残す
想定読了時間:約15分
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- NRSの基本的な定義
- NRSの数字だけで痛みを判断できない理由
- 痛みを評価するときに確認したい項目
- 治療前後のNRSを比較するときのポイント
- 看護記録に残すときの具体例
- 高齢者や認知機能が低下している患者さんへの注意点
NRSとは、痛みを0〜10で表す方法
NRSは、Numeric Rating Scaleの略です。
患者さんに、現在の痛みを0〜10の数字で表してもらいます。
- 0:痛みがない
- 10:想像できる、または考えられるなかで最悪の痛み
その間の数字を使って、患者さんが自分の痛みの強さを示します。
たとえば、患者さんが「右下腹部が痛くて、今はNRS7です」と答えた場合、痛みの強さを数字として共有できます。
医療者が「かなり痛そう」と感じた場合でも、患者さんが「NRS3」と答えることがあります。反対に、外見上は落ち着いていても、患者さんが「NRS8」と訴えることもあります。
NRSは、患者さん本人が感じている痛みを数値化する方法です。
そのため、検査値のように、数字だけで客観的な重症度を決めるものではありません。
根拠:NRSは数値そのものではなく、痛みの変化を見るために活用する
NRSは、患者さんが感じている痛みを0〜10の数字で表現し、医療者と共有するための評価方法です。ただし、痛みは多面的な体験であり、数字だけで重症度や治療効果をすべて判断することはできません。
痛みの評価やNRSの使い方については、日本癌治療学会「がん疼痛診療ガイドライン」関連ページ、日本ペインクリニック学会「痛みの診断と評価」なども参考になります。
また、NRSは数値そのもので重症度を判断せず、変化を見るという解説でも、治療前後などの変化を確認する考え方が示されています。
ただし、NRSの変化だけで治療効果をすべて判断するのではなく、患者さんの睡眠、食事、移動などへの影響も合わせて確認する必要があります。
詳しい解説:同じ「NRS5」でも、患者さんによって意味が違う
NRSは主観的な評価です。
患者さんがこれまで経験した痛みや、痛みへの考え方、現在の病気、年齢、文化的背景などによって、数字のつけ方は変わる可能性があります。
たとえば、ある患者さんにとってのNRS5は「何とか我慢できる痛み」かもしれません。
一方で、別の患者さんにとってのNRS5は「動くことができないほどつらい痛み」かもしれません。
このように、同じ数字でも、実際の痛みや生活への影響が一致するとは限りません。
痛みを同じものさしで共有するための数字
ただし、その数字の背景まで確認しなければ、患者さんの状態を十分に理解できません。
NRSに「軽症・重症」の共通基準があるわけではない
NRSでは、0〜10という範囲が使われます。
しかし、一般的に「NRS1〜3は軽症」「NRS4〜6は中等度」「NRS7以上は重症」と一律に決めて判断するものではありません。
NRSの数字だけで、病気の重症度や治療の必要性を決めることはできません。
もちろん、強い痛みを訴えている場合は、痛みの原因や急激な変化がないかを確認する必要があります。
ただし、判断の際には数字だけでなく、次の内容を合わせて考えます。
- 痛みがいつから始まったのか
- どこが痛いのか
- 急に悪化していないか
- バイタルサインに変化がないか
- 動作や睡眠に影響しているか
- 患者さんがどの程度つらいと感じているか
大切なのは「何点か」より「前回からどう変わったか」
痛みの評価では、NRSの絶対値だけでなく、前回からの変化を見ることが重要です。
たとえば、次のような変化です。
- 鎮痛薬を使用する前はNRS7だった
- 鎮痛薬の使用後はNRS4になった
- さらに時間が経過するとNRS6に戻った
この場合、薬剤使用後には痛みが軽減したものの、効果が十分に続いていない可能性があります。
一方で、NRSが7から5に下がっていても、患者さんが「まだ眠れない」「歩けない」と話している場合は、数字の変化だけで効果を判断できません。
治療後の評価では、次の両方を確認します。
痛みの数字が下がったか
患者さんの生活が少し楽になったか
なお、NRSの変化を治療効果の判断に利用する考え方は、医療ジャーナルの解説でも示されています。ただし、痛みは多面的な体験であるため、NRSの変化だけで治療効果をすべて判断するものではありません。
痛みは「強さ」だけでなく、いくつかの側面から確認する
NRSは痛みの強さを表す方法です。
しかし、痛みの評価では、強さ以外の情報も重要になります。
痛みの部位
まず、どこが痛いのかを確認します。
- 胸部
- 腹部
- 腰部
- 関節
- 創部
- 頭部
- 手足
など、部位によって考えられる原因や観察内容が変わる場合があります。
「お腹が痛い」という訴えでも、右上腹部なのか、下腹部なのか、全体なのかによって情報の意味は異なります。
痛みの性質
患者さんが感じている痛みの性質も確認します。
- ズキズキする
- 締めつけられる
- 刺されるような痛み
- じんじんする
- 焼けるような痛み
- 重苦しい
- 電気が走るような痛み
同じNRS5でも、痛みの性質は異なることがあります。
持続痛か、間欠痛か
痛みがずっと続いているのか、痛くなったり軽くなったりするのかを確認します。
また、安静にしていても痛いのか、体を動かしたときだけ痛いのかも大切です。
たとえば、次のように場面によって痛みの強さが変わることがあります。
- 安静時NRS3
- 歩行時NRS7
増悪因子と緩和因子
何をすると痛みが強くなるのか、何をすると軽くなるのかを確認します。
- 体動で悪化する
- 深呼吸で悪化する
- 食後に悪化する
- 横になると軽くなる
- 鎮痛薬で軽くなる
- 温めると軽くなる
これらの情報は、痛みの経過やケアの方法を考える材料になります。
生活への影響
痛みが生活にどの程度影響しているかも確認します。
- 眠れているか
- 食事をとれているか
- 歩けるか
- 排泄できているか
- 清潔行動ができているか
- 会話やリハビリに参加できているか
たとえば、NRSが4でも、痛みのために夜間眠れず、食事もとれない場合があります。
反対に、NRSが6でも、患者さんが「薬を使えば歩ける」と話すこともあります。
数字と生活への影響が一致するとは限らないため、両方を確認することが必要です。
患者さんが考える「0」と「10」を確認する
NRSでは、0は「痛みなし」、10は「想像できる最悪の痛み」と説明します。
しかし、「想像できる最悪の痛み」が何を指すのかは、患者さんによって異なる可能性があります。
そのため、必要に応じて次のように確認します。
「あなたにとって、10の痛みはどのような痛みですか?」
過去に経験した強い痛みを10と考えている人もいれば、まだ経験したことのない最大の痛みを想像して答えている人もいます。
患者さんの中での基準を確認しておくと、次回以降の数字を比較しやすくなります。
「NRS3以上なら必ず対応する」とは限らない
資料によっては、ICU領域でNRS3以上を痛みの判断基準として扱う記述があります。
ただし、これは特定の領域での運用です。
一般的なNRS全体に対して、「3以上なら必ず重症」「3以下なら問題ない」と意味づける基準ではありません。
そのため、NRSの数値だけで一律に対応を決めるのではなく、次の点を確認します。
- 施設の基準
- 診療科や病棟の運用
- 患者さんの病態
- 治療や手術の内容
- 患者さんが感じているつらさ
- 日常生活への影響
臨床では、NRSの一般的な意味と、施設や領域ごとの運用を分けて考えることが大切です。
ICU領域での痛みの判断については、ICU看護師の痛み判断に関する論文も参考になります。
実践ポイント:看護師・看護学生が確認したいこと
1.まず患者さんに痛みを尋ねる
痛みの評価では、患者さんに直接確認することが基本です。
声かけの例としては、次のようなものがあります。
「今の痛みは、0を痛みなし、10を想像できる最悪の痛みとすると、何点ですか?」
NRSの意味を説明したうえで、患者さんが回答できるかを確認します。
2.数字のあとに具体的な内容を聞く
「NRSはいくつですか?」と聞いて終わりにしないことがポイントです。
続けて、次のように尋ねます。
- 「どこが痛みますか?」
- 「いつから痛いですか?」
- 「ずっと痛いですか?」
- 「動くと痛みますか?」
- 「何をすると楽になりますか?」
- 「眠れていますか?」
- 「食事や歩行に影響していますか?」
数字に加えて、痛みの状況を具体的に確認します。
3.前回と同じ条件で比較する
NRSを比較するときは、条件をそろえることが大切です。
たとえば、次のような条件によって、痛みの数字は変わることがあります。
- 安静時か、動作時か
- 鎮痛薬の使用前か、使用後か
- 起床時か、夜間か
- 食前か、食後か
「前回はNRS4、今回はNRS6」と記録されていても、前回が安静時、今回は歩行時であれば、単純な比較はできません。
そのため、NRSと一緒に測定時の条件も確認します。
4.記録は「数字+痛みの文脈」で残す
看護記録では、NRSの数字だけでなく、患者さんの状態が分かるように記録します。
たとえば、次のように記録します。
NRS7。右下腹部痛。歩行時に増悪し、安静時はNRS3。食事摂取が低下している。
この記録であれば、痛みの部位、動作との関係、安静時の痛み、生活への影響が分かります。
別の例としては、次のような記録です。
鎮痛薬使用前NRS6。使用30分後NRS3。本人は「少し眠れそう」と話す。歩行時痛は残存。
このように、介入前後の変化と患者さんの言葉を残すと、次の観察やケアにつなげやすくなります。
NRSだけで評価しにくい患者さんへの注意
NRSは、患者さんが数字の意味を理解し、自分の痛みを数字で表現できることが前提になります。
そのため、次のような場合には、NRSだけで痛みを評価することが難しい可能性があります。
- 高齢者
- 認知機能が低下している患者さん
- 意識状態が変化している患者さん
- 小児
- 言語による意思疎通が難しい患者さん
- 数字の概念を理解することが難しい患者さん
このような場合、表情、体動、発声、睡眠、食事、ケアへの反応など、患者さんの状態を総合的に確認します。
ただし、患者さんが自分で痛みを伝えられる場合は、まず本人の訴えを確認することが大切です。
「表情が穏やかだから痛くないだろう」と、医療者の見た目だけで判断しないようにします。
患者さんの痛みの評価方法については、日本ペインクリニック学会「痛みの診断と評価」や、看護roo!「NRS」に関する解説も参考になります。
筆者の体験:NRSの数字だけでは見えなかった痛み
ここでは、NRSの解釈をイメージしやすくするため、架空の事例を紹介します。
ある患者さんに痛みを確認すると、「NRS4」と答えました。
数字だけを見ると、強い痛みではないように感じるかもしれません。
しかし、詳しく聞くと、次のような状態でした。
- 夜間に何度も目が覚める
- 食事を半分しか食べられない
- 歩くと痛みが強くなる
- 痛み止めを使うことを遠慮している
この場合、NRS4という数字だけでは、患者さんのつらさを十分に表せません。
「何点ですか?」のあとに、「眠れていますか」「動けていますか」「食事はとれていますか」と確認することで、生活への影響が見えてきます。
これは医学的な基準を示す体験談ではありません。
NRSの数字だけではなく、患者さんの言葉や生活状況を合わせて評価することが重要だと分かる一例です。
NRSを使うときに起こりやすい間違い
「NRS7だから重症」と決めつける
NRS7は強い痛みを示す可能性がありますが、数字だけで病気の重症度や原因を決めることはできません。
痛みの急激な変化や随伴症状がないかを確認します。
「NRS3以下なら問題ない」と考える
痛みがNRS3でも、睡眠や食事、移動に影響していることがあります。
数字が低くても、患者さんが困っていることを確認します。
測定条件をそろえずに比較する
安静時と体動時、薬剤使用前と使用後など、条件が違うNRSを単純に比較しないようにします。
患者さんの回答を疑う
NRSは主観的な評価です。
患者さんが「NRS8」と答えたとき、表情が穏やかだからといって、その訴えを否定してはいけません。
数字の意味や痛みの状況を丁寧に確認します。
NRSを聞いて終わる
NRSは痛みの評価の一部です。
部位、性質、経過、増悪・緩和因子、生活への影響まで確認して、はじめて患者さんの痛みを具体的に把握できます。
まとめ:NRSは「数字+変化+生活への影響」で見る
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- NRSは痛みを0〜10で表す主観的な評価方法
- 0は痛みなし、10は想像できる最悪の痛みを示す
- NRSの数字だけで、痛みの重症度や病気の程度を決めてはいけない
- 重要なのは、前回や治療前と比べてどう変化したか
- 部位、性質、持続時間、増悪・緩和因子を確認する
- 睡眠、食事、移動など、生活への影響も評価する
- 患者さんが考える「10の痛み」の意味を確認する
- 記録は「NRSの数字+痛みの状況」で残す
- 高齢者や認知機能が低下している患者さんでは、NRSだけに頼らない
NRSは、痛みを共有するために便利な道具です。
ただし、NRSは患者さんの痛みそのものではありません。
「何点ですか?」と聞いたあとに、
「その痛みで何が困っていますか?」まで確認する
このように考えると、数字だけでは見えにくい患者さんのつらさを、より具体的に捉えられます。
FAQ
NRSは何段階で評価しますか?
NRSは、0〜10の11段階で評価します。
0は痛みなし、10は想像できる最悪の痛みを示します。
NRS5は重症ですか?
NRS5という数字だけで、重症・軽症を一律に判断することはできません。
患者さんによって数字の意味が異なるため、前回からの変化や生活への影響、痛みの性質などを合わせて評価します。
NRSが前回より2点下がれば、治療は成功ですか?
NRSが下がっていれば、痛みが軽減した可能性があります。
ただし、数字の変化だけで治療効果をすべて判断することはできません。
患者さんが眠れるようになったか、動けるようになったかなど、生活への影響も確認します。
NRS3以上なら必ず鎮痛薬を使用しますか?
一律にそう判断することはできません。
ICU領域など、特定の領域でNRS3以上を判断基準として扱う場合はありますが、これは一般的なNRS全体に当てはまる基準ではありません。
施設の基準や医師の指示、患者さんの状態を確認して判断します。
痛みを訴えているのにNRSを答えられない場合はどうしますか?
NRSだけで評価せず、患者さんの表情、体動、発声、睡眠、食事、ケアへの反応などを確認します。
本人が答えられる範囲で、言葉や指差しなど別の方法で痛みを表現できるかも検討します。
NRSの記録は数字だけでよいですか?
数字だけでなく、痛みの部位、性質、安静時・動作時の違い、介入前後の変化、生活への影響などを記録します。
例として、「NRS7。右下腹部痛。歩行時に増悪し、安静時はNRS3。食事摂取低下あり」のように記録します。
参考資料
- 日本癌治療学会「がん疼痛診療ガイドライン」関連ページ
- 日本ペインクリニック学会「痛みの診断と評価」
- NRSは数値そのもので重症度を判断せず、変化を見るという解説
- 術後痛の教室「NRSの説明」
- ICU看護師の痛み判断に関する論文
- 看護roo!「NRS」に関する解説
- 看護師向け情報サイト「NRS」に関する解説
実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!
実習記録って、書き始めるまでが大変ですよね…😢
そんなときは、「AI看護学生 あいちゃん」を使ってみてください!
実習目標や看護計画など、あなたの「どうしよう…」を一緒に考えてくれます。
\ 看護学生なら無料!使ってみてね! /
LINEで友だち追加するだけ!
実習中の「ちょっと困った…」を、あいちゃんに相談してみよう😊



