【限定公開】全教科で「優」が取れた実習教材

SpO₂が低いのに息苦しくない理由と観察ポイント

フィジカルアセスメント
この記事は約10分で読めます。

SpO₂が低いのに息苦しくない理由|看護師・看護学生が確認したい観察ポイント

こんにちは、ユウです。

みなさんは、患者さんのSpO₂が低いのに、「苦しくない」と言われた経験はありませんか?

SpO₂が低ければ、当然息苦しさも強いはずだと思うかもしれません。でも実際には、SpO₂の値と患者さんの自覚症状が一致しないことがあります。

今回は、SpO₂が低いのに息苦しさを訴えない理由と、看護師・看護学生が確認したい観察ポイントについて解説します。

結論:SpO₂の数字と息苦しさは一致しないことがある

SpO₂が低いのに息苦しくない場合は、次のように考えます。

  1. まず、測定誤差がないか確認する
  2. SpO₂の低下が一時的か、持続しているかを見る
  3. 呼吸数、努力呼吸、意識状態、脈拍、皮膚色、会話の様子を確認する
  4. COPDや慢性呼吸不全、心疾患などの既往歴を確認する
  5. 「苦しくないから大丈夫」とは判断せず、必要に応じて報告・相談する

ざっくり言うと、

SpO₂は低いのに苦しくない患者さんでは、測定値だけでも、自覚症状だけでも判断しない

ということです。

SpO₂ 90%以下は、一般に低酸素血症や呼吸不全を疑う目安とされています。ただし、患者さんの年齢、基礎疾患、普段のSpO₂、測定条件などによって見方は変わります。

低値が持続している場合や、呼吸数増加、努力呼吸、意識変化などを伴う場合は、苦しさがなくても安心せず、報告・相談につなげることが大切です。

Estimated reading time

約10分

この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • SpO₂と息苦しさが一致しない理由
  • 低SpO₂でも自覚症状が乏しい病態
  • パルスオキシメーターの測定誤差
  • 看護師・看護学生が確認したい観察項目
  • SpO₂が低いときに「苦しくない」と言われた場合の考え方

根拠:SpO₂と呼吸困難感は別のもの

まず押さえておきたいのは、SpO₂と息苦しさは、同じものを見ているわけではないということです。

SpO₂は、血液中のヘモグロビンにどの程度酸素が結びついているかを、パルスオキシメーターで推定した値です。

一方、息苦しさは、患者さんが感じる「呼吸がつらい」「空気が足りない」といった主観的な感覚です。

日本呼吸器学会の資料でも、息苦しさの原因すべてがSpO₂の低下によるとは限らないと説明されています。

つまり、

  • SpO₂が低くても、息苦しさを感じない
  • SpO₂が保たれていても、息苦しさを感じる

という両方のケースがあります。

ここを理解していないと、「苦しくないから問題ない」「SpO₂が正常だから呼吸状態は大丈夫」と判断してしまう可能性があります。

詳しい解説:低酸素でも息苦しさを感じにくい理由

1.慢性的な低酸素に身体が慣れている

慢性呼吸不全やCOPDなどでは、長期間にわたって酸素化が低い状態が続いていることがあります。

このような患者さんでは、急に酸素化が低下した患者さんと比べて、低いSpO₂でも息苦しさを自覚しにくい場合があります。

また、慢性呼吸不全や先天性心疾患などでは、SpO₂が80%台でも息苦しさを訴えないことがあるとする資料もあります。熊本市民病院の資料では、呼吸困難の訴えだけでなく、病歴や呼吸状態などを総合的に確認する考え方が示されています。

ただし、これは「SpO₂が80%台でも問題ない」という意味ではありません。

普段の値から低下しているのか、低い状態が持続しているのか、ほかの異常がないかを確認する必要があります。

2.息苦しさは酸素低下だけで決まらない

息苦しさは、酸素化だけでなく、二酸化炭素の上昇や換気の負担とも関係します。

ざっくり言うと、身体が「呼吸をもっと頑張らなければならない」と感じることで、息苦しさが強くなることがあります。

そのため、酸素化が低下していても、呼吸仕事量が大きく増えていなければ、患者さんが強い息苦しさを訴えないことがあります。

反対に、SpO₂が保たれていても、呼吸の負担や不安などによって息苦しさを訴える患者さんもいます。

3.高齢者では自覚症状がはっきりしないことがある

高齢者では、呼吸状態が変化していても、息苦しさを明確に訴えないことがあります。

そのため、「苦しいですか?」という質問への返答だけで判断するのではなく、呼吸数や会話の様子、意識状態などの客観的な情報を集めることが重要です。NSPaceの解説でも、高齢者では呼吸困難の自覚が乏しいことがあり、客観的なデータ収集が重要とされています。

まず確認したいのは測定誤差

SpO₂が90〜93%台で、患者さんに症状がない場合は、最初から病状の悪化と決めつけず、測定条件を見直します。

確認する項目は次のとおりです。

  • 指先が冷えていないか
  • マニキュアやネイルがついていないか
  • 体動がないか
  • プローブが正しく装着されているか
  • 数値が安定しているか
  • いつものSpO₂と比べてどうか

指先の冷え、マニキュア、体動、プローブの装着不良などは、測定値に影響する可能性があります。Kasai-Yokoyama Medical Mediaの解説マイナビ看護師の解説でも、低値が出た場合には測定条件を確認し、再測定することが説明されています。

ただし、再測定して値が少し上がったからといって、必ずしも問題がないとは限りません。

測定値が安定しているか、患者さんの呼吸状態に変化がないかを合わせて見ていきます。

実践ポイント:SpO₂が低いのに苦しくないときの観察項目

1.SpO₂の値と推移

まずは現在のSpO₂だけでなく、次の点を確認します。

  • 何%だったのか
  • 再測定しても低いのか
  • いつから低いのか
  • 普段のSpO₂はいくつか
  • 酸素投与中かどうか
  • 酸素投与中であれば、設定や投与状況に変化がないか

数値は、その瞬間だけでなく、経過で見ることが大切です。

2.呼吸数と呼吸パターン

患者さんが「苦しくない」と話していても、呼吸数が増えていないかを確認します。

また、次のような呼吸の変化にも注目します。

  • 呼吸が浅くなっていないか
  • 呼吸のリズムが乱れていないか
  • 肩で息をしていないか
  • 息を吐く時間が長くなっていないか
  • 補助呼吸筋を使っていないか

患者さんの訴えと、実際の呼吸の様子が一致しているとは限りません。

3.会話ができるか

会話の様子も、呼吸状態を観察する手がかりになります。

  • 普通の長さの文章を話せるか
  • 話す途中で息継ぎが増えていないか
  • 声が弱くなっていないか
  • 返答が遅くなっていないか

「苦しくないです」と答えていても、会話が途切れたり、返答が普段と違ったりする場合は、ほかの所見と合わせて考えます。

4.意識状態と皮膚の色

低酸素の影響が疑われるときは、意識状態も確認します。

  • 眠気が強くないか
  • 反応が鈍くないか
  • 見当識に変化がないか
  • 口唇や爪の色に変化がないか
  • 冷汗や四肢冷感がないか

SpO₂が低い患者さんでは、息苦しさの有無だけでなく、全身状態の変化を見る必要があります。

5.脈拍と基礎疾患

脈拍の変化や、既往歴も確認します。

特に確認したい既往歴には、次のようなものがあります。

  • COPD
  • 慢性呼吸不全
  • 間質性肺炎
  • 睡眠時無呼吸
  • 心疾患
  • 先天性心疾患

これらの疾患がある患者さんでは、低いSpO₂でも自覚症状が乏しい場合があります。熊本市民病院の資料でも、呼吸困難の評価では症状だけでなく、病歴や呼吸状態を確認することが示されています。

SpO₂の数値だけで判断しない

SpO₂ 90%以下は、低酸素血症や呼吸不全を疑う目安とされています。

一方で、高齢者では年齢による動脈血酸素分圧の変化があり、呼吸器関連のQ&A資料では、80歳ではPaO₂が約76mmHg程度が正常範囲の目安で、SpO₂に換算すると93〜94%程度になるという記載があります。

また、標高約3,000mでは、健常者でもSpO₂が92〜93%程度になることがあるとする解説もあります。看護roo!の解説では、このように環境によってSpO₂が変化する例が紹介されています。

つまり、SpO₂の基準を一律に当てはめるのではなく、

  • 年齢
  • 基礎疾患
  • 普段の値
  • 測定場所や環境
  • 酸素投与の有無
  • 呼吸状態の変化

を合わせて考えます。

ただし、患者さんが苦しくないと話していても、低値が持続する場合や、呼吸数増加、努力呼吸、意識変化などを伴う場合は、安心せずに報告・相談につなげます。

筆者の体験談:私が看護師をしていた頃の経験

私が看護師をしていた頃、朝のバイタルサイン測定で、患者さんのSpO₂が普段より低く表示されたことがありました。

患者さんに「息苦しくないですか?」と聞くと、「全然苦しくないよ」と笑って答えました。

最初の私は、表情も落ち着いていたので、「測定ミスかもしれない」と考えました。ただ、いつもの数値と違っていたことが少し気になりました。

そこで、指先の状態を見て、プローブの位置を確認し、患者さんに手を動かさないようお願いして、もう一度測定しました。数値はすぐには安定しませんでした。

そのとき私は、「苦しくないという訴えを信じてよいのか」「それとも、数字を優先して考えるべきなのか」と迷いました。

先輩看護師に相談すると、先輩は患者さんの呼吸数、会話の様子、意識状態、普段のSpO₂を順番に確認していました。患者さん本人への質問だけでなく、記録に残っている普段の値と比べながら、現在の状態を見ていたのが印象に残っています。

結果として、その場では測定条件を見直しながら経過を確認し、必要な報告につなげました。

この経験があってから、私はSpO₂を見たときに、数字だけでなく「この患者さんの普段の値はどうか」「呼吸の様子は変わっていないか」と考えるようになりました。

この体験談は医学的根拠を示すものではありません。患者さんの訴えと客観的な観察を結び付けて考える場面としてご覧ください。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

  • SpO₂と息苦しさは、必ずしも一致しない
  • 低酸素でも、慢性的な状態や基礎疾患によって自覚症状が乏しいことがある
  • SpO₂が低いときは、まず指先の冷え、マニキュア、体動、装着不良などの測定誤差を確認する
  • 再測定だけでなく、呼吸数、努力呼吸、会話、意識、脈拍、皮膚色を観察する
  • COPDや慢性呼吸不全、心疾患などの既往歴と、普段のSpO₂を確認する
  • 「苦しくないから大丈夫」「SpO₂が低いから必ず重症」と単純に判断しない
  • 低値が持続する場合や全身状態に変化がある場合は、速やかに報告・相談する

ざっくり言うと、

SpO₂が低いのに息苦しくないときは、測定誤差を確認したうえで、患者さんの呼吸状態と普段の値を総合的に見る

ことが大切です。

FAQ

Q1.SpO₂が90%台前半でも、苦しくなければ様子を見てよいですか?

A.苦しさがないだけで、問題がないとは判断できません。

まず、測定条件を確認して再測定します。そのうえで、普段のSpO₂、呼吸数、努力呼吸、意識状態、会話の様子などを確認します。

低値が持続している場合や、普段より明らかに低い場合は、患者さんの訴えだけで判断せず、報告・相談につなげます。

Q2.SpO₂が低いのに苦しくないのは、身体が慣れているからですか?

A.慢性呼吸不全やCOPDなどでは、低い酸素化に身体が適応し、息苦しさを感じにくい場合があります。

ただし、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。測定誤差や急激な状態変化の可能性もあるため、基礎疾患や普段の値を確認します。

Q3.SpO₂が正常なら、呼吸状態に問題はありませんか?

A.SpO₂が正常でも、息苦しさを訴える患者さんはいます。

息苦しさは酸素化だけで決まらず、二酸化炭素の上昇や換気の負担などとも関係します。そのため、SpO₂が保たれていても、呼吸数や呼吸パターン、会話の様子などを確認します。

参考文献

  • 日本呼吸器学会「酸素飽和度 SpO₂とは何ですか?」:日本呼吸器学会資料
  • 熊本市民病院「『呼吸困難(息が苦しい)』を訴える患者が来たら」:熊本市民病院資料
  • 呼吸器関連Q&A「Q&A Vol.504【呼吸苦はないのにSpO₂が低い】呼吸アセスメント…」:呼吸器関連Q&A資料
  • マイナビ看護師「SpO₂とは?正しい測定方法と低下した場合の対処法」:マイナビ看護師
  • Kasai-Yokoyama Medical Media「パルスオキシメーターの測定誤差に関する解説」:Kasai-Yokoyama Medical Media
  • NSPace「呼吸困難のアセスメントに関する解説」:NSPace
  • 看護roo!「SpO₂と呼吸困難に関する解説」:看護roo!

実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!

実習記録って、書き始めるまでが大変ですよね…😢

そんなときは、「AI看護学生 あいちゃん」を使ってみてください!
実習目標や看護計画など、あなたの「どうしよう…」を一緒に考えてくれます。

\ 看護学生なら無料!使ってみてね! /

LINEで友だち追加するだけ!
実習中の「ちょっと困った…」を、あいちゃんに相談してみよう😊


LINEで友だち追加

タイトルとURLをコピーしました