透析患者のシャント側で血圧測定を避ける理由|看護師・看護学生が押さえたいポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、透析患者さんの血圧を測るとき、「シャント側では測らない」と聞いたことはありませんか?
反対側の腕で測るのが基本だと知っていても、なぜ避けるのか、誤って測定してしまったときはどうすればよいのか、迷うことがありますよね。
今回は、シャント側の腕で血圧測定を避ける理由と、看護師・看護学生が実践するときの確認ポイントを解説します。
結論:血圧はシャントのない反対側の腕で測定する
シャント側の腕で血圧測定を避けるのは、カフで腕を強く圧迫すると、シャントの血流が一時的に低下したり、遮られたりするためです。圧迫が繰り返されることで、シャントの狭窄や閉塞、損傷につながる可能性があります。
血圧測定の前にシャントの位置を確認し、原則として反対側の腕で測定しましょう。採血や点滴も、シャント側では避けるよう案内されています。
ただし、調査した資料には「何mmHg以上なら危険」といった数値の基準は示されていません。大切なのは、数値を目安にすることではなく、シャント側の腕を圧迫しないことです。
読了時間の目安
約5分
この記事でわかること
- シャント側で血圧測定を避ける理由
- 血圧測定以外に気をつけたいこと
- 誤って測定したときに確認したいこと
- 看護師・看護学生が測定前に意識したいポイント
根拠:カフによる圧迫がシャントの血流を妨げる
シャントは、透析に必要な血流を確保するために作られた血管です。透析患者向けパンフレットや透析に関する医師向けQ&Aでは、シャントが透析に必要な血流を確保するためのものと説明されています。
血圧測定では、カフを膨らませて腕を締め付けます。その圧迫によってシャントの血流が一時的に低下したり、止まったりすることがあります。開港会の透析Q&Aや大垣の医療機関によるシャント管理の解説では、シャント側の腕を圧迫することが血流障害や閉塞につながる可能性があるとして、血圧測定を避けるよう案内しています。
つまり、血圧測定を一度行えば必ずシャントが閉塞する、ということではありません。しかし、透析を続けるうえで大切なシャントを守るため、圧迫を避けるのが基本です。
シャント側の腕で避けたいこと
血圧測定だけでなく、採血や点滴も、原則としてシャントのない側で行います。腎臓病関連団体の血液透析に関する案内でも、シャント側の腕を圧迫しないことや、血圧測定・採血などを避けることが説明されています。
また、腕時計やブレスレット、きつい袖など、腕を長時間締め付けるものにも注意が必要です。シャントを保護するための基本は、シャント側の腕を圧迫しないことです。大垣の医療機関によるセルフチェックの解説でも、圧迫を避けることが案内されています。
患者さんが別の医療機関を受診する場合には、「この腕はシャント側です」と伝えられるように説明しておくことも、シャントを守る助けになります。
誤ってシャント側で測定してしまったら
誤って血圧測定をした場合、まずは慌てずに、患者さんの腕やシャントの状態を確認します。
痛みや出血がないか、シャントの拍動やスリル(血管に触れたときの振動)に変化がないかを確認し、気になる変化があれば、透析担当者や医師に相談しましょう。シャントの状態に関する確認方法は、大垣の医療機関によるセルフチェックの解説でも紹介されています。
なお、今回確認した資料には、誤って測定した場合に「必ず閉塞する」といった説明や、対応を決める数値基準はありません。測定した事実を共有し、施設の手順に沿って対応することが大切です。
看護師・看護学生が測定前に確認したいこと
血圧測定の前に、次の点を確認しましょう。
- シャントの有無と位置を確認する
患者さん本人に尋ねるだけでなく、記録や申し送りも確認します。 - シャントのない反対側で測定する
どちらの腕を使うか迷ったときは、自己判断でシャント側を選ばず、患者さんや透析担当者に確認します。 - 血圧測定以外の処置にも注意する
採血や点滴など、腕を使用する処置もシャント側では原則避けます。 - 患者さん自身が伝えられるよう支援する
健診や他科受診の場面でも、シャント側を医療者に伝えられるよう声をかけます。
筆者の体験談
血圧測定は、看護の中で何度も行う基本的なケアです。そのため、手順に慣れていると、腕を選ぶ前にカフを巻き始めてしまうこともあるかもしれません。
透析患者さんのバイタル測定に入る場面を考えると、患者さんの腕にカフを巻く前に、まずシャントの位置を確認することが大切です。どちらの腕で測ればよいか迷ったときは、記録や申し送りを確認し、患者さんにも「シャントはこちらの腕ですか」と尋ねます。患者さんから「この腕はシャント側です」と教えてもらったら、反対側で測定できることを確認してから準備を進めます。
もし測定後にシャント側だったと気づいた場合には、測定した事実を共有し、腕やシャントの状態を確認したうえで、施設の手順に沿って相談する必要があります。私は「血圧を測る」という一つの行為にも、患者さんの治療を支えるシャントへの配慮が含まれているのだと改めて感じます。測定を始める前に、患者さんの腕を確認する。そのひと呼吸を、忙しい場面でも大切にしたいと思います。
この体験談は看護場面を理解するためのものであり、医学的根拠を示すものではありません。医学的な説明については、上記の根拠と参考文献を確認してください。
まとめ
透析患者さんのシャント側で血圧測定を避けるのは、カフの圧迫がシャント血流を妨げ、狭窄や閉塞、損傷につながる可能性があるためです。
今回のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 血圧は、原則としてシャントのない反対側で測定する
- 採血や点滴も、シャント側では原則避ける
- 腕時計やきつい衣類など、持続的な圧迫にも注意する
- 誤って測定した場合は状態を確認し、施設の手順に沿って相談する
- 「何mmHgなら危険」という数値基準ではなく、シャント側を圧迫しないことを基本にする
血圧測定の前にシャントの有無を確認する習慣をつけ、患者さんの大切なシャントを守りましょう。
FAQ
シャント側で一度血圧を測ったら、必ず閉塞しますか?
必ず閉塞するとは言えません。資料では、シャント側の腕の圧迫が血流障害や閉塞につながる可能性があるため、測定を避けるよう案内されています。測定後に痛みや出血、拍動・スリルの変化など気になる点があれば、透析担当者や医師に相談してください。
採血や点滴もシャント側では避けるのですか?
はい。血圧測定だけでなく、採血や点滴も、原則としてシャントのない反対側で行うよう案内されています。対応に迷う場合は、施設の手順に従い、担当者に確認しましょう。
参考文献
- 開港会「透析なるほどQ&A 日常生活・食事管理」URL
- 大垣の医療機関「透析シャント手術後の注意点|管理方法と長持ちさせるコツ」URL
- 大垣の医療機関「透析シャントのセルフチェック方法|見て・聞いて・触って異常を」URL
- 全国腎臓病協議会「日常生活で気をつけること|血液透析」URL
- 透析メディカルプレス「シャントを長持ちさせるために気をつけることはありますか?」URL
- 透析関連団体「パンフレット(透析患者向け)」PDF
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
今回の記事について、さらに理解を深めたい方におすすめの書籍を紹介します。
看護の学びなおし バイタルサイン
著者:白坂友美
出版社:照林社
血圧測定を含むバイタルサインを『単なる値』でなく臨床判断につなげる観点から学べるため、シャント側での測定を避ける理由の理解と測定後の評価に直結します。
フィジカルアセスメント 根拠からわかる!実習で実践できる!
著者:中村充浩
出版社:照林社
フィジカルアセスメントとバイタルサインの測定方法や根拠を実習で使える形で解説しており、シャントの有無確認や観察ポイントの習得に役立ちます。
看護技術クイックノート 第2版
著者:石塚睦子
出版社:照林社
看護技術を手順・根拠とともにコンパクトに確認でき、血圧測定時の注意点やカフの扱いなど実践的な注意事項を学べます。
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