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絶食中の口腔ケアが必要な理由と看護実践ポイント

看護技術
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絶食中でも口腔ケアは必要?看護師・看護学生が押さえたい理由と実践ポイント

こんにちは、ユウです。

みなさんは、絶食中の患者さんに「食べていないのに、口腔ケアは必要なの?」と聞かれて、説明に迷ったことはありませんか?

食べかすがないなら、歯磨きも必要ないように感じるかもしれません。でも、絶食中でも口の中が清潔に保たれるとは限りません。今回は、絶食中に口腔ケアを行う理由と、看護師・看護学生が実践するときに意識したいポイントを解説します。

結論:絶食中でも口腔ケアは必要

絶食中は、食事による唾液の分泌や口の中を洗い流す働きが低下し、汚れや乾燥がたまりやすくなります。そのため、口腔ケアはむしろ重要です。

口腔ケアは「食べかすを取るため」だけではありません。口腔内の清潔を保ち、乾燥や不快感を軽減することも目的です。口腔内の細菌を含む唾液などが気道に入ることは、誤嚥性肺炎の機序の一つとして説明されています。ただし、口腔ケアだけで肺炎を必ず防げるという意味ではありません。

歯・舌・頬の内側などの状態を確認し、患者さんの嚥下状態やケア時の安全に配慮しながら、必要な口腔ケアを続けます。ケアの頻度や方法は一律に決めず、患者さんの口腔内の状態や嚥下状態に合わせて考えましょう。

この記事の読了時間の目安:約6分

この記事でわかること

  • 絶食中に口腔ケアが必要な理由
  • 口腔ケアで確認したい部位や状態
  • 誤嚥リスクや乾燥がある患者さんへの配慮
  • 経管栄養中や終末期に口腔ケアを続ける意味

根拠:禁食中は口腔内の不衛生が問題になることがある

厚生労働省の資料では、禁食下で起こりうる問題として「摂食嚥下機能悪化、栄養量不足、口腔内不衛生」が挙げられています。絶食しているから口の中も清潔になる、とは言い切れません。

また、アルメディアWEB「ムリなくムダなくできる!口腔ケア」では、食事の刺激が少なくなると口腔の自浄作用が低下し、口腔内の汚れが残りやすくなることが説明されています。口腔栄養関連団体の解説資料でも、口から食事をしていない場合でも歯磨きなどの口腔ケアが必要であるとされています。

つまり、絶食中は食べかすが少なくても、歯や舌、粘膜に汚れが付着したり、口の中が乾燥したりすることがあります。口腔ケアを続けるのは、口腔内を清潔に保ち、患者さんの不快感を軽減するためでもあります。

絶食中でも、口の中に汚れや乾燥は起こる

「食事をしていないのだから、口の中は汚れないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、歯や舌、頬の内側、口蓋などには、食事の有無にかかわらず汚れが付着することがあります。絶食中に口を使う機会が減ると、食事による刺激や口腔内を洗い流す働きも少なくなります。岩手医科大学附属歯科医療センターの解説でも、絶食中でも口腔ケアが必要なことが説明されています。

また、唾液が減ると口の中が乾燥しやすくなり、患者さんが口の渇きや不快感を訴えることがあります。口腔ケアでは、歯だけでなく舌や粘膜、義歯なども含めて状態を確認しましょう。

口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防にも関係する

誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌を含む唾液などが気道に入ることが関係する場合があります。恵佑会札幌病院の解説では、口腔内細菌が唾液などとともに気道へ入ることが、誤嚥性肺炎の機序として説明されています。

そのため、口腔内を清潔に保つことは感染予防の観点からも大切です。ただし、口腔ケアは誤嚥性肺炎を確実に防ぐものではありません。患者さんの状態に応じたケアの一つとして考え、嚥下状態や全身状態の評価とあわせて行います。

看護師・看護学生が口腔ケアで確認したいこと

口腔ケアを行うときは、歯の汚れだけでなく、次のような点も確認します。

  • 舌や頬の内側、口蓋に汚れがないか
  • 口腔内や唇に乾燥がないか
  • 白苔、出血、粘膜の傷などがないか
  • 痰が口の中にたまっていないか
  • 義歯がある場合、汚れや装着状態に問題がないか
  • ケア中にむせたり、苦しそうな様子が出たりしていないか

頻度は「1日何回」と一律に決められるものではなく、患者さんの口腔内の汚れや乾燥、痰の貯留、義歯の有無、誤嚥リスクなどを踏まえて考えます。口腔内の状態が変化した場合は、記録や申し送りで共有しましょう。

誤嚥リスクがある場合は、安全に配慮する

嚥下機能が低下している患者さんでは、ケアに使う水分が負担になる場合があります。患者さんの状態や施設の手順に沿って、体位や吸引の準備、使用する水分量などを確認しながら行います。

口腔ケアをしたからといって、飲水や食事を再開してよいわけではありません。摂食嚥下の再開は別に判断する必要があり、必要に応じて嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)などによる評価が安全な判断材料になります。アルメディアWEB「絶食を続けることの問題と摂食嚥下開始のタイミング」も参考にしてください。

経管栄養中や終末期でも、口腔ケアの目的はある

経管栄養中の患者さんは、口から食べていなくても、口腔内の清潔保持や乾燥への対応が必要です。ケアの目的は「食べるため」だけではありません。口腔内を清潔に保つことや、口の不快感を軽減することも含まれます。

終末期の患者さんでも、患者さんの状態や希望に配慮しながら口腔ケアを続けることがあります。口腔ケアの方法や負担の程度は、本人の状態に合わせて検討します。

看護師・看護学生が実践するときのポイント

大切なのは、「絶食中だから口腔ケアは不要」と決めつけないことです。

まず口腔内を観察し、汚れや乾燥、痰、粘膜の状態を確認します。そのうえで、嚥下状態や患者さんの反応に配慮してケアを行いましょう。乾燥が強い場合は保湿を意識し、粘膜を傷つけないようにします。

口腔ケアの方法に迷う場合や、ケア中にむせ込みなどが見られる場合は、患者さん個別のケア計画や施設の手順を確認し、必要に応じて先輩看護師や関係職種に相談します。

筆者の体験談:口腔ケアの目的を患者さんに伝える

看護師をしていた頃、絶食中の患者さんの口腔ケアに入ったとき、患者さんから「何も食べていないのに、歯磨きはするんですね」と聞かれたことがありました。

そのとき私は、いつものように「口の中をきれいにするためです」と答えかけました。でも、患者さんの表情を見ると、ただ説明を聞きたいというより、「食べていないのに、なぜ必要なのだろう」と納得できずにいるように感じました。

私は少し言葉に詰まりました。食べかすを取るためだけではないことを、どう伝えれば分かりやすいだろう。そこで、「食べていなくても、口の中が乾いたり、舌や頬に汚れがついたりすることがあるんです」と伝えました。患者さんは「そうなんだ」とうなずき、その後はケアを受け入れてくれました。

今振り返ると、ケアの目的を自分の中で理解していても、患者さんに伝わる言葉にできるとは限らないのだと感じます。それ以来、私は口腔ケアを始める前に、「何のために行うのか」を患者さんの目線で考えるようになりました。

この体験談は看護場面をイメージするためのものであり、医学的根拠を示すものではありません。

よくある質問

絶食中でも、毎日歯磨きは必要ですか?

絶食中も、口腔内の清潔を保つために口腔ケアが必要です。ただし、実施頻度や方法は一律ではありません。口腔内の汚れや乾燥、痰の貯留、義歯の有無、誤嚥リスクなどを踏まえて考え、施設の手順や個別のケア計画を確認しましょう。

口腔ケアをすれば、誤嚥性肺炎を防げますか?

口腔内を清潔に保つことは大切ですが、口腔ケアだけで誤嚥性肺炎を必ず防げるわけではありません。患者さんの嚥下状態や全身状態の評価とあわせて、状態に応じたケアを行います。

口腔ケアをしたら、水を飲んでもよいですか?

口腔ケアをしたことだけを理由に、飲水や食事を再開してよいとは判断できません。摂食嚥下の再開は別に評価し、必要に応じて嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)などの結果を判断材料にします。

経管栄養中や終末期でも口腔ケアは必要ですか?

口から食べていない場合でも、口腔内の清潔保持や乾燥、不快感への対応が必要なことがあります。終末期では、患者さんの状態や希望に配慮し、ケアの方法や負担の程度を検討します。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 絶食中は食事による刺激や口腔の自浄作用が低下し、汚れや乾燥がたまりやすくなる
  • 口腔ケアは、食べかすを取るだけでなく、清潔保持や乾燥・不快感への対応も目的となる
  • 口腔内の細菌を含む唾液などが気道に入ることは、誤嚥性肺炎の機序の一つ。ただし、口腔ケアだけで肺炎を必ず防げるわけではない
  • ケアの頻度や方法は一律ではなく、口腔内の状態や嚥下状態に合わせて考える
  • 絶食中でも、歯・舌・粘膜・義歯などを含めて観察する

「食べていないから口腔ケアは不要」ではありません。絶食中も口腔内の状態を確認し、患者さんに合わせたケアを続けましょう。

参考文献

  • 厚生労働省「個別事項(その10) リハビリテーション・栄養・口腔」PDF
  • アルメディアWEB「ムリなくムダなくできる!口腔ケア」記事
  • 口腔栄養関連団体資料「Q2.寝たきりで口からは食事をしていないのですが、歯磨きや…」解説
  • 岩手医科大学附属歯科医療センター「絶食は口腔ケア必要ない?」解説
  • 恵佑会札幌病院「vol.22 口腔ケア」解説
  • アルメディアWEB「3. 絶食を続けることの問題と摂食嚥下開始のタイミング」記事

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この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

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