術後合併症の中でももっとも頻度の高いもの。
必ず起こるといっても過言ではないものは、「疼痛」です。
今回は、疼痛に対するケアのポイントについてまとめました。
疼痛
1.疼痛の有無
痛みというのは、客観的にみても分からないものです。
よく患者が痛みを訴えているのに、
「痛くないですよー」とか「大丈夫ですよー」、「気のせいですよー」などと
不安を取り除くような声掛けをすることがありますが
“患者が痛いと訴えたら、それは痛み”
ということをよく覚えておいてください。
相手の痛みは絶対にこちらで感じることはできないのです。
しかし、術後に痛みがあるかどうかを判断するポイントがあります。
意識レベルがクリアな患者の場合
- 痛みの有無や部位、範囲、持続時間を聞く
- ペインスケール(フェイススケール)を用いて痛みの程度を把握する
- 鎮痛剤の効果を聞く
意識レベルが悪い患者の場合
上記に加えて
- うなり声をあげていたり、冷汗がみられるかどうか
- 苦痛表情や顔面蒼白か
- 血圧上昇、頻脈、呼吸促迫の有無
※術後の痛みは患者のストレスとなります。
その結果、内分泌系、交感神経を刺激しカテコラミンが放出され、
血圧上昇、頻脈、呼吸数速柏といった症状が生じます。
2.疼痛コントロール
患者は術後の疼痛に耐えようとして、
呼吸や咳嗽を抑制したり体動を制限するため、術後合併症を起こしやすいです。
そのため、積極的な除痛によって疼痛のコントロールをはかることが
術後合併症の予防となります。
疼痛コントロールケアのポイント
- 術前より疼痛教育を行う。
- フェイススケールを用いて、患者とともに疼痛のゴールを設定する。
- 注意深く観察する。
- 硬膜外カテーテルや鎮痛薬を定期的に使用して、疼痛を最小限にとどめる。
- 定期的に疼痛の程度を把握する。
- 心理的アプローチ(順調に経過していることを伝えるなど)
3.疼痛を我慢することによる合併症
術後の疼痛を我慢しようとすることによって
次のような合併症が生じます。
呼吸器合併症
体動や咳嗽により痛みが増強するため、患者は痰の喀出を抑え、
効果的な咳嗽がえられないことにより生じます。
筋緊張
痛みを我慢しようとギュッと力を入れてしまい、筋緊張が起こります。
筋緊張は血管を収縮させ、創部の虚血、臓器の虚血、深呼吸の妨げなどを起こし、
循環器系・呼吸器系にも悪影響を及ぼします。
離床の遅延
近年の研究結果から、術後は翌日から離床し、
少しでも動いた方が回復が早まると言われています。
しかし、痛みにより離床が遅延するリスクがあります。
4.術後合併症まとめ
それぞれの術後合併症について詳しくまとめましたのでご活用ください。 術後合併症の種類と出現時期
5.オススメ書籍「術前・術後ケアの基本」
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ユウのアドバイス
術後はいかに早めの離床を勧めるかがポイントです。
疼痛緩和目的の薬の使用は積極的に行い、離床していただきます。
疼痛コントロールは看護の力が試されるポイントなので、
しっかり復習しておきましょうね!!゚+.゚(*´∀`)b゚+.゚
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