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心不全の塩分と水分管理 減塩は基本、水分は個別に

疾患・病態
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こんにちは、ユウ塾長です。心不全の患者さんに「塩分も水分も控えてください」と説明するとき、なぜ両方を制限するのか、どこまで控えればよいのか迷ったことはありませんか?とくに水分は、心不全なら全員が減らすべきなのか判断に悩みますよね。今回は、塩分と水分の違いから、患者さんに伝えるときのポイントまで整理します。

結論:減塩は基本、水分制限は患者さんごとに考える

心不全では、塩分を摂りすぎると体に水分がたまりやすくなり、むくみや息苦しさなどのうっ血につながることがあるため、減塩が大切です。

一方、水分制限はすべての患者さんに一律で行うものではありません。血清ナトリウム値、体液のたまり具合、腎機能、利尿薬の使用状況などを踏まえ、必要性や量を個別に考えます。患者さんには、「水分は少なければよいわけではないので、指示された量を確認しましょう」と伝えてくださいね。

この記事でわかること

この記事では、次のポイントを解説します。

  • 塩分を摂りすぎると、なぜ体に水分がたまりやすくなるのか
  • 水分制限を一律に行わない理由
  • 塩分・水分の目標量を考えるときの注意点
  • 患者さんに説明するときの言い換え方と、看護師が確認したいこと

読了時間の目安:約8分

結論の根拠:塩分制限と水分制限は分けて考えよう

日本循環器学会の一般向け資料では、食塩を多く摂ると循環血液量が増え、心臓への負担になると説明されています。また、軽症の慢性心不全では、食塩を1日7g程度に制限する説明が示されています。

水分制限については、心不全の患者さん全員に一律で行うことを支持する強固な根拠が十分とはいえません。2024年のレビュー「Fluid Restriction for Patients with Heart Failure: Current Evidence and Future Perspectives」では、水分制限の有効性には見解の違いがあり、制限によって口渇や口腔乾燥などが増える可能性も整理されています。

つまり、減塩は心不全の生活管理として大切ですが、水分制限は患者さんの状態を見て決めるものです。ここを一緒くたに説明しないことが、患者さんの誤解を防ぐポイントですよ。

塩分を摂りすぎると、なぜ水分がたまりやすいの?

食塩に含まれるナトリウムは、体内の水分バランスに関わっています。塩分を多く摂ると、体はナトリウム濃度のバランスを保とうとして水分を保持しやすくなります。

心不全では、心臓が体のすみずみまで血液を送り出す力が低下していることがあります。体液が増えても十分に処理できないと、肺や足などに水分がたまり、息苦しさや浮腫につながることがあります。

患者さんには、たとえば次のように説明できます。

「塩分を摂りすぎると、体が塩分を薄めるために水分をため込みやすくなります。心臓の働きが弱っていると、その水分をうまく送り出せず、むくみや息苦しさが出ることがあります。だから、塩分を控えることが大切なんです。」

「塩分を控えてください」だけでなく、塩分が水分貯留につながり、心臓の負担になるという流れを添えると、理由が伝わりやすくなります。

水分制限は、なぜ全員に必要ではないの?

水分を摂りすぎると、体液の貯留やうっ血につながる可能性があります。ただし、心不全の患者さんがすべて同じ状態とは限りません。体液がたまっている人もいれば、制限や利尿薬の影響などで水分が不足している人もいます。

水分を厳しく制限すると、口渇や口腔乾燥などの苦痛が増えることがあります。状態によっては、脱水や腎機能の悪化などにも注意が必要です。そのため、「心不全だから水分を減らす」と一律に伝えるのではなく、なぜ制限するのか、どのくらい必要なのかを医師の指示と患者さんの状態に照らして確認しましょう。

低ナトリウム血症、とくに血清ナトリウム値が130 mEq/L未満の場合や、重症心不全、利尿薬を使っても体液量の調整が難しい場合などには、水分制限が検討されることがあります。海外のガイドラインでは1日1.5~2L程度の制限が考慮される場合もありますが、これは全員に当てはまる量ではありません。2024年のレビューでも、病態に応じた判断が必要とされています。

目標量は、患者さんの状態に合わせて決める

食塩の量

日本循環器学会の一般向け資料では、軽症の慢性心不全で食塩1日7g程度という説明があります。ただし、すべての患者さんに同じ目標量を当てはめるのではなく、病状や食事の摂取状況などに応じて調整が必要です。

厳しい減塩によって食事がおいしく感じられなくなり、食事量が減る患者さんもいます。減塩だけを目標にして、低栄養につながることがないよう、食欲や体重の変化も確認してくださいね。必要に応じて、医師や管理栄養士と相談しながら現実的な目標を考えます。

水分の量

心不全患者さん全員に適用できる、確立した水分制限量はありません。制限が指示されている場合は、その量だけでなく、制限の目的と対象となる期間も確認しましょう。

水分量を把握するときは、飲み物だけを数えるのではありません。患者さんと確認するときは、次のようなものも含めて考えます。

  • 水、お茶、コーヒー、ジュース
  • 味噌汁やスープ
  • ゼリー、プリン、アイスクリーム
  • 氷
  • 経腸栄養剤
  • 薬を飲むときの水

患者さんが「水は飲んでいません」と話していても、汁物や氷などを含めると、本人の認識と実際の摂取量が異なることがあります。責めるのではなく、「普段、どんなものを飲んだり食べたりしていますか?」と一緒に振り返ってみましょう。

患者さんが実行しやすい説明にする

減塩は「食卓で塩をかけない」だけではない

塩分は、調味料だけでなく、汁物や漬物、加工食品などにも含まれています。患者さんには、食事全体の中で塩分が重なりやすい場面を一緒に探すと、取り組みにつながりやすくなります。

たとえば、次のような方法があります。

  • 味噌汁やスープは、量を減らしたり汁を残したりする
  • 漬物、梅干し、塩辛、佃煮を毎日食べる習慣を見直す
  • 麺類の汁を飲み干さない
  • しょうゆやソースは、直接かけずにつけて使う
  • 食品表示の「食塩相当量」を確認する
  • 酢、香辛料、香味野菜、だしなどを活用する

「薄味にしてください」と伝えるだけだと、何を変えればよいか分かりにくいことがあります。患者さんが普段よく食べるものを聞いて、続けやすい工夫を一緒に考えてみてください。

水分制限がある場合は、量を見える化する

水分制限が指示されている患者さんには、1日の許容量を具体的に共有します。コップの容量を確かめたり、1日分を容器に入れたりすると、残りの量を把握しやすくなります。

口渇がつらいときは、うがいや口腔ケアなどで少し楽になる場合があります。ただし、暑さや発汗、発熱、下痢、嘔吐などで水分の状態が変わることもあります。患者さんには、こうしたときに自己判断で制限を続けず、医療者に相談するよう伝えてください。

看護師が一緒に確認したいこと

塩分や水分の指示を説明したら、実行できているかだけでなく、体調の変化や生活上の困りごとも確認しましょう。

体液がたまっている可能性を考えるときは、体重の変化、浮腫、息苦しさ、尿量などを合わせて見ます。一方で、口渇や口腔内の乾燥、めまい、尿量の減少などがあれば、水分制限や利尿の影響も含めて状態を確認します。血清ナトリウム値や腎機能なども、症状や身体所見とあわせて判断する情報です。

体重は、起床後・排尿後・朝食前など、できるだけ同じ条件で測るよう説明します。どの程度の体重増加で医療機関に連絡するかは、患者さんごとの指示を確認してください。一律の数値を伝えるのではなく、退院時に連絡基準を具体的に共有しておくことが大切です。

また、減塩後に食事量が落ちていないかも見逃せません。食欲低下や体重減少がある場合は、患者さんの努力不足と捉えるのではなく、食事内容や栄養状態を確認し、医師や管理栄養士と相談しましょう。

患者さんへの説明場面を考えてみましょう

患者さんから「塩分を控えるのは分かるけれど、水もなるべく飲まないほうがいいんですよね」と聞かれた場面を考えてみます。

ここで「はい、控えましょう」と答えてしまうと、患者さんは自己判断で飲水を大きく減らしてしまうかもしれません。反対に、「水分制限は必要ありません」と言い切ることもできません。まずは、患者さんに水分制限の指示が出ているか、指示がある場合はその目的や量を確認します。

そのうえで、「塩分は体に水分がたまりやすくなるため控えることが大切です。でも、水分は少なければよいわけではありません。あなたの状態に合わせた量を確認しましょう」と説明します。

筆者の体験談

患者さんから「塩分を控えるのは分かるけれど、水もなるべく飲まないほうがいいんですよね」と尋ねられる場面では、塩分と水分をひとまとめにして説明しそうになることがあります。私なら、まず患者さんの水分制限の指示があるかを確認し、体重の変化や浮腫、息苦しさ、尿量など、いまの状態を一緒に振り返ります。

「心不全だから水分を控える」とだけ伝えてしまうと、患者さんがどこまで減らせばよいのか分からず、不安になることもあります。反対に、制限の有無を確認せず「飲んで大丈夫です」と答えるのも迷いますよね。私なら、いったん塩分の話と水分の話を分け、医師の指示と患者さんの状態を確認してから言葉を選びます。

説明の順番を少し整えるだけでも、患者さんの「何をどこまで控えればいいの?」という不安に向き合いやすくなります。体験談は医学的根拠ではありませんが、患者さんの質問をきっかけに、指示の目的や実行しやすさを確認する視点につなげてみてください。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 塩分の摂りすぎは体に水分をためやすくし、心臓の負担やうっ血につながることがあります。
  • 減塩は大切ですが、厳しすぎる制限で食事量が減らないかにも注意が必要です。
  • 水分制限は全員に一律で行うものではなく、血清ナトリウム値や体液量、腎機能などに応じて判断します。
  • 看護師は、指示量だけでなく、その目的や患者さんの症状、実行しやすさも確認しましょう。

患者さんには、「塩分は控えることが大切」「水分は状態に合わせて決める」と分けて伝えると、混乱を防ぎやすくなります。目標量や連絡基準は、患者さんごとの指示を確認しながら一緒に整理していきましょう。

FAQ

心不全の患者さんは、全員が水分制限をするのですか?

いいえ。水分制限は全員に一律で行うものではありません。低ナトリウム血症や重症心不全など、病態に応じて検討されます。

水分制限がある場合、汁物やゼリーも水分に含めますか?

水分量を管理するときは、飲み物だけでなく、汁物やゼリー、氷なども含めて考えます。実際にどの範囲を数えるかは、患者さんへの指示を確認してください。

減塩で食事量が減ってしまったら、どうすればよいですか?

食事量や体重の変化を確認し、医師や管理栄養士に相談しましょう。減塩の継続だけを優先せず、栄養状態とのバランスを考えることが大切です。

参考文献

  • 日本循環器学会「しんふぜん 心不全:心臓にやさしい生き方」公式資料
  • “Fluid Restriction for Patients with Heart Failure: Current Evidence and Future Perspectives.” 2024. PMC

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この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

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