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COPDの口すぼめ呼吸のしくみと看護のポイント

疾患・病態
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こんにちは、ユウ塾長です。みなさんは、COPDの患者さんが「息を吐ききれない」と話すとき、なぜ口すぼめ呼吸を勧めるのか疑問に思ったことはありませんか?「しっかり吐いてください」と伝えればよいのか、かえって苦しくならないか、迷いますよね。今回は、口すぼめ呼吸のしくみと、患者さんに伝えるときの看護のポイントを整理します。

結論:強く吐かせず、口をすぼめてゆっくり吐く

COPDでは、息を吐くときに気道が狭くなりやすく、吸い込んだ空気が肺に残ることがあります。口すぼめ呼吸は、口をすぼめて細く長く息を吐き、呼気中に気道がつぶれにくい状態を保つことをねらう呼吸法です。

患者さんには、「息を吐ききって」と頑張らせるのではなく、まず楽な姿勢をとってもらい、「鼻から少し吸って、口をすぼめてゆっくり吐きましょう」と短く伝えてみましょう。急に息苦しさが強くなったときや、意識状態の変化などがあるときは、呼吸法だけで対応せず、状態の評価や報告を優先してください。

読了時間の目安

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この記事でわかること

この記事では、次のポイントを解説します。

  • COPDで息を吐きにくくなるしくみ
  • 口すぼめ呼吸が勧められる理由
  • 患者さんに伝える手順と言葉の例
  • 呼吸法を試す前後に見たい観察ポイントと注意点

根拠:なぜ口すぼめ呼吸が勧められるの?

COPDでは、気道の閉塞などによって息を吐きにくくなり、肺の中に空気が残りやすくなります。空気が残ったまま次の息を吸おうとすると、息を吸いにくい、息が足りないと感じることがあります。環境再生保全機構の「効果的な呼吸方法」では、COPDで息を吐きにくくなることや、口すぼめ呼吸の目的が解説されています。

口をすぼめて息を吐くと、呼気に適度な抵抗が加わります。これによって呼気中の気道内の圧が保たれ、気道がつぶれにくくなることが期待されます。口すぼめ呼吸の効果に関する理学療法領域の総説や、科学研究費助成事業の研究課題情報でも、このしくみが説明されています。

つまり、口すぼめ呼吸は「たくさん吸う」ことを目指すというより、ゆっくり吐いて、次の息を吸いやすくすることを助ける方法です。

呼吸困難や呼吸数の変化などが報告されていますが、効果は患者さんや状況によって異なります。「必ず息苦しさがなくなる」「酸素の値が必ず上がる」と伝えるのではなく、呼吸を整え、動作時の息切れを軽くする助けになることがある、と説明しましょう。理学療法領域の総説では、呼吸練習の効果は評価項目によって異なることも整理されています。

口すぼめ呼吸の基本的な方法

まずは呼吸法を試しやすいように、患者さんが楽だと感じる姿勢を整えます。椅子に座って少し前かがみになり、腕を支えられる姿勢などを選んでみましょう。

  1. 肩や首の力を抜きます。
  2. 鼻から無理のない範囲で息を吸います。深く吸おうと頑張らなくて大丈夫です。
  3. 口を軽くすぼめ、細くゆっくり息を吐きます。
  4. 吐く時間は、吸う時間より長めにします。
  5. 呼吸が落ち着いてから、動作を再開します。

環境再生保全機構の「口すぼめ呼吸と腹式呼吸を身につけましょう」では、鼻から吸い、すぼめた口から吐く方法が紹介されています。呼気を吸気より長くする目安は資料によって幅があり、吸気の約2倍以上とする説明や、3〜5倍とする説明があります。慶應義塾大学病院KOMPASの解説や環境再生保全機構の資料も参考になります。

ただし、秒数や呼吸回数を全員に同じように当てはめる必要はありません。患者さんが苦しくなったり疲れたりする場合は、無理に続けず、ペースや方法を見直してくださいね。

患者さんにはどう伝える?

説明は、しくみを長く話すより、まず試しやすい言葉から始めるとよいでしょう。

「吸うことを頑張るより、まずゆっくり吐いてみましょう。鼻から少し吸って、口をすぼめて細く長く吐きます。」

患者さんが動きをつかみにくそうなら、たとえを使ってみます。

「ろうそくの火を消すのではなく、火が消えないくらいの弱さで、ゆっくり吐いてみましょう。」

ここでのコツは、「吐ききる」ことを頑張らせないことです。強く吹くように吐かせるのではなく、患者さんの呼吸を見ながら、楽に続けられるペースを一緒に探します。

動作に呼吸を合わせる

口すぼめ呼吸は、安静時だけでなく、歩行や立ち上がりなどの動作時に使うこともあります。環境再生保全機構の生活動作に関する解説や、慶應義塾大学病院KOMPASのリハビリテーションの説明では、動作と呼吸を合わせる方法が紹介されています。

たとえば、患者さんには次のように伝えられます。

  • 立ち上がるときに息を吐く
  • 歩き始める前に呼吸を整える
  • 力を入れるときに息を止めず、吐くことを意識する
  • 階段や更衣などの動作を急がず、必要に応じて休む

一度にたくさんの動作を教える必要はありません。患者さんが困っている動作をひとつ選び、呼吸を合わせる練習をしてみましょう。

呼吸法を教える前後に見たいこと

口すぼめ呼吸を勧めるときは、方法を説明するだけでなく、患者さんの状態も一緒に見てください。呼吸数や呼吸のリズム、努力呼吸、呼吸困難の訴え、会話のしやすさ、SpO₂、脈拍、意識状態などが観察の手がかりになります。

また、発熱、痰の変化、胸痛など、普段と違う症状がないかも確認しましょう。急に息苦しさが悪化した場合や、会話が難しい、意識状態が変化している、チアノーゼがある、SpO₂が低下している場合は、呼吸法を続けることだけに集中しないでください。急性増悪やほかの原因も考え、施設の手順に沿って評価・報告につなげます。

酸素療法中の患者さんでは、口すぼめ呼吸を行うことと、酸素流量を変更することは別の話です。酸素の流量は自己判断で変えないよう伝え、目標値や対応は患者さん個人の指示・治療計画を確認してください。

実践ポイント

患者さんの状態を見ながら進める

呼吸法を試す前後には、呼吸数や呼吸のリズム、努力呼吸、呼吸困難の訴え、会話のしやすさ、SpO₂、脈拍、意識状態を観察しましょう。発熱、痰の変化、胸痛など、普段と違う症状がないかも確認してみてください。

急な息苦しさの悪化、会話困難、意識状態の変化、チアノーゼ、SpO₂の低下がある場合は、呼吸法だけで対応せず、施設の手順に沿って評価・報告につなげます。

呼吸法を無理なく続けられるようにする

楽な姿勢を整え、肩や首の力を抜いてから、鼻で無理なく吸い、口を軽くすぼめて細くゆっくり吐きます。患者さんが苦しくなったり疲れたりする場合は、無理に続けず、ペースや方法を見直してくださいね。

動作をひとつ選んで呼吸を合わせる

歩行や立ち上がりなど、患者さんが困っている動作をひとつ選び、呼吸を合わせる練習をしてみましょう。立ち上がるときに息を吐く、歩き始める前に呼吸を整える、力を入れるときに息を止めない、といった伝え方ができます。動作は急がず、必要に応じて休んでもらいましょう。

酸素流量は自己判断で変更しない

酸素療法中の患者さんには、酸素の流量を自己判断で変えないよう伝えましょう。目標値や対応は、患者さん個人の指示・治療計画を確認してください。

筆者の体験談

私が看護師をしていた頃、息苦しさを訴える患者さんに、口すぼめ呼吸を説明したことがあります。私は最初、「口をすぼめて、長く吐いてもらえば伝わるだろう」と考えていました。

ところが、患者さんは「吐こうとすると、余計に苦しくなる」と話されました。私は、やり方を分かってもらえていないのか、それともこの方法が合っていないのか、少し迷いました。

そこで、いったん説明を止めて、患者さんの表情や呼吸の様子を見ながら、「強く吐かなくて大丈夫です。楽な範囲で、少し長めに吐いてみましょう」と伝え直しました。患者さんの呼吸に合わせて待つと、先ほどより落ち着いて試してもらえました。

このとき、私は「正しい手順を伝えたか」ばかり気にしていたことに気づきました。今振り返ると、患者さんがどう感じているかを見ながら、言葉やペースを調整することを意識するきっかけになった経験です。

FAQ

口すぼめ呼吸では、息を最後まで吐ききる必要がありますか?

いいえ。息を無理に吐ききろうと頑張らせる必要はありません。苦しくならない範囲で、細くゆっくり吐くことから始めてみましょう。

吐く時間は何秒にすればよいですか?

一律の秒数に固定しなくて大丈夫です。資料には吸う時間の約2倍以上などの目安がありますが、患者さんが苦しくならない範囲で調整してください。慶應義塾大学病院KOMPASと環境再生保全機構の解説でも、呼気を長くする目安が紹介されています。

口すぼめ呼吸をすれば、息苦しさは必ず改善しますか?

必ず改善するとは限りません。呼吸を整えたり、息切れを軽くしたりする助けになることがありますが、効果には個人差があります。急に息苦しくなったときは、呼吸法だけで様子を見ず、状態を確認してください。

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この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

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