採血時の駆血帯はなぜ1分以内?検査値が変動する理由と看護のポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、採血のときに駆血帯を「どのくらいの時間まで締めてよいのか」疑問に思ったことはありませんか?
「血管が見つからないときは、駆血帯を締めたままでよい?」
「1分を超えると、検査値はどのように変わる?」
「穿刺に時間がかかりそうなときは、いったん緩めるべき?」
駆血帯は、静脈を怒張させて採血しやすくするために使います。しかし、長時間締め続けると、血液のうっ滞や濃縮が起こり、検査値に影響する可能性があります。
今回は、採血前の駆血帯を短時間で外す理由と、採血時に看護師・看護学生が確認したいポイントを解説します。
結論:駆血帯は採血までを短くし、1分を超えない
結論からいうと、駆血帯は必要な時間だけ使用し、駆血してから採血までをできるだけ短くすることが基本です。
実務上は、次のように考えます。
- 採血に必要な物品を、駆血前に準備する
- 血管をあらかじめ見当づけておく
- 駆血後は速やかに穿刺する
- 駆血帯を1分以上つけたままにしない
- 可能であれば、装着から30秒以内に検体採取を目指す
- 穿刺や採血に時間がかかり、1分を超えそうな場合は、いったん緩める運用を検討する
日本検査血液学会関連資料などでは、駆血が1分以内であれば、通常の検査項目への影響はほとんどない、または許容範囲内と説明されています。
一方で、1分を超えると血液の性状や検査値が変化するリスクが高まります。
駆血帯は「強く・長く」ではなく、「必要な強さで・短時間」が基本
と覚えておくとよいでしょう。
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 採血時に駆血帯を長く締めてはいけない理由
- 血液のうっ滞と濃縮によって検査値が変わる仕組み
- 1分以内、2分以上、5分以上で考える時間の目安
- 駆血帯を締めるときの注意点
- 採血時に看護師・看護学生が実践したいポイント
想定読了時間:8分
根拠:駆血を続けると血液がうっ滞・濃縮する
駆血帯は静脈を見つけやすくするために使う
駆血帯を腕に巻くと、静脈から心臓へ戻る血液の流れが一時的に抑えられます。
すると、駆血帯より末梢側の静脈に血液がたまり、血管がふくらみます。これが、採血時に静脈を見つけやすくなる理由です。
ざっくり言うと、駆血帯は、
血液を少し静脈側にためて、穿刺しやすくする道具
です。
しかし、血液をためる状態が長く続くと、採血しやすくなるという利点だけでなく、検査値に影響する変化も起こります。
血管内の水分が移動し、血液が濃縮する
駆血を続けると、末梢側の静脈内圧が上昇します。
その結果、水分や電解質などの低分子成分が血管の外へ移動しやすくなります。一方で、タンパク質、脂質、血球成分などは血管内に残りやすいため、血液が濃縮されます。
イメージとしては、血液の中の水分が少し外へ移動し、血管内に残った成分の割合が高くなる状態です。
そのため、駆血時間が長くなると、次のような項目が高値になりやすいとされています。
- 総蛋白
- アルブミン
- カルシウム
- カリウム
もちろん、すべての検査項目が同じように変化するわけではありません。しかし、採血時の駆血時間が、検査結果を左右する前処理条件の一つになることは覚えておきたいポイントです。
長時間の駆血では、検査値が約10%近く上昇する場合もある
日本内科学会雑誌の解説では、5分以上の駆血によって、項目によっては測定値が約10%近く上昇する場合があると報告されています。
これは、実際の患者さんの体内で病気が急に悪化したという意味ではありません。
採血前の血液うっ滞や濃縮によって、検査値が本来より高く測定される可能性があるということです。
このような採血手技による検査値の変化は、医療者が病態変化と誤って判断する原因になることがあります。
だからこそ、検査値を正しく評価するためには、採血時の条件をできるだけ整える必要があります。
駆血帯の時間はどのように考える?
駆血時間について、調査結果に含まれる資料では、次のような目安が示されています。
1分以内:通常の検査項目への影響は許容範囲内
駆血帯を使用してから採血までが1分以内であれば、通常の検査項目への影響は許容範囲内とされています。
ただし、これは「1分間は必ず締めてよい」という意味ではありません。
採血の準備ができているのであれば、駆血してからできるだけ早く穿刺し、検体を採取することが重要です。
装着から30秒以内:実務上の目標
MSDマニュアルでは、駆血帯装着から30秒以内に採血検体を採取し、1分以上つけたままにしないことが勧められています。
そのため、実際の採血では、
1分以内に収めることを基本とし、できれば30秒以内を目指す
と考えると整理しやすくなります。
2分以上:正確なデータが得られにくくなる恐れ
2分以上駆血すると、うっ血状態が長くなり、正確な検査データが得られにくくなる恐れがあると解説されています。
血管が見つからないまま駆血を続けたり、採血に手間取ったりすると、時間が延びやすくなります。
「まだ採血できていないけれど、そのまま続ける」という判断は、検査値の信頼性という点からは注意が必要です。
5分以上:一部の項目で約10%近く上昇する場合がある
5分以上の駆血では、項目によって測定値が約10%近く上昇する場合があると報告されています。
通常の採血で5分間駆血し続けることは避けるべきですが、採血困難例や連続した操作では、時間が長くなってしまう可能性があります。
その場合は、いったん駆血帯を緩めることや、再駆血のタイミングを考える必要があります。
駆血帯を強く締めすぎてもよくない
駆血帯は、強く締めればよいわけではありません。
強く締めすぎて動脈の血流まで抑えてしまうと、静脈が十分に怒張せず、採血がかえって難しくなることがあります。
駆血帯を使用する目的は、動脈を止めることではなく、静脈還流を一時的に抑えて静脈を見つけやすくすることです。
つまり、
- 弱すぎると静脈が十分に浮き出ない
- 強すぎると動脈流入まで抑えてしまう
- 長すぎると血液のうっ滞・濃縮が進む
という点を意識します。
採血では、適切な強さと短い時間の両方が大切です。
看護師・看護学生が実践するときのポイント
1.駆血する前に物品を準備する
駆血してから採血物品を準備すると、その分だけ駆血時間が長くなります。
採血管、注射器や採血ホルダー、針、消毒綿、手袋、止血用の物品などを、施設の手順に沿って準備しておきます。
特に、採血管を取りにその場を離れると、駆血時間が長くなりやすいため注意が必要です。
2.血管の選択を駆血前から考える
駆血してから血管を探し始めるのではなく、駆血前から血管の位置や走行をある程度確認します。
駆血後は、触診などで穿刺部位を確認し、できるだけ速やかに採血へ移ります。
「駆血してから考える」のではなく、
駆血前に観察し、駆血後はすぐに穿刺する
という流れが基本です。
3.1分を超えそうなら、いったん緩める
血管が見つからない、穿刺に時間がかかる、採血管の交換に手間取るなど、1分を超えそうな場合があります。
その場合は、施設の手順を確認したうえで、いったん駆血帯を緩める運用を検討します。
長時間締め続けるよりも、血液のうっ滞をいったん解除し、必要に応じて再駆血するほうが検査値の信頼性を保つうえで重要です。
ただし、再駆血の方法やタイミングは、採血手順や検査項目、施設の運用によって異なる場合があります。実際には、院内マニュアルや指導者の手順に従ってください。
4.連続採血では時間の経過を意識する
複数の採血管を使用する場合、採血操作が続くため、駆血時間が長くなりやすくなります。
採血管を準備しておくことに加えて、次の操作を考えながら、時間が経過しすぎないようにします。
採血が難航している場合は、無理に駆血を続けるのではなく、再駆血の判断を行います。
5.採血結果だけでなく、採血条件にも目を向ける
検査値に変化があったとき、患者さんの病態だけでなく、採血条件を確認することも大切です。
たとえば、
- 駆血時間が長くなっていなかったか
- 駆血帯を強く締めすぎていなかったか
- 採血時に血液がうっ滞していなかったか
- 採血操作に時間がかかっていなかったか
といった点です。
もちろん、検査値の変化をすべて駆血時間のせいにしてはいけません。しかし、採血前の条件が検査値に影響する可能性を知っていれば、結果をより適切に解釈できます。
あるある体験談:血管が見つからず、駆血を続けそうになったとき
実習中、血管が見つかりにくい患者さんの採血で、駆血帯を締めたまま穿刺部位を探し続けそうになったことがありました。
そのときは、指導者から「いったん駆血帯を緩めて、必要な物品と血管の走行をもう一度確認しましょう」と声をかけてもらいました。
駆血していると血管を探しやすくなる一方で、時間が経つほど血液のうっ滞や濃縮につながる可能性があります。焦ってそのまま続けるのではなく、いったん手技を区切ることも大切だと学びました。
採血困難時の具体的な対応は、患者さんの状態や施設の手順によって異なります。無理な穿刺を繰り返さず、必要に応じて指導者や他の医療者へ相談することが重要です。
よくある迷い:血管が出にくいときはどうする?
血管が見つかりにくい患者さんでは、駆血帯を締めてから時間が経過しやすくなります。
このときに大切なのは、「駆血を続ければ、いつか血管が見つかる」と考えないことです。
駆血時間が長くなるほど、血液のうっ滞や濃縮によって検査値へ影響する可能性があります。
まずは駆血前に血管を観察し、必要な物品を準備します。それでも穿刺部位の判断に時間がかかる場合は、駆血帯を緩めることを検討します。
採血困難時の具体的な対応は、患者さんの状態や施設の手順によって異なります。無理な穿刺を繰り返さず、必要に応じて指導者や他の医療者へ相談することも重要です。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 駆血帯は、静脈を怒張させて採血しやすくするために使う
- 長時間の駆血では、静脈うっ滞と血液濃縮が起こる
- 総蛋白、アルブミン、カルシウム、カリウムなどが高値になりやすい
- 1分以内であれば、通常の検査項目への影響は許容範囲内とされる
- 実務上は、装着から30秒以内の検体採取を目指す
- 1分を超えそうなときは、いったん緩める運用を検討する
- 5分以上では、項目によって約10%近く上昇する場合がある
- 駆血帯は強く締めすぎず、必要な強さで短時間使用する
採血では、針を刺す技術だけでなく、採血前の条件を整えることも重要です。
「駆血してから採血までを短くする」
「1分を超えない」
「長くなりそうなら、いったん緩める」
この3点を意識して、検査値の信頼性を保てる採血につなげていきましょう。
FAQ
Q1.駆血帯は1分間なら締めたままでよいですか?
1分以内であれば、通常の検査項目への影響は許容範囲内とされています。
ただし、1分間締め続けることを目標にするのではなく、駆血後はできるだけ速やかに採血します。実務上は、装着から30秒以内の検体採取を目指し、1分以上つけたままにしないことが勧められています。
Q2.駆血時間が長くなった場合、採血し直す必要がありますか?
駆血時間が長くなったからといって、必ず採血し直すとは限りません。
ただし、駆血が長時間に及んだ場合は検査値に影響する可能性があります。検査項目や施設の手順を確認し、必要に応じて指導者や検査部門へ相談します。
Q3.駆血帯を強く締めれば血管が見つかりやすくなりますか?
強く締めればよいわけではありません。
動脈流入まで抑えると、静脈が十分に怒張せず、採血が難しくなることがあります。静脈還流を一時的に抑えられる、適切な強さで使用します。
Q4.駆血時間によって、すべての検査値が高くなりますか?
すべての検査値が同じように変化するわけではありません。
駆血による血液のうっ滞・濃縮によって、総蛋白、アルブミン、カルシウム、カリウムなどが高値になりやすいとされています。影響の程度は検査項目や駆血時間などによって異なります。
参考資料
ChatGPTを使って実習記録をAIにお手伝いしてもらうにはどうしたら良いか見ていきましょう。
まずはこちらの動画をご覧ください。Tiktokでいくつか投稿している動画の一つを紹介しますね。
@aichannsst 実習目標を 今流行りのchatGPTを 搭載したLINEアプリを使って 考えてもらったら…?? #看護学生 #看護学生の日常 #限界大学生 ♬ オリジナル楽曲 - あいちゃん
@aichannsst ChatGPTを使ったLINEアプリ 「AI看護学生 あいちゃん」 ユーザーさんの感想をご紹介します。 みんなもよければ使ってみてね! #看護学生 #限界看護学生 #看護学生あるある #看護学生の日常 ♬ オリジナル楽曲 - あいちゃん



