急変時のABCDEアセスメント|看護師・看護学生が確認する順番と実践ポイント
こんにちは、ユウです。
みなさんは、患者さんが突然苦しそうになったとき、「何から確認すればいいのだろう」と迷ったことはありませんか?
呼吸状態を見るのか、血圧を測るのか、意識を確認するのか。急変時はやるべきことが一気に増えるため、頭の中が真っ白になってしまうこともありますよね。
今回は、急変時の基本であるABCDEアセスメントについて、確認する順番と、看護師・看護学生が実践するときのポイントを解説します。
結論:急変時はA→B→C→D→Eの順番で確認する
急変時のABCDEアセスメントは、次の順番で行います。
- A:Airway(気道)
- B:Breathing(呼吸)
- C:Circulation(循環)
- D:Disability(意識・神経)
- E:Exposure/Environment(全身観察・露出)
ただし、すべてを確認してから次へ進むわけではありません。
途中で生命にかかわる異常を見つけたら、その場で介入し、応援を要請してから次の評価へ進むことが基本です。
ざっくり言うと、
急変時は「気道が通っているか」を最初に確認し、次に呼吸、循環、意識、全身を見ていく。異常があれば、その場で対応してから先へ進む
ということです。
想定読了時間
約12分
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- 急変時にABCDEの順番で確認する理由
- A〜Eで具体的に何を見るのか
- 異常を見つけたときの考え方
- 看護師・看護学生が起こしやすいミス
- ABCDEアセスメント後に必要な再評価
根拠:生命維持に直結する異常を、優先順位の高い順に見つけるため
ABCDEの順番は、単なる暗記ではありません。
生命維持に直結する異常を、早く発見して対応するための順番です。
日本臨床衛生検査技師会の学会資料「救急外来(Emergency Room; ER)における初期対応」では、救急初期対応において「生命にかかわることを最優先する」考え方が示されています。
また、日本救急医学関連の教育資料「物理診断ミニガイド」でも、気道、呼吸、循環の順番で評価することが明記されています。
気道がふさがっていると、空気が肺へ届きません。
呼吸ができなければ、血液中に酸素を取り込めません。
酸素を取り込めても、循環が悪ければ全身の臓器へ酸素を届けられません。
つまり、A、B、Cはそれぞれ独立しているのではなく、上流から下流へつながっています。
気道がふさがる
→ 呼吸ができない
→ 酸素が不足する
→ 循環や意識にも影響する
この流れを考えると、気道から確認する理由がイメージしやすくなります。
ABCDEアセスメントの具体的な見方
A:気道(Airway)を確認する
最初に見るのは、気道が保たれているかどうかです。
確認するポイントは、次のようなものです。
- 声が出せるか
- ふだんどおりに話せるか
- 呼吸のときに異常な音がないか
- 喘鳴や気道閉塞を疑う音がないか
- 舌根沈下や嘔吐物などがないか
- 著明な陥没呼吸がないか
患者さんが会話できている場合、少なくともその時点では空気の通り道がある程度保たれている可能性があります。
ただし、「話せるから問題ない」と決めつけてはいけません。
声が弱い、かすれている、会話が途切れる、呼吸音に異常があるといった場合は、気道や呼吸の異常が隠れている可能性があります。
気道閉塞は、呼吸停止や心停止へ短時間で進行することがあります。そのため、Aに異常があれば、BやCを詳しく評価する前に、応援要請や気道確保などの対応につなげます。
B:呼吸(Breathing)を確認する
Aの次は、呼吸です。
ここでは、単に「呼吸をしているか」だけではなく、十分に換気・酸素化できているかを見ます。
主な確認項目は次のとおりです。
- 呼吸数
- 呼吸の深さやリズム
- 努力呼吸の有無
- SpO₂
- 胸郭の左右差
- 呼吸音
- チアノーゼの有無
- 会話が続けられるか
ABCDEアプローチの説明資料や、救急初期評価に関する解説では、呼吸数、努力呼吸、SpO₂、胸郭の動き、呼吸音などを確認する項目として整理しています。
ここで大切なのは、SpO₂だけに頼らないことです。
SpO₂が表示されていても、患者さんが苦しそうに呼吸している、呼吸数が変化している、会話ができないといった所見があれば、呼吸状態に異常がある可能性があります。
逆に、数値だけで「大丈夫」と判断するのも危険です。
ざっくり言うと、Bでは、
モニターの数字と、患者さんの見た目・呼吸の努力・会話の様子を合わせて見る
ことが重要です。
C:循環(Circulation)を確認する
呼吸の次は、循環を確認します。
循環では、血液が全身へ十分に届いているかを考えます。
確認するポイントには、次のようなものがあります。
- 血圧
- 脈拍数
- 脈拍の強さやリズム
- 皮膚の色
- 冷汗の有無
- 末梢冷感
- 毛細血管再充満
- 出血の有無
- 意識状態の変化
ABCDEの評価項目に関する資料では、血圧、脈拍、皮膚所見、毛細血管再充満などをCの確認項目として挙げています。
循環不全では、血圧が低下する前に、頻脈、冷汗、皮膚の冷たさ、末梢循環の悪化などが現れることがあります。
そのため、血圧の低下を待つのではなく、患者さんの皮膚や脈拍の変化も確認します。
「血圧が保たれているからショックではない」と、早い段階で判断しないことが大切です。
D:意識・神経(Disability)を確認する
Dでは、意識状態や神経症状を確認します。
主な確認項目は次のとおりです。
- 意識レベル
- 声かけへの反応
- GCSやAVPUによる評価
- 瞳孔
- 左右差
- けいれんの有無
- 麻痺や脱力
- 血糖値
ナース専科の急変時評価に関する解説では、迅速評価の後に、ABCDEを用いた1次評価へ進む流れが整理されています。
また、意識障害を認めた場合には、血糖測定を行い、低血糖などの確認可能な原因を考えることが示されています。
意識障害を見たとき、「呼吸が苦しくてぼんやりしているのか」「循環が悪くて意識が低下しているのか」「脳神経系の異常なのか」を考える必要があります。
ただし、Dの評価に進んだあとも、A、B、Cの異常がないかを忘れてはいけません。
意識が悪い患者さんでは、気道が保ちにくくなったり、呼吸状態が悪化したりすることもあります。
E:全身観察・露出(Exposure/Environment)を確認する
Eでは、全身を観察します。
衣服や寝具で隠れている部分も含めて、急変の原因や見落としていた異常がないかを確認します。
観察項目には、次のようなものがあります。
- 体温
- 発疹
- 出血
- 外傷
- 腫脹
- 皮膚色の変化
- 体表面の異常
- 低体温や高体温
- ルートやドレーン周囲の状態
Eは「最後だから重要度が低い」という意味ではありません。
A、B、C、Dで生命に直結する異常を確認したあと、全身を見て原因や見落としを探す段階です。
ABCDEアプローチの資料では、全身観察、体温、皮膚所見、外傷、出血、発疹などをEで確認する項目として示しています。
露出して観察するときは、患者さんの羞恥心や体温低下にも配慮します。
異常を見つけたら、その場で介入してから次へ進む
ABCDEでよくある誤解は、「AからEまですべて確認してから対応する」という考え方です。
実際には、異常を見つけた時点で対応します。
たとえば、Aで気道閉塞を疑う所見があれば、BやCの評価を続ける前に、応援を呼び、気道確保などの対応につなげます。
Bで呼吸状態に異常があれば、酸素投与など、施設の手順や指示に沿った対応を行います。
Cで循環不全を疑う所見があれば、応援要請や循環補助につなげます。
この考え方は、ABCDEの初期対応に関する資料でも説明されています。
評価してから対応するのではなく、評価と介入を同時に進める
これが急変時の大切な考え方です。
もちろん、看護師一人で抱え込む必要はありません。
急変を疑ったら、周囲へ応援を要請し、医師や救急対応チームへ報告しながら進めます。心停止が疑われる状況では、BLS・ALSの流れに移行します。
ABCDEは一度確認して終わりではない
ABCDEは、AからEまで一周すれば終わりというものではありません。
介入したあとに、もう一度Aから再評価します。
たとえば、呼吸状態に対して対応を行った場合、その後に気道が保たれているか、呼吸状態がどう変化したか、循環や意識に影響がないかを再び確認します。
ABCDEの再評価について解説した資料でも、介入後は再度ABCDEを確認することが重要とされています。
急変時は、患者さんの状態が短時間で変わります。
そのため、
- Aを確認する
- 異常があれば介入する
- B、C、D、Eへ進む
- 介入後に再評価する
という流れを意識します。
看護師・看護学生が実践するときのポイント
まず患者さんを見て、声をかける
急変時は、いきなり血圧計やパルスオキシメーターを探し始めたくなります。
しかし、最初に患者さんへ声をかけ、反応や発声を確認することが、AやDの評価につながります。
「大丈夫ですか?」
「息苦しさはありますか?」
「名前を言えますか?」
このように声をかけながら、意識、発声、呼吸の様子を同時に見ます。
呼吸数だけで安心しない
呼吸数は重要な観察項目ですが、数だけでは患者さんの状態を判断できません。
呼吸の深さ、努力呼吸、胸郭の動き、呼吸音、SpO₂、会話の様子を合わせて確認します。
「呼吸数は大きく変わっていないが、明らかに苦しそう」という場合もあります。
数字と患者さんの外見が一致しているかを考えることが大切です。
血圧低下を待たずに循環を考える
Cでは血圧を確認しますが、血圧低下が出るまで待つわけではありません。
頻脈、冷汗、末梢冷感、皮膚色の変化、毛細血管再充満の変化などを組み合わせて、循環状態を見ます。
「血圧は今のところ保たれている」と「循環に問題がない」は同じではありません。
意識障害では血糖を確認する
Dで意識障害を認めた場合は、血糖を確認します。
意識が悪い患者さんを見たとき、すぐに脳の病気と考えてしまうことがあります。
しかし、低血糖のように確認と対応につながる原因もあります。
意識レベルだけでなく、血糖、瞳孔、けいれん、麻痺などを確認し、変化を記録・報告します。
Eで見落としを減らす
Eでは、患者さんの身体全体を観察します。
発疹、出血、外傷、皮膚色の変化などは、衣服や寝具に隠れていると見つけにくいことがあります。
ただし、必要な範囲で露出し、観察後はすぐに覆うなど、プライバシーと保温に配慮します。
異常所見は具体的に報告する
「なんとなくおかしい」だけで終わらせず、観察した内容を具体的に伝えます。
たとえば、
- 声かけへの反応が弱い
- 会話が途中で途切れる
- 呼吸が苦しそう
- 胸郭の動きに左右差がある
- 冷汗と末梢冷感がある
- いつもより意識レベルが低い
というように、見たこと・聞いたことを整理します。
ABCDEに沿って報告すると、情報の抜けを減らしやすくなります。
筆者の体験談:患者さんの「息苦しい」を聞いて、最初に迷ったこと
私が看護師をしていた頃、夜勤中に患者さんから「少し息苦しい」と言われたことがありました。
その患者さんは、少し不安そうではありましたが、ベッド上で会話はできていました。私は最初、「不安が強くなっているのかな」と考えました。
そこで、まず枕元へ行き、声をかけました。
「今、息苦しさはどのくらいありますか?」
患者さんは返事をしてくれましたが、会話の途中で何度か息継ぎをしていました。
そのとき、私は少し迷いました。
会話ができているので、すぐに重症とは限らない。一方で、いつもより呼吸が浅く、表情も硬いように見える。
私は、先に血圧を測ろうか、SpO₂を確認しようかと考えました。しかし、そこで「まず呼吸そのものを見よう」と思い直しました。
胸郭の動きや呼吸の速さを見ながら、SpO₂を確認し、呼吸音も聴取しました。数値だけで判断せず、患者さんの表情や会話の続き方も合わせて観察しました。
その後、先輩看護師へ状況を伝え、指示を受けながら対応しました。
当時の私は、モニターの数値を確認できれば安心できると思っていた部分がありました。でも、その経験から、患者さんの「苦しい」という言葉と、実際の呼吸の様子を一緒に見るようになりました。
今振り返ると、ABCDEを知識として覚えるだけではなく、「今、生命に直結する問題はどこにあるのか」と考えるための順番なのだと感じています。
まとめ:急変時はAから順番に、異常があればすぐ介入する
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 急変時の基本的な順番は、A→B→C→D→E
- Aは気道、Bは呼吸、Cは循環、Dは意識・神経、Eは全身観察
- 最優先は、生命維持に直結する気道の確認
- 異常を見つけたら、すべての評価を終える前に介入する
- 呼吸は呼吸数やSpO₂だけでなく、努力呼吸や会話の様子も見る
- 循環は血圧低下を待たず、頻脈や冷汗、末梢冷感なども確認する
- 意識障害では血糖を確認する
- ABCDEは一周して終わりではなく、介入後に再評価する
ABCDEは、急変時に何から見ればよいか分からなくなったときの「道しるべ」です。
まずA、次にB、C、D、E。
この順番を意識しながら、異常があればその場で対応し、必要な応援につなげていきましょう。
FAQ
Q1.ABCDEは必ず最後まで順番どおりに確認しますか?
いいえ。
Aから順番に確認しますが、途中で生命にかかわる異常を見つけた場合は、その場で介入します。
すべてを確認してから対応するのではなく、評価と介入を並行して進めます。
Q2.患者さんが話せていれば、気道は問題ないと考えてよいですか?
会話ができることは、気道がある程度保たれていることを判断する手がかりになります。
ただし、声のかすれ、発声困難、異常な呼吸音、会話の途切れなどがあれば、気道や呼吸の異常を疑って観察します。
「話せるから安全」と決めつけないことが大切です。
Q3.ABCDEの前に血圧を測ってもよいですか?
血圧測定が必要になることはありますが、急変時はまず患者さんの反応や気道、呼吸の状態を確認します。
生命に直結する異常を見落とさないように、A→B→C→D→Eの優先順位で考えます。
Q4.Eの全身観察では、どこまで服を脱がせますか?
必要な範囲で全身を観察しますが、患者さんのプライバシーと保温に配慮します。
観察が終わった部位はすぐに覆い、露出を最小限にします。具体的な方法は、施設の手順や急変対応の方針に従います。
参考文献
- 日本臨床衛生検査技師会「救急外来(Emergency Room; ER)における初期対応」
- 日本救急医学関連教育資料「物理診断ミニガイド」
- ABCDE急変対応資料「急変対応(ABCDEアプローチ)」
- ナース専科「急変時の迅速評価と1次評価」
- ABCDE評価項目に関する解説
- ABCDEアプローチと再評価に関する解説
- 急変時のABCと介入・再評価に関する解説
この記事の学習を深めるおすすめ書籍
今回の記事について、さらに理解を深めたい方におすすめの書籍を紹介します。
写真でわかる急変時の看護アドバンス 新訂版
著者:松月みどり
出版社:インターメディカ
急変時の観察と対応を写真で具体的に学べ、ABCDEアセスメントの実践力を高めるのに最も適しています。
教科書には書いていない! 呼吸と呼吸器のひ・み・つ
著者:大口祐矢
出版社:秀和システム
呼吸と呼吸器の基礎やSpO2・酸素療法のポイントをわかりやすく解説しており、B(Breathing)理解の深化に有用です。
※本ページにはPRが含まれています。
実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!
実習記録って、書き始めるまでが大変ですよね…😢
そんなときは、「AI看護学生 あいちゃん」を使ってみてください!
実習目標や看護計画など、あなたの「どうしよう…」を一緒に考えてくれます。
\ 看護学生なら無料!使ってみてね! /
LINEで友だち追加するだけ!
実習中の「ちょっと困った…」を、あいちゃんに相談してみよう😊



