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看護師・看護学生が知るショック指数SIの計算と急変時の確認ポイント

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ショック指数(SI)とは?計算方法と看護師・看護学生が急変時に見るポイント

こんにちは、ユウです。

みなさんは、患者さんの血圧がそれほど低くないのに、心拍数が上がっていて「この状態は大丈夫なのかな」と迷ったことはありませんか?

急変時には、血圧だけを見ていると、循環不全の始まりを見逃してしまうことがあります。
では、血圧が保たれている段階で、どのようにショックの可能性を考えればよいのでしょうか。

今回は、ショック指数(Shock Index:SI)の計算方法や見方、看護師・看護学生が急変時に確認したいポイントについて解説します。

  1. 結論:SIは「血圧が保たれている早期ショック」を見つけるために使う
  2. この記事でわかること
  3. 根拠:ショックの初期には、血圧より先に心拍数が変化することがある
  4. 詳しい解説:ショック指数の計算方法
    1. 例1:心拍数80回/分、収縮期血圧120mmHg
    2. 例2:心拍数100回/分、収縮期血圧100mmHg
    3. 例3:心拍数150回/分、収縮期血圧100mmHg
  5. SIの数値はどう判断する?
    1. SI 0.5〜0.7程度
    2. SIが0.7を超える場合
    3. SI 0.9以上
    4. SI 1.0以上
    5. SI 1.5以上
  6. SIは血圧が正常でも確認する
  7. 急変時にSIを確認する場面
    1. 出血が疑われるとき
    2. 脱水が疑われるとき
    3. 敗血症などの重症感染症が疑われるとき
    4. 原因がはっきりしない頻脈があるとき
  8. 実践ポイント:看護師・看護学生が確認したい観察ポイント
    1. 1.意識状態
    2. 2.皮膚と末梢循環
    3. 3.呼吸状態
    4. 4.尿量
    5. 5.出血の有無
    6. 6.薬剤や基礎疾患
  9. SI 1.0以上なら、何をすればよい?
  10. SI 1.5以上では、より緊急度が高い
  11. SIが正常でもショックを否定できない
  12. 筆者の体験談:血圧だけを見て安心しかけた場面
  13. まとめ
  14. FAQ
    1. Q1.ショック指数は、どのタイミングで計算しますか?
    2. Q2.SIが1.0未満なら安心してよいですか?
    3. Q3.SI 1.0なら、必ず出血していますか?
    4. Q4.SIを計算するとき、拡張期血圧は使いますか?
    5. Q5.SI 1.5以上なら、看護師の判断で輸液や輸血を始めますか?
  15. この記事の学習を深めるおすすめ書籍
  16. 実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!
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結論:SIは「血圧が保たれている早期ショック」を見つけるために使う

ショック指数(SI)は、次の式で計算します。

SI = 心拍数(回/分)÷収縮期血圧(mmHg)

たとえば、心拍数が120回/分、収縮期血圧が90mmHgの場合は、

120 ÷ 90 = 1.33

となります。

実務上は、次のような目安で考えます。

  • 0.5〜0.7程度:健常人で説明されることが多い範囲
  • 0.7超:循環不全を示唆する資料がある
  • 0.9以上:注意が必要な水準として扱われることがある
  • 1.0以上:ショックを強く疑い、緊急評価を行う目安
  • 1.5以上:危機的状態や重症出血を強く疑う目安
  • 2.0以上:極めて重い循環血液量減少の目安として示されることがある

ただし、これらはあくまで目安です。
SIだけでショックの有無を確定することはできません。

SIが高いときは、意識状態、皮膚の冷感、尿量、末梢循環、出血の有無、呼吸状態などを合わせて評価し、必要時はすぐに医師へ報告します。

この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • ショック指数(SI)の意味と計算方法
  • 血圧だけではショックを見逃すことがある理由
  • SI 1.0以上、1.5以上をどう考えるか
  • 急変時に看護師・看護学生が観察したいポイント
  • SIを使うときの注意点
  • SIを単独の診断値として扱ってはいけない理由

根拠:ショックの初期には、血圧より先に心拍数が変化することがある

ショックとは、全身の組織に必要な血液や酸素が十分に届かなくなっている状態です。

出血や脱水などによって循環血液量が減ると、身体は血圧を保とうとします。
そのときに働くのが、交感神経を中心とした反応です。

心拍数を増やして心拍出量を保とうとするため、ショックの初期には、

  • 心拍数が増える
  • 収縮期血圧はまだ保たれている

という状態になることがあります。

つまり、血圧だけを確認すると、

「血圧は正常だから大丈夫」

と判断してしまう可能性があります。

そこで、心拍数と収縮期血圧のバランスを見るのがSIです。
ざっくり言うと、血圧が大きく低下する前に、頻脈を含めた循環の変化を拾いやすくする指標です。

ショック指数の計算方法や危機的出血時の目安については、医療機関向けの危機的出血への対応資料で解説されています。

また、日本麻酔科学会関連の出血性ショック解説でも、SI 1.0以上や1.5以上が出血性ショックを考える目安として紹介されています。

詳しい解説:ショック指数の計算方法

計算に使うのは、次の2つです。

  • 心拍数
  • 収縮期血圧

拡張期血圧ではなく、収縮期血圧を使います。

例1:心拍数80回/分、収縮期血圧120mmHg

80 ÷ 120 = 0.67

SIは0.67です。

健常人のSIは、一般的に0.5〜0.7程度と説明されることがあります。

例2:心拍数100回/分、収縮期血圧100mmHg

100 ÷ 100 = 1.0

SIは1.0です。

血圧が100mmHgあるため、一見すると極端な低血圧には見えないかもしれません。
しかし、心拍数との組み合わせでは、ショックを強く疑う目安になります。

例3:心拍数150回/分、収縮期血圧100mmHg

150 ÷ 100 = 1.5

SIは1.5です。

この場合は、危機的な循環不全や重症出血の可能性を考え、迅速な報告と対応が必要になる水準です。

SIの数値はどう判断する?

SI 0.5〜0.7程度

健常人のSIとして説明されることが多い範囲です。

ただし、患者さんの普段の値や基礎疾患によって見方は変わります。
この範囲だから必ず安全という意味ではありません。

SIが0.7を超える場合

資料によっては、0.7を超えると循環不全を示唆すると説明されています。

急変時には、心拍数が上がった理由を確認します。

  • 疼痛
  • 発熱
  • 不安や緊張
  • 脱水
  • 出血
  • 感染症
  • 不整脈

など、さまざまな原因が考えられます。

SI 0.9以上

SI 0.9以上を注意が必要な値として扱い、原因検索や医師への報告を促す運用が紹介されています。

特に、普段の心拍数と比べて明らかに増加している場合や、患者さんの状態が悪化している場合は、数値だけで様子を見ないことが大切です。

SI 1.0以上

SI 1.0以上は、ショックを強く疑う目安です。

また、出血量との関係で、SI 1.0以上を約750mL以上の出血、SI 1.5以上を約1,500mL以上の出血の目安として紹介する資料もあります。

ただし、これはあくまで目安です。
患者さんの年齢、基礎疾患、妊娠の有無、服薬状況、循環予備能などによって変わるため、SIから出血量を正確に推定できるわけではありません。

SI 1.5以上

SI 1.5以上では、危機的状態や重症出血の可能性を強く考えます。

医師への報告だけでなく、施設の急変対応に沿って、輸液・輸血などの治療準備や応援要請が必要になることがあります。

実際の対応は、患者さんの状態と施設の手順に従って行います。

SIは血圧が正常でも確認する

ここが、SIを学ぶうえで特に重要なポイントです。

たとえば、次のような患者さんがいたとします。

  • 心拍数:110回/分
  • 収縮期血圧:110mmHg

この場合、

110 ÷ 110 = 1.0

です。

血圧だけを見ると「110mmHgある」と考えるかもしれません。
しかし、心拍数とのバランスを見ると、SIは1.0です。

もちろん、これだけでショックと確定するわけではありません。
ですが、少なくとも、

「血圧が保たれているから問題ない」

と終わらせず、循環不全の可能性を含めて再評価する必要があります。

急変時にSIを確認する場面

SIは、特に次のような場面で役立ちます。

出血が疑われるとき

  • 吐血や下血がある
  • ドレーンや創部からの出血が増えている
  • 手術後にバイタルが変化した
  • 外傷後に顔色が悪い
  • 性器出血がある
  • 消化管出血が疑われる

出血が目に見える場合だけでなく、腹腔内出血など、外から分かりにくい出血もあります。

脱水が疑われるとき

  • 嘔吐や下痢が続いている
  • 経口摂取が少ない
  • 発熱が続いている
  • 尿量が減っている
  • 皮膚や口腔内の乾燥がある

脱水では循環血液量が減少し、心拍数が増えることがあります。

敗血症などの重症感染症が疑われるとき

感染症では、発熱や炎症反応だけでなく、循環状態が悪化することがあります。

  • 意識状態の変化
  • 呼吸状態の悪化
  • 頻脈
  • 血圧低下
  • 尿量減少
  • 皮膚色の変化

などがないかを確認します。

原因がはっきりしない頻脈があるとき

患者さんが「少し動いただけ」と話していても、心拍数が高い状態が続く場合があります。

心拍数が高い理由を考えながら、SIを計算します。
SIが高ければ、出血や脱水など、見逃している原因がないかを探します。

実践ポイント:看護師・看護学生が確認したい観察ポイント

SIを計算したら、次の観察につなげます。

1.意識状態

  • いつもと比べて反応が鈍くないか
  • 会話がかみ合っているか
  • 不安や落ち着きのなさがないか
  • 急にぼんやりしていないか

循環不全が進行すると、脳への血流にも影響する可能性があります。

2.皮膚と末梢循環

  • 顔色が悪くないか
  • 冷汗がないか
  • 皮膚が冷たくないか
  • 手足が冷えていないか
  • 爪を押したあとの色の戻りに変化がないか

SIと合わせて、患者さんの見た目の変化も確認します。

3.呼吸状態

  • 呼吸数
  • 呼吸の深さ
  • 息苦しさの有無
  • SpO₂の変化
  • 呼吸音の変化

循環不全の原因は、出血だけとは限りません。
呼吸状態の変化がある場合は、循環と呼吸を分けずに評価します。

4.尿量

尿量は、腎臓への血流を考える手がかりになります。

  • 直近の尿量
  • それまでとの変化
  • 尿の色
  • 尿道カテーテルの屈曲や閉塞の有無

ただし、尿量だけで循環状態を判断することはできません。ほかの所見と合わせて確認します。

5.出血の有無

  • 創部
  • ドレーン
  • ガーゼ
  • 便や吐物
  • 尿
  • 膣分泌物や出血

などを確認します。

出血量を推定するときは、見た目だけでなく、記録された排液量やガーゼの交換状況なども確認します。

6.薬剤や基礎疾患

SIは心拍数を使うため、心拍数が上がりにくい患者さんでは注意が必要です。

調査結果では、次のような患者さんではSIの解釈に注意が必要とされています。

  • 高齢者
  • β遮断薬を使用している人
  • ペースメーカーを装着している人
  • 妊婦

このような場合は、SIが高くないからといってショックを否定できません。

SI 1.0以上なら、何をすればよい?

SIが1.0以上の場合は、まず患者さんを再評価します。

確認する内容は次のとおりです。

  1. バイタルサインを再確認する
  2. 心拍数が一時的な変化か、持続しているかを見る
  3. 意識、皮膚、呼吸、尿量を確認する
  4. 出血、脱水、感染などの原因を探す
  5. 変化した時間や経過を整理する
  6. 医師やリーダーへ報告する
  7. 施設の急変対応手順に沿って準備する

報告では、SIの値だけでなく、次のように伝えると状況が共有されやすくなります。

「心拍数120回、収縮期血圧90mmHgで、SIは1.33です。先ほどより心拍数が増えており、顔色不良と冷汗があります。ドレーン排液も増えています。」

このように、数値・変化・観察所見・疑っている原因を組み合わせて伝えます。

SI 1.5以上では、より緊急度が高い

SIが1.5以上の場合は、重症出血や危機的な循環不全を強く疑う目安になります。

この段階では、患者さんの状態を見ながら、次のような対応を急ぎます。

  • 医師へ速やかに報告する
  • 応援を要請する
  • 急変対応の準備をする
  • 輸液・輸血などの治療準備を確認する
  • 出血源や排液量を確認する
  • 意識や呼吸状態の変化を継続して観察する

ここで大切なのは、SIの計算に時間をかけすぎないことです。

患者さんの意識が悪い、呼吸が苦しい、大量出血があるなど、明らかな危険サインがある場合は、SIの計算結果を待ってから動くものではありません。

SIは、急変対応を遅らせるための指標ではなく、異常に早く気づき、報告や再評価につなげるための補助的な指標です。

SIが正常でもショックを否定できない

SIには限界があります。

調査結果では、SIは感度が十分ではなく、正常なSIであってもショックを否定できないとされています。

たとえば、

  • 心拍数が上がりにくい
  • β遮断薬を使用している
  • 高齢で反応が目立ちにくい
  • ペースメーカーで心拍数が調整されている
  • 妊娠によって循環動態が通常と異なる

といった場合です。

また、心拍数の上昇には、出血以外にもさまざまな原因があります。

  • 疼痛
  • 発熱
  • 不安
  • 不整脈
  • 呼吸状態の悪化
  • 薬剤の影響

したがって、

SIが高い=ショックと確定
SIが正常=ショックではない

という単純な使い方はできません。

ざっくり言うと、SIは「診断を決める数字」ではなく、患者さんを詳しく評価するきっかけになる数字です。

筆者の体験談:血圧だけを見て安心しかけた場面

私が看護師をしていた頃、手術後の患者さんのバイタルサインを確認していたときのことです。

その患者さんは、血圧が大きく下がっているわけではありませんでした。
ただ、心拍数が普段より明らかに増えていて、顔色も少し悪く見えました。

最初の私は、「術後で緊張しているのかもしれない」と考えました。
血圧も保たれていたため、もう少し様子を見てもよいのではないかと迷ったのです。

そのとき、先輩看護師から、

「血圧だけではなく、心拍数とのバランスも見てみよう」

と言われました。

そこでSIを計算すると、1.0を超えていました。
私は急に不安になり、創部やドレーン、皮膚の冷感、尿量などをもう一度確認しました。

すると、ドレーン排液が前の時間帯より増えていることに気づきました。
先輩と一緒に経過を整理して医師へ報告し、その後の対応につなげることができました。

もちろん、その患者さんの状態をSIだけで判断したわけではありません。
ただ、血圧だけを見ていたら、「今は大丈夫」と考えていた可能性があります。

その経験があってから、私は急変時に血圧だけで安心しそうになったとき、心拍数との組み合わせを見るようになりました。
数字を一つずつ眺めるのではなく、患者さんの状態をセットで考えるきっかけになった出来事です。

この体験談は医学的根拠を示すものではなく、SIを実際の看護場面と結び付けて考えるためのものです。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • SIは「心拍数÷収縮期血圧」で計算する
  • 血圧が保たれていても、心拍数が増えていると循環不全の可能性がある
  • SI 1.0以上はショックを強く疑い、緊急評価を行う目安
  • SI 1.5以上は危機的状態や重症出血を強く疑う目安
  • SIから出血量を正確に判断することはできない
  • SIが正常でも、ショックを否定できない
  • 意識、皮膚、呼吸、尿量、出血の有無などと合わせて判断する
  • SIは診断値ではなく、急変対応につなげるための補助指標

結局、覚えておきたいのは、

血圧だけで安心せず、心拍数とのバランスをSIで確認する。ただし、SIだけで判断せず、患者さん全体の状態と合わせて評価する

ということです。

FAQ

Q1.ショック指数は、どのタイミングで計算しますか?

急変時や、原因のはっきりしない頻脈があるとき、出血・脱水・感染などによる循環不全が疑われるときに計算します。

特に、血圧は保たれているものの、心拍数が増えている患者さんでは、血圧だけで判断せずSIを確認します。

Q2.SIが1.0未満なら安心してよいですか?

いいえ。SIが1.0未満でも、ショックを否定することはできません。

高齢者、β遮断薬使用中、ペースメーカー装着中などでは、心拍数が十分に上がらないことがあります。意識状態や皮膚、呼吸、尿量なども合わせて観察します。

Q3.SI 1.0なら、必ず出血していますか?

必ずしも出血しているとは限りません。

SIの上昇は、脱水、敗血症、疼痛、不整脈、呼吸状態の悪化などでも起こる可能性があります。出血の有無を含めて原因を探します。

Q4.SIを計算するとき、拡張期血圧は使いますか?

通常、SIは次の式で計算します。

SI=心拍数÷収縮期血圧

そのため、拡張期血圧ではなく収縮期血圧を使います。

Q5.SI 1.5以上なら、看護師の判断で輸液や輸血を始めますか?

輸液や輸血の実施は、医師の指示や施設の手順に従います。

SI 1.5以上は危機的状態を疑う目安として、速やかな報告や急変対応の準備につなげます。

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