N95マスクの正しい装着方法|看護師・看護学生が毎回確認したいフィットチェック
こんにちは、ユウです。
みなさんは、N95マスクを着けたあとに「これで本当に大丈夫かな?」と不安になったことはありませんか?
マスクを顔に着けているから安心だと思っていても、鼻のまわりや頬、あごに隙間があると、空気がマスクの外側から入り込む可能性があります。では、N95マスクはどのように確認すればよいのでしょうか。
今回は、N95マスクの正しい装着方法と、装着後に行うフィット確認、看護師・看護学生が注意したいポイントについて解説します。
結論:N95マスクは「着けたあとに密着を確認する」までがセット
N95マスクは、顔に密着して初めて本来の防護性能を発揮します。
そのため、装着するときは次の流れで確認します。
- 製品の取扱説明書に従って装着する
- 鼻梁、頬、あごの位置を整える
- 両手でマスクを覆い、陽圧・陰圧のユーザーシールチェックを行う
- 空気漏れがあれば、位置や鼻梁部分を調整して再確認する
この確認は、朝に一度行えばよいというものではありません。N95マスクを着けるたび、着け直すたびに行うことが基本です。
ざっくり言うと、
N95マスクは「着ける」だけでなく、「隙間なく着けられているか確認する」ことが重要
ということです。
この記事の推定読了時間
約8分
この記事でわかること
この記事では、次の内容を解説します。
- N95マスクが顔に密着する必要がある理由
- 装着後に行うユーザーシールチェックの方法
- 陽圧確認と陰圧確認の違い
- フィットテストとユーザーシールチェックの違い
- 看護師・看護学生が起こしやすい見落とし
- 漏れがあるときの再調整のポイント
根拠:N95マスクは素材の性能だけでは防護にならない
N95マスクは、一般に0.3μmの粒子を95%以上捕集する性能を示す規格名です。
ただし、これはマスクそのものの捕集性能です。マスクと顔の間に隙間があれば、空気中の粒子がマスクの素材を通らず、隙間から入り込む可能性があります。
医療従事者向けのN95マスク適正使用ガイドでは、製品の取扱説明書に従って装着し、使用のたびにユーザーシールチェックを行うことが示されています。
また、環境省の防じんマスク資料でも、使用のたびに顔への密着を確認するよう案内されています。
つまり、N95マスクの防護は、
- マスク自体の性能
- 顔に合った装着
- 装着後の漏れの確認
がそろって成り立ちます。
「N95だから大丈夫」と考えるのではなく、N95の性能を生かせる状態になっているかを確認する必要があります。
詳しい解説:N95マスクで確認したい隙間
装着後は、マスクと顔の間に隙間がないかを確認します。
特に注意したいのは、次の部分です。
- 鼻梁周辺
- 頬の部分
- あごの部分
- マスクの上下左右の縁
なかでも鼻梁周辺は、マスクの形が顔に合っていないと隙間ができやすい場所です。
鼻のまわりに隙間があると、呼吸時に空気が漏れます。眼鏡をかけている場合には、眼鏡が曇ることが漏れに気づくきっかけになることもあります。
ただし、眼鏡が曇らないからといって、必ずしも十分な密着ができているとは限りません。眼鏡の曇りは参考になりますが、ユーザーシールチェックも行います。
あごの部分も確認が必要です。マスクの下側があごを十分に覆っていなかったり、装着中に位置がずれたりすると、隙間につながります。
ユーザーシールチェックとは?
ユーザーシールチェックとは、N95マスクを装着した本人が、マスクの周囲から空気が漏れていないかを確認する方法です。
製品によって具体的な手順が異なる場合があるため、まずは使用している製品の取扱説明書を確認します。
一般的には、次の2つの確認を行います。
陽圧確認:息を吐いたときの漏れを確認する
陽圧確認では、マスクの表面を両手で覆い、息を吐きます。
このとき、マスクの周囲から空気が漏れていないかを確認します。
確認する場所は、次のような部分です。
- 鼻の横
- 頬の横
- あごの下
- マスクの縁全体
空気が漏れている感じがあれば、マスクの位置や鼻梁部分を調整します。その後、もう一度確認します。
陰圧確認:息を吸ったときの密着を確認する
陰圧確認では、マスクを両手で覆い、息を吸います。
このとき、マスクが顔に引き込まれる感覚があるか、顔にしっかり密着しているかを確認します。
マスクの周囲から空気が入り込む感じがある場合は、十分に密着していない可能性があります。
そのまま使用せず、位置を調整して再確認します。
ざっくり言うと、
- 息を吐くときに漏れないか
- 息を吸うときに密着するか
を、両方確認するということです。
どちらか一方だけではなく、陽圧・陰圧の両方を確認します。
漏れがあったときは、そのまま使わない
ユーザーシールチェックで漏れを感じた場合は、マスクをそのまま使い続けません。
次のような部分を再調整します。
- 鼻梁部分の形
- マスクの上下の位置
- あごの覆い方
- マスクの左右の位置
- ひもの位置や張り具合
調整したら、もう一度ユーザーシールチェックを行います。
横浜市の実技資料や福井県の個人防護具資料でも、空気漏れがある場合は再調整し、確認をやり直す手順が示されています。
大切なのは、一度着けて終わりにしないことです。
「少し漏れている気がするけれど、短時間だから大丈夫だろう」と自己判断せず、まずは装着状態を整えます。
フィットテストとユーザーシールチェックは別物
N95マスクについて調べていると、「フィットテスト」という言葉も出てきます。
フィットテストとユーザーシールチェックは、似ているようで目的が異なります。
フィットテスト
フィットテストは、使用する人の顔に対して、特定の製品やサイズが適合するかを事前に確認する検査です。
サッカリンなどを用いて、マスクの内側に試験物質が入り込んだときの味覚反応を確認する方法が紹介されています。
これは、毎回の装着時に行う確認ではありません。
ユーザーシールチェック
ユーザーシールチェックは、N95マスクを装着するたびに行う確認です。
その日の装着状態や、マスクの位置に問題がないかを確認します。
したがって、
フィットテストを受けたことがあるから、毎回の確認は不要
ということにはなりません。
フィットテストで適合している製品でも、装着の仕方が悪かったり、位置がずれていたりすれば、顔面からの漏れが起こる可能性があります。
フィットテストは「その人に合う製品か」を確認するもの。
ユーザーシールチェックは「今、正しく着けられているか」を確認するもの。
このように分けて覚えると、整理しやすくなります。
実践ポイント:N95マスクの装着で意識したい順番
N95マスクの形状やひものタイプは製品によって異なります。基本的には製品の取扱説明書に従います。
そのうえで、装着時は次のような流れで確認します。
1.マスクの向きを確認する
上下や表裏を確認します。
製品によって形状や装着方法が異なるため、見た目だけで判断せず、取扱説明書や施設の手順を確認します。
2.鼻からあごまで覆う
マスクが鼻だけ、あるいは口元だけにかかっている状態では、適切な装着になりません。
鼻と口を覆い、下側があごまで届いているかを確認します。
3.鼻梁部分を調整する
鼻梁部分を顔の形に合わせます。
ここで隙間が残っていると、呼吸時に空気が漏れる原因になります。
一度軽く押さえるだけではなく、マスクの縁が顔に沿っているかを確認します。
4.頬やあごの隙間を確認する
鼻梁だけでなく、頬やあごの部分にも隙間がないかを見ます。
マスクが顔の片側に寄っていないか、下側がずれていないかも確認します。
5.陽圧・陰圧の確認を行う
両手でマスクを覆い、息を吐いたときと吸ったときの状態を確認します。
漏れを感じた場合は、位置を調整して再度チェックします。
看護師・看護学生が注意したいポイント
装着後の確認を省略しない
忙しいと、マスクを着けた時点で「装着できた」と考えてしまいがちです。
しかし、N95マスクは着けたかどうかだけではなく、密着できているかが重要です。
特に、次のようなタイミングでは再確認します。
- 新しくN95マスクを装着したとき
- マスクを外して、もう一度着けたとき
- マスクの位置を動かしたとき
- 会話や動作でマスクがずれたとき
「朝に確認したから大丈夫」ではなく、装着するたびに確認すると覚えておきます。
鼻梁だけを見て終わらせない
鼻梁部分は目立つため、そこだけを調整して終わりにしやすい部分です。
しかし、漏れは頬やあごの周囲でも起こります。
鼻の形に合わせたあと、マスクの縁全体を確認します。
「苦しくない」と「密着している」は同じではない
N95マスクは、通常のマスクと比べて呼吸のしづらさを感じることがあります。
一方で、苦しさがないからといって、十分に密着しているとは限りません。
本人の感覚だけで判断せず、陽圧・陰圧のユーザーシールチェックを行います。
製品ごとの方法を確認する
N95マスクには複数の形状や製品があります。
装着方法や確認方法がすべて同じとは限らないため、製品の取扱説明書と施設の手順を確認します。
不明な場合は、自己流で判断せず、感染管理担当者や先輩看護師に確認します。
看護学生が実習前に練習しておきたいこと
看護学生の場合、実習先で初めてN95マスクを装着することもあるかもしれません。
実習前には、次の点を練習しておくと安心です。
- N95マスクの上下・表裏を確認する
- 鼻からあごまで覆う
- 鼻梁部分を調整する
- マスクの周囲を手で覆って息を吐く
- 息を吸ったときの密着を確認する
- 漏れがあった場合に再調整する
実際に装着してみると、鼻の形や頬の幅によって、合う位置が少しずつ違うことに気づきます。
「着け方を知っている」だけでなく、自分の顔で漏れを確認できることが大切です。
筆者の体験談:私がN95マスクの装着で迷った場面
私が看護師をしていた頃、感染対策が必要な患者さんを受け持ったときのことです。
入室前にN95マスクを装着し、いつものように鼻の部分を調整しました。見た目には問題なさそうでしたが、眼鏡をかけた瞬間にレンズが少し曇りました。
最初は、「室内との温度差かな」と考えました。けれど、マスクの鼻の部分を押さえると曇り方が変わったため、鼻梁のあたりから空気が漏れているのかもしれないと思いました。
そのとき私は、入室を急ぐ気持ちもありました。マスクを着けているし、この程度なら大丈夫ではないかと思いかけたのです。
でも、いったん立ち止まって、マスクを両手で覆い、息を吐いてみました。すると、鼻の横にわずかに空気が出ている感じがありました。
そこで一度外に出て、鼻梁部分をもう一度調整しました。あごの位置も確認し、再び陽圧・陰圧のチェックを行いました。今度は先ほど感じた漏れがありませんでした。
後から振り返ると、私は「N95マスクを着けた」という事実だけで安心しかけていました。
この経験があってから、私は装着後に必ず一呼吸置いて、マスクの周囲に漏れがないか確認するようになりました。見た目だけでは分からない小さな隙間があることを、実感した場面でした。
この体験談は医学的根拠を示すものではありません。実際の看護場面と医学的な説明を結び付けて理解するための一例です。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- N95マスクは、顔に密着して初めて防護性能を発揮する
- 鼻梁、頬、あごの周囲に隙間がないか確認する
- 装着するたびに、陽圧・陰圧のユーザーシールチェックを行う
- 漏れがあれば、位置や鼻梁部分を調整して再確認する
- フィットテストは事前の適合性確認、ユーザーシールチェックは装着ごとの確認
- フィットテスト済みの製品でも、装着が不十分なら防護性は低下する
結局のところ、N95マスクは「着けたか」ではなく、正しく密着しているかを毎回確認できているかが重要です。
FAQ
Q1.N95マスクは一度確認すれば、その日は再確認しなくてもよいですか?
いいえ。N95マスクは、装着するたびにユーザーシールチェックを行います。
一度外して再装着した場合や、マスクの位置を動かした場合も、再度確認します。
Q2.フィットテストを受けていれば、ユーザーシールチェックは不要ですか?
不要ではありません。
フィットテストは、その人の顔に製品が適合するかを事前に確認する検査です。一方、ユーザーシールチェックは、装着のたびに漏れがないか確認する方法です。
目的が異なるため、フィットテスト済みでも、毎回の確認が必要です。
Q3.息苦しくなければ、正しく装着できていますか?
息苦しさの有無だけでは判断できません。
呼吸の感覚に加えて、陽圧・陰圧のユーザーシールチェックを行い、マスク周囲からの漏れがないか確認します。
Q4.漏れがあるときは、マスクを押さえながら使ってもよいですか?
漏れがある状態でそのまま使用せず、製品の取扱説明書や施設の手順に従って位置を調整し、再確認します。
調整しても密着しない場合は、使用する製品について感染管理担当者や責任者に相談します。
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