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サードスペースってなに?【追記あり】

周手術期看護
この記事は約3分で読めます。

サードスペーと術後の尿量減少の関係についてお話しします。

全身麻酔の術後、24時間は尿量が減少することがあります。

それには、サードスペースと言うものが大きくかかわっています。


サードスペースとは

1.通常時

私たちの身体のメカニズムでは、

普段、血液と細胞との間で水分や電解質の往来をしています。

その往来のお陰で、新鮮な水分や栄養の摂り込みと排泄ができているのです。

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2.術後24時間以内

生体は、外傷や手術などの侵襲(ストレス)を受けると、

生体炎症反応やストレスホルモンの分泌によって

血管透過性が亢進されます。

つまり、

血管から外に水分が染み出やすくなるのです。

すると、

通常は血管内に留まっているはずの水やNaが血管外へ漏出し、

細胞内でも血管内でもない場所に留まる減少が起こります。

その結果、むくみが起こります。

このように、水やNaが細胞内でも血管内でもない場所にたまっている部分を、

サードスペース(third space)と呼びます。

 

【2014/ 8/23 追記】

サードスペースというのは、周手術期特有の言葉であり、

生理学的にサードスペースというものが定義されているわけではありません。

術後、血管透過性が亢進することで血管から水分が染み出てきます。

そして、血管内や細胞内でもなく間質液(細胞外液)が存在するエリアに作られます。

ここに貯まった水分は、間質液とは異なり電解質を調整する機能は持たないため

とくに「サードスペースに貯まった水分」として区別されるようです。

 

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大きい視点から見ると

mukumi02

こういうことです。

3.術後の尿量減少

サードスペースへ多量の水分が移動するために、血管内の水分量は不足してしまいます。

それにともない、術後24時間以内の観察ポイントとしては

浮腫と血管内脱水(血圧低下、頻脈、乏尿)の症状が出現していないかを観察していく必要があります。

そして、血管内の循環水分量が減少しているために、脱水を補うための補液をします。

侵襲後24~72時間経つと(異常なく全身状態が改善に向かう場合)

サードスペースから血管内に水分が戻ってきます。

(この現象をリフィリングもしくは利尿期と呼びます)

そして、血管内の水分が増えることで、尿量が増加し血圧も上昇します。

また、一方で心臓、腎臓機能に問題がある場合は

溢水(水分過剰)となり心不全肺水腫を起こすリスクもあるので要注意です。

その場合は、輸液の調整や利尿剤の投与を考慮していきます。

 

以上が術後の尿量減少が起こるメカニズムと補液が必要な理由でした!

ユウのアドバイス

術後の観察項目で尿量をしっかりと診ていくのは、こういう理由があるからなんですよね。

ユウも学生のころ、術後の看護についてはしっかりと勉強していたつもりでした。

でも、友達が「サードスペースに水分が行くから~」なんて話をしていて、

「え、さーどすぺえす?なにそれ?」とびっくりしたことを思い出します。

こんなに重要な役割があるんです。

術後管理において必ず押さえておかなければいけないポイントです!(`・ω・)ノ☆・゚::゚

 

コメント

  1. サードスペースについて最近疑問におもってて、むくみなどはサードスペースですか?間質にたまるってことはセカンドスペースではないですか?間質でもなくそれ以外の部位に溜まるものをサードスペースに移行する、というのでしょうか。
    細胞、血管、間質では水分の行き来ができると書いてありますが、サードスペースから水分は血管内に戻って来るのでしょうか。
    知識不足ですみません。
    ずっともやもやしています。

    • とても良い質問ですね!
      私もすぐにお返事ができず、不勉強でありました。
      回答が遅くなり、申し訳ありません。
      いくつもの資料や文献を調べてみて、私なりの回答がまとまりましたのでお答えいたします。

      【質問1】間質にたまるってことはセカンドスペースではないですか?間質でもなくそれ以外の部位に溜まるものをサードスペースに移行するというのでしょうか?
      【回答1】サードスペースというのは、周手術期特有の言葉であり、生理学的にサードスペースと分類されているものはありません。
      そのため、ファーストスペースやセカンドスペースと言ったものが生理学的に定義されているわけではないです。
      サードスペースと言うのは、血管と細胞の間にある間質液(細胞外液)が存在するエリアに作られます。
      術後に血管透過性が増加して、血管から染み出た水分がたまった部分のことをサードスペースといいます。
      この水分は細胞外液のように電解質バランスを調整する機能はないため、とくに「サードスペースに貯まった水分」として区別されるようです。

      【質問2】むくみなどはサードスペースですか?
      【回答2】むくみはサードスペースに貯まった水分とは限りません。術後に起こった浮腫はサードスペースによる影響が大きいかもしれませんが、日常に起こるむくみは間質液の増加と考えた方が良いでしょう。

      【質問3】細胞、血管、間質では水分の行き来ができると書いてありますが、サードスペースから水分は血管内に戻って来るのでしょうか?
      【回答3】サードスペースから血管内に水分は戻ります。術後3日程度し、血管の透過性が平常に戻るにつれて徐々に水分も血管内へ戻っていきます。

      以上が私の調べた限りの情報です。
      結局のところ、サードスペースについては文献や筆者によって定義があいまいであり、私も混乱しました。
      様々な文献を調べて理屈と認識が合致する部分を組み合わせた結果、上記のような回答になりました。
      私なりの回答ですので、参考程度にお願いします。

  2. 周手術期の授業中サードスペースを習ったのですが細胞などに弱い私にはわかりませんでした。

    ですが管理人さんの説明でようやく理解することができました。ありがとうございました(^○^)

    • コメントありがとうございます^^
      サードスペースの理解は難しいですよね。
      私も非常に理解に苦しみました。ただ、色んな文献を調べてみた結果の私なりの解釈なので、もしかしたら誤っていることがあるかもしれません。
      そのときはまた教えてくださいね!(*^ω^*)

  3. 分かりやすいです!!

    • コメントありがとうございます。
      理解が深まったようで何よりです!

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