【限定公開】全教科で「優」が取れた実習教材

「治療を受けたくない」と言われた時の意思決定支援と対応

看護記録の書き方
この記事は約9分で読めます。

こんにちは、ユウ塾長です。患者さんから「治療を受けたくない」と言われたとき、どう受け止めればよいのか迷ったことはありませんか?すぐに説得するべきなのか、それとも本人の希望としてそのまま受け入れるのか、判断に悩みますよね。今回は、その言葉の背景を確かめながら、患者さんの意思決定を支える説明の進め方を整理します。

結論:「治療拒否」と決めつけず、理由と理解を確かめる

患者さんが「治療を受けたくない」と話したとき、まず必要なのは、治療を勧めることでも、すぐに拒否として記録することでもありません。何を理解し、何を不安に感じ、どんな生活や価値観を大切にしているのかを確かめましょう。

説明内容を理解し、自分の状況に当てはめて考えたうえで選んだ意思であれば、治療を受けない選択も尊重することが基本です。一方、せん妄や意識障害、強い苦痛、説明の誤解などがある場合は、状態を整え、チームで相談して意思を確認し直します。

治療する・しないの二択にせず、治療の目的や選択肢、治療しない場合の見通し、症状を和らげる方法などを一緒に考えることが、看護師にできる意思決定支援です。

この記事の読了時間

読了時間の目安:約8分

この記事でわかること

この記事では、次のポイントを解説します。

  • 「治療を受けたくない」に隠れている理由の探し方
  • 患者さんの理解や意思決定を確認するときの視点
  • 治療の説明と選択肢の伝え方
  • 看護師がチームに共有したい情報

結論の根拠:医療者の説明と患者さんの希望をすり合わせる

治療の選択肢が複数あるときや、最善の方法が一つに決まらないときは、医療者が医学的な情報を伝えるだけでは方針を決められないことがあります。患者さんが大切にしたいことや希望も共有し、メリット・デメリットを一緒に考える方法が「共有意思決定」です。国立長寿医療研究センターの解説でも、医療者と患者が情報や希望を伝え合って方針を決める考え方が紹介されています。

看護師は、患者さんが医師の説明をどう受け止めたか、何を心配しているか、どんな生活を望んでいるかを捉え、医師や薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどに共有します。一方、看護師による意思決定支援の文献レビューでは、医療者からの情報提供に比べて、患者側の思いや情報を引き出すことが課題として報告されています。

つまり、説明を「伝えた」だけで終わらせず、患者さんがどう受け止めたかを確かめる必要があります。患者さんが十分な情報を得たうえで選んだ意思を、医療者側の価値観で変えようとしないことも大切です。

「受けたくない」の背景を一緒に探す

「治療を受けたくない」という言葉は、必ずしも治療全体への最終的な拒否を意味するとは限りません。副作用が怖い、説明が難しくて分からない、費用が心配、家族に負担をかけたくないなど、さまざまな思いが含まれていることがあります。

また、「延命より自宅で過ごしたい」「今は決められない」という希望が、治療を受けたくないという言葉で表れている場合もあります。まずは、どの部分が一番気になっているのかを尋ねてみましょう。

たとえば、次のように聞くと、理由を話しやすくなることがあります。

  • 「治療を受けたくないと思っているのですね。そう思われた理由を教えていただけますか」
  • 「治療について、どの部分が一番心配ですか」
  • 「今すぐ決めなければならないと感じていますか」
  • 「これからどのように過ごしたいと思っていますか」

「なぜ治療を受けたくないのですか」と尋ねるだけでは、責められているように感じる患者さんもいます。答えを急がせず、まずは話を聞いてみてくださいね。

意思決定を支える説明の進め方

1.患者さんがどう理解しているかを確かめる

説明を始める前に、患者さんが病気や治療についてどのように聞き、理解しているかを確認します。

「病気について、どのように説明を受けましたか」「今回の治療は何のために行うと聞いていますか」と尋ねてみましょう。医療者が説明したことと、患者さんが理解したことは同じとは限りません。

説明が難しかったり、情報が一度に多すぎたりした可能性もあります。理解が不十分なときは、患者さんを責めるのではなく、説明の仕方を見直してみましょう。

2.治療の目的を具体的に伝える

「治療」という言葉だけでは、患者さんが期待する効果と、医療者が説明する目的がずれてしまうことがあります。治療が何を目指すのか、患者さんに分かる言葉で確認しましょう。

たとえば、完治を目指すのか、症状を軽くするのか、生活機能を保つことを目指すのかでは、患者さんが選択を考えるときのポイントが異なります。検査や処置が診断を確定するために行われる場合も、その目的を明確に伝えることが大切です。

3.治療する場合・しない場合・別の方法を比べる

「治療を受けるか、何もしないか」の二択だけで説明すると、患者さんが選べる範囲を狭く感じることがあります。状況に応じて、治療の目的や期待できる効果、主な負担、治療しない場合の見通し、症状を和らげる方法などを整理して伝えましょう。

患者さんが気にしているのが副作用なのか、入院や通院の負担なのか、費用や家族への影響なのかによって、必要な説明や相談先も変わります。看護師がすべてを一人で解決する必要はありません。調整できる問題があれば、担当医や薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどにつないでください。

4.説明が伝わったか、患者さんの言葉で確認する

説明のあとに、「今の話を、確認のため患者さんの言葉で教えていただけますか」と尋ねる方法があります。治療を受ける場合と受けない場合について、どのように理解しているかを聞いてみましょう。

これは患者さんを試すためではありません。医療者の説明が伝わったかを確かめるための方法です。理解しにくそうなところがあれば、説明する側が言い換えたり、情報を分けて伝えたりしてみましょう。

意思決定を確認するときの視点

意思決定能力は、年齢や診断名だけで一律に判断できるものではありません。選ぼうとしている内容に応じて、本人が説明を理解できるか、自分の状況に当てはめて考えられるか、選択肢を比べられるか、意思を表明できるかを確認します。

これは看護師だけで判断を確定するためのチェックリストではありません。気になる点があるときは、観察した事実を担当医やチームに伝え、施設の手順に沿って相談してください。

特に、せん妄や意識障害、強い痛みや呼吸困難、薬剤の影響などで会話や判断が難しくなっていないかは確認したいポイントです。通訳、聴力・視力への支援が必要なのに十分でない場合や、説明の誤解が疑われる場合も、支援方法を整えてから意思を確かめましょう。

看護師がチームに伝えたいこと

記録や申し送りでは、「治療拒否」とだけ書くのではなく、患者さんの言葉や背景を具体的に残すと、次の支援につながりやすくなります。

  • 患者さんが話した言葉と、そのときの状況
  • 病気や治療について患者さんが理解している内容
  • 不安や生活上の負担、望んでいる過ごし方
  • 判断に影響する可能性のある症状や薬剤、環境
  • 説明した内容と、患者さんが理解できた内容
  • 家族の意見と、患者さん本人の希望
  • 誰に相談・報告し、次に何を確認する予定か

患者さんの希望と家族の希望が異なることもあります。家族の意見は大切な情報ですが、意思決定できる患者さん本人の希望を、家族の希望だけで置き換えることはできません。日本看護協会の「代理意思決定の支援」では、本人の事前の意思を確認できない場合に、家族と話し合いながら本人の価値観を考え、本人にとっての最善を多職種で検討する考え方が示されています。

本人の意思を十分に確認できない場合

患者さんが十分に意思を示せない場合は、すぐに周囲の人の希望を本人の意思として扱うのではなく、まず状態を確認し、意思を妨げている原因がないかをチームで検討します。そのうえで、本人が以前に話していた希望や価値観、生活歴を手がかりにします。

本人の意思を推定できない場合は、本人にとって何が最善かを家族や多職種で検討します。意見がまとまらないときは、施設の倫理に関する相談体制などにつなぐことも選択肢です。

説得や圧力にならないために

患者さんの選択に驚いたり、治療しないことで起こりうることを心配したりするのは自然なことです。ただし、「治療しないと大変なことになります」と恐怖だけを強調したり、「家族が望んでいるから」と本人に圧力をかけたりすることは避けましょう。

「治療を受ける・受けない」の二択だけで話を進めず、患者さんが大切にしたいことや、選択を難しくしている条件を確かめてみてください。患者さんの意思が固まっていないときは、考える時間や再度相談する機会を設けられるか、チームで確認しましょう。

現場の場面を考えてみる

筆者の個別の実体験として紹介できる情報はないため、ここでは看護師が対応を考える場面として整理します。

患者さんから「もう治療は受けたくない」と言われたとします。すぐに治療の必要性を説明したくなるかもしれません。でも、まず「そう思われたのですね。何が一番つらいですか」と尋ねてみると、副作用への不安や、家に帰れないことへの心配が語られるかもしれません。

そこで、患者さんが治療の目的をどう理解しているか、今後どのように過ごしたいのかを聞きます。説明の誤解や強い症状が気になるときは、その内容を担当医やチームに共有し、必要な説明や支援につなげます。

こうした場面を考えると、患者さんの言葉を聞いた瞬間に答えを出すのではなく、まず「その言葉が何を伝えているのか」を知ろうとすることが、支援の入り口だと分かります。

まとめ

患者さんが「治療を受けたくない」と話したときは、すぐに「治療拒否」と決めつけず、理由や理解、望んでいる生活を確認しましょう。

共有意思決定では、医療者が治療の情報を伝えるだけでなく、患者さんの価値観や希望も一緒に考えます。患者さんが十分な情報を理解したうえで選んだ意思を尊重しながら、理解を妨げる症状や誤解、生活上の負担があれば、チームで支援を検討してください。

まずは患者さんの言葉を受け止め、「一番気になっていることは何ですか」と尋ねるところから始めてみましょう。

FAQ

患者さんが「治療を受けない」と決めたら、看護師は説得してもよいですか?

説得して翻意させることを目標にするのではなく、患者さんが必要な情報を理解し、自分の価値観に沿って選べるよう支援します。理解の誤りや強い症状などが気になる場合は、状態や説明を見直し、チームで意思を確認してください。

家族が治療を希望している場合は、家族の希望を優先しますか?

家族の希望も大切な情報ですが、意思決定できる患者さん本人の希望を、家族の希望だけで置き換えることはできません。本人の意思を十分に確認できない場合は、本人が以前に示していた希望や価値観を手がかりに、家族や多職種と検討します。

患者さんが「今は決められない」と言ったら、どう対応しますか?

まず、どの情報や不安が決めることを難しくしているのかを聞いてみましょう。どの程度急いで決める必要があるのかを担当医に確認し、可能であれば考える時間や再度相談する機会を設けます。

参考文献

  • 国立長寿医療研究センター「医療や介護の方針を一緒に決める『共有意思決定』とは?」公式資料
  • 日本看護協会「意思決定支援と倫理(1)代理意思決定の支援」公式資料
  • 「看護師による患者及び家族への意思決定支援に関する文献レビュー」文献情報 / CiNii Research掲載情報

実習記録、AIにちょっと手伝ってもらおう!

実習記録って、書き始めるまでが大変ですよね…😢

そんなときは、「AI看護学生 あいちゃん」を使ってみてください!
実習目標や看護計画など、あなたの「どうしよう…」を一緒に考えてくれます。

\ 看護学生なら無料!使ってみてね! /

LINEで友だち追加するだけ!
実習中の「ちょっと困った…」を、あいちゃんに相談してみよう😊


LINEで友だち追加

タイトルとURLをコピーしました