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起坐呼吸がある患者の看護 観察・対応と報告の目安

症状別看護
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起坐呼吸がある患者への看護|観察ポイントと報告の目安

こんにちは、ユウです。

みなさんは、患者さんが「横になると苦しい」と訴えたとき、まず何を確認すればよいのか迷ったことはありませんか?

上体を起こすと楽になるなら、体位を整えて様子を見ればよいのでしょうか。それとも、心不全などによる呼吸状態の悪化を考える必要があるのでしょうか。

今回は、起坐呼吸がある患者さんの観察ポイントと、看護での対応・報告について解説します。

結論:呼吸しやすい体位を保ち、呼吸・循環の悪化がないか確認する

起坐呼吸がみられたら、患者さんを無理に仰臥位へ戻さず、呼吸が楽な体位を保ちながら、呼吸状態と循環状態をすみやかに確認します。

まず確認したいのは、呼吸数、SpO₂、努力呼吸、会話のしやすさ、意識状態です。そのうえで、血圧・脈拍、肺音、頸静脈怒張、浮腫、冷汗、胸痛なども観察します。

起坐呼吸は、仰向けになると息苦しさが増し、上体を起こすと軽くなる状態です。心不全や肺水腫などでみられることがあるため、「体位の問題」と決めつけないことが大切です。座っていても苦しい、呼吸が急に悪化した、SpO₂が低下した、意識が変化したといった場合は、体位調整だけで様子を見ず、すみやかに報告・相談します。

読了時間の目安:約5分

この記事でわかること

  • 起坐呼吸とはどのような状態か
  • 起坐呼吸を見たとき、優先して確認すること
  • 体位調整と報告で気をつけたいポイント
  • 看護記録や申し送りで伝えたい内容

結論の根拠:体位による変化と、呼吸・循環の所見を合わせてみる

起坐呼吸は、仰臥位で呼吸困難が強くなり、坐位や上体を起こした姿勢で軽くなる状態です。原因には心不全や肺水腫のほか、気管支喘息やCOPDの増悪などもあります。したがって、起坐呼吸だけから原因を決めるのではなく、患者さんの呼吸・循環の状態を合わせて評価します。日本臨床検査医学会の「異常呼吸」に関する資料でも、起坐呼吸は異常呼吸の一つとして扱われています。

総務省消防庁「救急隊における観察・処置等について(通知)」には、臥位や枕を使った姿勢、30度以上の半坐位などで、呼吸苦の有無を観察する目安が示されています。これは体位と呼吸苦を確認するための目安であり、起坐呼吸の原因を診断する基準ではありません。

また、今日の臨床サポート「起坐呼吸」では、急性心不全の評価に関連する所見として、呼吸状態や酸素化、肺音、浮腫などが説明されています。起坐呼吸を見たときに、体位による変化だけでなく、こうした所見も確認する理由です。

起坐呼吸とは?

起坐呼吸は、横になると息苦しくなり、上体を起こすと呼吸が楽になる状態です。

患者さんがベッド上で上体を起こしている場合、単に「その姿勢が好きなのかな」と捉えず、「横になると苦しくなるために起きているのか」を確認します。本人に、どの姿勢で苦しくなるのか、上体をどの程度起こすと楽になるのかを尋ねると、状態を把握する手がかりになります。

起坐呼吸の背景には心不全や肺水腫などがある一方、呼吸器疾患でもみられることがあります。症状だけで原因を決めつけず、全身状態と合わせてみることが重要です。

起坐呼吸を見たときの観察ポイント

1.まず、今の体位で呼吸が保てているか

患者さんが楽だと感じる姿勢を保ちながら、次の点を確認します。

  • 呼吸数、呼吸の深さやリズム
  • 肩で息をするなど、努力呼吸の有無
  • SpO₂
  • 会話を続けられるか
  • 意識状態
  • 顔色や冷汗の有無

呼吸数だけでなく、呼吸の深さや様式、リズムも観察します。医学書院「循環・呼吸(3)」では、起坐呼吸を含む呼吸の観察について解説されています。

2.体位を変えたときの症状の変化

「どの姿勢で苦しくなるか」「上体を起こすとどの程度楽になるか」を確認します。

無理に仰臥位に戻して症状を確かめるのではなく、患者さんの訴えや、すでに生じた体位変化をもとに観察しましょう。半座位からファウラー位など、患者さんが呼吸しやすい角度に調整します。具体的な体位は、患者さんの状態や施設の手順に沿って検討します。

3.心不全や循環不全を疑う所見

呼吸状態に加えて、次のような所見も確認します。

  • 血圧、脈拍
  • 肺音、とくに肺ラ音の有無
  • 頸静脈怒張
  • 下肢などの浮腫
  • 胸痛、冷汗
  • 意識状態の変化

一つの所見だけで心不全と判断するのではなく、呼吸や循環の状態、これまでの経過と合わせて評価します。

すみやかな報告・相談が必要なとき

次のような場合は、体位を整えただけで様子を見ず、施設の手順に従ってすみやかに報告・相談します。

  • 呼吸苦が急に悪化した
  • 上体を起こしていても苦しい
  • SpO₂が低下している
  • 努力呼吸が強い、会話が難しい
  • 胸痛や冷汗がある
  • 意識状態に変化がある
  • 血圧など循環状態に悪化がみられる

酸素投与などの治療は、患者さんの状態や医師の指示、施設の手順に従います。看護師が起坐呼吸だけを根拠に、原因や治療方針を決めるものではありません。

看護記録・申し送りでは「姿勢」と「変化」を伝える

記録や報告では、「起坐呼吸あり」とだけ書くのではなく、どの体位でどのような変化があったのかを具体的に伝えます。

たとえば、次のような内容です。

  • 仰臥位で呼吸苦を訴えたか
  • 上体を起こすと症状がどう変化したか
  • 呼吸数、SpO₂、努力呼吸、会話の様子
  • 意識状態や血圧・脈拍
  • 肺音、浮腫、頸静脈怒張などの所見
  • 症状が始まった時期や、その後の変化

こうした情報があると、患者さんの状態がどのように変化しているのかを共有しやすくなります。

実践ポイント

  • 患者さんを無理に仰臥位へ戻さず、呼吸が楽な体位を保ちながら観察する
  • 呼吸数、SpO₂、努力呼吸、会話のしやすさ、意識状態を優先して確認する
  • 血圧・脈拍、肺音、頸静脈怒張、浮腫、冷汗、胸痛なども合わせて確認する
  • 急な悪化や、座位でも続く呼吸苦、SpO₂低下、意識変化などがあれば、すみやかに報告・相談する
  • 記録や申し送りでは、どの姿勢でどのように苦しくなり、体位を変えるとどう変化したかを伝える

まとめ

今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 起坐呼吸は、横になると息苦しくなり、上体を起こすと軽くなる状態
  • 心不全や肺水腫などでもみられるため、体位の問題と決めつけない
  • 患者さんが呼吸しやすい姿勢を保ち、呼吸数・SpO₂・努力呼吸・会話・意識を確認する
  • 血圧や脈拍、肺音、浮腫、頸静脈怒張なども合わせて観察する
  • 急な悪化や座位でも続く呼吸苦、意識変化などがあれば、すみやかに報告・相談する

筆者の体験談

私が看護師をしていた頃、ベッド上で上体を起こしている患者さんに声をかけると、「横になると息がしづらいんです」と言われたことがありました。

最初は、上体を起こした姿勢で落ち着いているように見えたので、そのまま少し様子を見ようかと考えました。でも、「横になると」という言葉が気になりました。体位の好みではなく、呼吸苦があって起きているのかもしれないと思ったからです。

私は無理に姿勢を変えず、患者さんが楽だという姿勢のまま、呼吸の様子やSpO₂、会話のしやすさを確認しました。その後、血圧や脈拍なども見直し、先輩看護師に「横になると苦しいという訴えがあります。いまは上体を起こすと少し楽なようですが、呼吸状態を一緒に確認してもらえますか」と相談しました。

その場では、患者さんが「起きていれば大丈夫」と話していたことだけで安心してよいのか、私自身も迷っていました。あの経験があってから、ベッドの背上げを見たときには、姿勢だけでなく「なぜその姿勢をとっているのか」を患者さんに尋ねるようになりました。

この体験談は臨床場面をイメージするためのものであり、医学的根拠を示すものではありません。

FAQ

起坐呼吸があれば、心不全と考えてよいですか?

起坐呼吸は心不全でみられることがありますが、それだけで心不全と診断することはできません。気管支喘息やCOPDの増悪などでもみられるため、呼吸・循環の所見や患者さんの経過を合わせて評価します。

呼吸が楽になったら、すぐに仰臥位に戻してもよいですか?

患者さんが楽だと感じる姿勢を保ち、無理に仰臥位へ戻さないようにします。体位を変える必要がある場合は、患者さんの状態や施設の手順に沿って対応してください。

ベッドの背上げ角度を記録する必要はありますか?

角度を正確に記録できる場合は役立ちますが、角度だけでなく、「どの姿勢で苦しくなり、上体を起こすとどう変化したか」も記録しましょう。総務省消防庁の通知には、枕の数や半坐位などを使った観察の目安が示されていますが、診断基準として扱うものではありません。

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