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褥瘡の滲出液が増えたときの観察と看護計画の見直し方

実施・評価
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こんにちは、ユウ塾長です。褥瘡の滲出液がなかなか減らない、あるいは前より増えているとき、ドレッシング材を替えればよいのか、それとも創の状態が悪化しているのか、迷ったことはありませんか?ここは判断に悩みますよね。今回は、滲出液の変化を手がかりに、看護計画をどう見直し、何をもって評価するかを整理します。

結論:滲出液だけで判断せず、原因と創全体の経過を見直す

滲出液が減らない、または増えているときは、ドレッシング材を替える前に、圧迫やずれ、感染・炎症、壊死組織やポケット、失禁、栄養・全身状態などを再評価しましょう。

滲出液の増加だけで感染と決めつけることはできません。量に加えて、色・性状・臭気、創の大きさや深さ、肉芽や壊死、ポケット、創周囲皮膚、疼痛、全身状態を合わせて確認します。

看護計画も「滲出液を減らす」だけではなく、原因への対応と、創全体が改善しているかを評価できる内容に見直します。発赤の拡大、熱感、腫脹、疼痛の増強、膿性排液、悪臭、発熱、意識状態の変化などがあれば、速やかに医師や褥瘡管理の担当者へ報告してください。

読了時間の目安

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この記事でわかること

この記事では、次のポイントを解説します。

  • 滲出液が増えるときに考えたい原因
  • 創全体の経過を評価する視点
  • 看護計画の観察・援助・教育計画の見直し方
  • 滲出液量や創部所見を記録・報告するときのポイント

結論の根拠:滲出液は創の状態を知る手がかり

滲出液には創傷治癒に関わる成分が含まれます。ただし、過剰な滲出液は創周囲の皮膚をふやけさせ、肉芽組織の形成を妨げたり、感染の危険性を高めたりすることがあります。日本老年医学会関連資料「褥瘡の治療の実際 ①創を評価する」では、滲出液を含めた創の状態を評価する考え方が紹介されています。

滲出液が増えた背景には、圧迫やずれの継続、創の深部化、壊死組織やポケット、失禁や発汗、浮腫、低栄養など、いくつもの可能性があります。ドレッシング材の吸収量や交換間隔が合っていない場合もあります。滲出液の増加だけを見て原因を決めず、ほかの所見と組み合わせて考えることが大切です。

創の経過を整理する際には、DESIGNの評価項目も参考になります。深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽、壊死組織、ポケットをそれぞれ確認する枠組みです。同資料では、創の状態と治癒過程を評価する項目として紹介されています。なお、ここでは資料で確認できる範囲をもとに説明しており、最新の公式マニュアルの内容を示すものではありません。

厚生労働省の「褥瘡対策に関する診療計画書」では、滲出液の区分と交換の目安として、少量は「毎日の交換を要しない」、中等量は「1日1回」、多量は「1日2回以上」が示されています。これは量を記録・評価する際の目安です。実際の交換間隔は、使用する材料や漏れの有無、創周囲皮膚、患者さんの疼痛や生活状況なども踏まえて調整します。

詳しい解説

まず原因を分けて考える

滲出液が増えたときは、創部だけでなく、創に影響する環境や患者さんの状態も見直します。次のように項目を分けると、原因を整理しやすくなります。

圧迫・ずれが続いていないか

体位変換が計画どおり行われているかだけでなく、体位変換後に姿勢を保てているかも確認しましょう。ベッド上で身体がずり下がる、頭部挙上時にずれが生じる、車椅子上で同じ部位に圧が集中するといった状況がないか観察します。

体圧分散寝具やクッションを使っている場合は、設定や位置、使用状況も見てください。厚生労働省の診療計画書にも、圧迫・ずれへの対策、体位変換、体圧分散寝具などが挙げられています。

感染・炎症を疑う所見がないか

滲出液の量だけで感染と判断するのではなく、創部や全身の変化を合わせて確認します。

  • 発赤の拡大、熱感、腫脹
  • 疼痛の増強
  • 膿性の排液、悪臭
  • 肉芽組織がもろくなる、出血しやすくなる
  • 発熱、倦怠感、食欲低下
  • 意識状態やバイタルサインの変化

こうした所見があるときは、いつから、どのように変化したかを整理して報告しましょう。滲出液が増えたことだけでなく、複数の所見を伝えると、チームで状況を共有しやすくなります。

壊死組織やポケット、深部化がないか

創の表面だけでは、深部の状態が分かりにくいことがあります。壊死組織が残っていないか、ポケットが拡大していないか、深さが変化していないかを確認します。

深部化やポケットが疑われる場合は、看護師だけで判断を完結させず、医師や褥瘡管理チームへ相談してください。処置方法の変更も、チームで方針を確認して進めます。

失禁や発汗で皮膚がふやけていないか

仙骨部や臀部では、創からの滲出液だけでなく、尿・便・発汗が皮膚に影響していることがあります。排泄物が付着していないか、おむつ内の蒸れや交換までの時間、皮膚の白色化・びらんなども確認しましょう。

創からの排液と、尿や便などの付着を区別して記録することも大切です。排泄物が創や周囲皮膚に触れにくいケアへ見直せるか、チームで検討します。

栄養や全身状態に変化がないか

局所の処置だけでなく、食事摂取量や体重の推移、水分摂取、浮腫、基礎疾患なども確認します。治癒が遅れているときは、局所と全身の両面から見直す必要があります。

血清アルブミンなどの検査値だけで栄養状態を判断するのではなく、摂取量や体重変化、身体所見、疾患の状況と合わせて捉えましょう。

ドレッシング材と交換間隔を見直す

滲出液が漏れる、あるいは創周囲の皮膚が白くふやけている場合は、吸収量や交換間隔が合っていない可能性があります。創の深さや形状に材料が合っているか、創周囲皮膚を保護できているかも確認してください。

一方で、交換頻度を増やせばよいとは限りません。交換が多すぎると、皮膚への刺激や疼痛につながることもあります。漏れや浸軟を防ぎながら、交換による負担も考慮して調整しましょう。褥瘡管理に関する公開資料でも、創の深さや滲出液量に応じて材料を選び、吸収状況を確かめながら交換間隔を調整する考え方が紹介されています。

看護計画は「実施したか」だけでなく、結果で評価する

計画どおり体位変換をした、ドレッシング材を交換した。それだけでは、計画の効果を評価したことにはなりません。実施後に創や患者さんがどう変化したのかまで確認しましょう。

O-P:観察計画

観察項目は、次のように創と全身に分けると整理しやすくなります。

  • 滲出液の量、色、性状、臭気、膿性の有無
  • ドレッシング材の濡れ方、漏れ、交換回数
  • 創の大きさ、深さ、壊死、肉芽、ポケット
  • 発赤、熱感、腫脹、疼痛
  • 創周囲皮膚の浸軟、びらん、発赤
  • 体位、除圧状況、ずれの有無
  • 失禁、発汗、食事摂取量、体重変化、水分摂取
  • 体温や意識状態などの全身状態
  • DESIGN-Rなどを用いた経時的評価

評価の条件をできるだけそろえ、前回と比較できる記録にしておくと、変化を追いやすくなります。

T-P:援助計画

援助計画では、観察された原因に対応する内容を具体化します。

  • 患者さんの状態に合わせて除圧や体位保持を行う
  • 体圧分散寝具やクッションの使用状況を確認する
  • 創部を適切に洗浄し、周囲皮膚を保護する
  • 指示されたドレッシング材と交換頻度を用い、吸収状況を確認する
  • 失禁や発汗がある場合は、創や周囲皮膚への影響を減らすケアを行う
  • 栄養や全身状態について、必要に応じて多職種と情報を共有する
  • 感染や深部化が疑われる場合は、速やかに報告する

交換頻度や材料を変更する場合は、施設の手順や医師の指示に沿ってくださいね。

E-P:教育計画

患者さんや家族に説明する場合は、生活の中で取り組める内容に結びつけます。体位変換や除圧の目的、創をこすらないこと、排泄後のケアの必要性などを、相手の理解や状況に合わせて伝えましょう。

痛みや排液の増加、悪臭、発熱など、気になる変化があったときに知らせてもらうことも大切です。

目標は観察できる形にする

「滲出液が減る」という目標だけでは、いつ、何を見て評価するのかが曖昧になりやすいです。患者さんの状態や施設の記録方法に合わせて、目標を観察可能な表現にしてみましょう。

たとえば短期目標は、次のように設定できます。

  • 次回評価まで、滲出液がドレッシング材から漏れない
  • 創周囲皮膚の浸軟やびらんが拡大しない
  • 新たな発赤、熱感、腫脹、疼痛の増強を認めない
  • 除圧や体位保持が計画に沿って実施される
  • 創の大きさ、深さ、壊死、ポケットの推移を記録できる

長期目標では、滲出液だけでなく、創全体の状態や周囲皮膚の保護も含めて評価します。目標は患者さんの状態に応じて調整してください。

記録・報告は「増えた」から一歩具体的に

「滲出液が多い」とだけ記録すると、次に読んだ人が変化を比べにくくなります。前回と比べていつから増えたのか、ドレッシング材の濡れ方や漏れ、交換回数はどう変わったのかも残しましょう。

報告時は、次の情報をそろえると状況が伝わりやすくなります。

  • 増加に気づいた時期と、交換回数の変化
  • 滲出液の色、性状、臭気、膿性の有無
  • 創の大きさ・深さ、壊死やポケットの変化
  • 創周囲皮膚の状態
  • 発赤、熱感、腫脹、疼痛、発熱などの有無
  • 除圧の実施状況、食事摂取量など関連する情報
  • 実施したケアと、その後の反応

ここでのコツは、ケアを実施した記録と、実施後の変化を分けて残すことです。「体位変換を実施した」だけでなく、次の評価で創や周囲皮膚がどうだったかも記録しておきましょう。

実践ポイント

滲出液が増えたときの初期対応

  1. 前回の記録と比較し、いつからどの程度増えたかを確認する。
  2. 創部を観察し、色、性状、臭気、膿性の有無を記録する。
  3. 創の大きさ、深さ、壊死、肉芽、ポケットを評価する。
  4. 発赤、熱感、腫脹、疼痛、発熱など感染兆候を確認する。
  5. 体位、除圧、体圧分散用具、ずれの有無を確認する。
  6. 失禁、発汗、皮膚浸軟の有無を確認する。
  7. ドレッシング材の吸収量と交換間隔を確認する。
  8. 食事摂取量、体重、浮腫、脱水、基礎疾患を再評価する。
  9. 悪化所見があれば、医師や褥瘡管理担当者へ報告する。
  10. 原因に対応するよう看護計画を修正し、次回評価時期と評価項目を明確にする。

報告時の要点

「滲出液が増えました」だけでは、治療判断に必要な情報が不足します。次のように報告します。

  • いつから増えたか
  • 交換回数はどう変化したか
  • 色・性状・臭気
  • 膿性の有無
  • 創の大きさ・深さの変化
  • 周囲皮膚の状態
  • 発赤、熱感、腫脹、疼痛
  • 体温や全身状態
  • 除圧が計画どおり実施できているか
  • 食事摂取量や水分摂取状況
  • 実施した処置とその反応

看護学生が押さえるべき考え方

  • 滲出液は「多い・少ない」だけで判断しない。
  • 滲出液増加は、創傷治癒の段階、感染、圧迫、壊死、失禁など複数の原因で起こり得る。
  • 創部だけでなく、患者の体位、排泄、栄養、循環、活動性を含めて評価する。
  • 数値や記録は、同じ方法・同じ視点で継続する。
  • 看護計画は、観察項目、ケア内容、患者教育、報告基準、再評価時期まで具体化する。
  • 「実施したか」ではなく、「実施した結果、創と患者がどう変化したか」を評価する。
  • 感染や深部化が疑われる場合は、看護師単独で処置を変更せず、チームで判断する。

看護計画の記載例

O-P:観察計画

  • 滲出液の量、色、性状、臭気、膿性の有無
  • ドレッシング材の汚染・漏れ・交換回数
  • 創の大きさ、深さ、壊死、肉芽、ポケット
  • 発赤、熱感、腫脹、疼痛
  • 創周囲皮膚の浸軟、びらん、発赤
  • 体位、除圧状況、ずれの有無
  • 排泄状況、失禁、発汗
  • 食事摂取量、体重変化、水分摂取
  • 体温、脈拍、血圧、意識状態など全身状態
  • DESIGN-Rなどの経時的評価

T-P:援助計画

  • 患者の状態に応じた除圧と体位変換を行う
  • 体圧分散寝具やクッションの使用状況を調整する
  • 創部を適切に洗浄し、創周囲皮膚を保護する
  • 滲出液量に応じて、指示されたドレッシング材と交換頻度を調整する
  • 漏れや浸軟が生じる前に交換する
  • 排泄物が創部に接触しないよう排泄ケアを行う
  • 栄養士、医師、薬剤師、リハビリテーション職種などと連携する
  • 感染や深部化が疑われる場合は速やかに報告する

E-P:教育計画

  • 体位変換や除圧の目的を説明する
  • 創部をこすらないことを説明する
  • 排泄後の早期ケアの必要性を説明する
  • 食事・水分摂取の重要性を説明する
  • 痛み、悪臭、排液増加、発熱などを伝えてもらうよう説明する
  • 家族や介護者に、体位保持と皮膚観察の方法を説明する

ユウ塾長の体験談

私が看護師として働いていた頃、交換のたびにドレッシング材の濡れが気になる患者さんがいました。私は最初、吸収量が足りないのかもしれないと思い、材料の変更を考えました。

でも、記録を見返すと、排泄ケアの後に創周囲の皮膚がふやけていることがありました。「滲出液が増えた」と思っていたけれど、排泄物や蒸れの影響も重なっているのではないか。そう考えると、材料だけを替えてよいのか迷いました。

そこで、創部の状態と排泄の状況をもう一度確認し、先輩にも相談しました。ケアの方法をチームで見直しながら、その後の濡れ方や周囲皮膚の変化を記録しました。

振り返ると、私は「滲出液の量」に目が向きすぎていたのだと思います。この経験があってから、滲出液を見たときには、創だけでなく、その周りで何が起きているのかも考えるようになりました。

この体験談は臨床場面をイメージするためのもので、医学的根拠を示すものではありません。根拠については、上記の資料を確認してください。

まとめ

褥瘡の滲出液が減らない、または増えたときは、ドレッシング材の変更だけで対応せず、まず原因を再評価しましょう。

覚えておきたいポイントは次の3つです。

  • 滲出液の量だけで感染や改善を判断しない
  • 圧迫・ずれ、感染・炎症、壊死やポケット、失禁、栄養・全身状態、処置方法を見直す
  • 滲出液に加えて、創の大きさ・深さ・肉芽・壊死・周囲皮膚・全身状態を経時的に評価する

「ケアを実施したか」だけでなく、「その結果、創と患者さんがどう変化したか」まで確認できる看護計画にしていきましょう。

FAQ

滲出液が増えたら、感染と考えてよいですか?

滲出液の増加だけでは、感染と断定できません。発赤の拡大、熱感、腫脹、疼痛の増強、膿性排液、悪臭、発熱なども合わせて評価し、気になる所見があれば報告してください。

ドレッシング材から漏れる前に交換したほうがよいですか?

漏れや創周囲皮膚の浸軟がある場合は、吸収量や交換間隔が合っていない可能性があります。材料や交換頻度は、創部の状態や施設の手順、指示を踏まえて調整しましょう。厚生労働省の区分は記録上の目安であり、すべての患者さんに同じ交換方法を当てはめるものではありません。

DESIGN-Rでは、滲出液だけを見ればよいですか?

滲出液だけではなく、深さ、大きさ、炎症・感染、肉芽、壊死組織、ポケットなど、創全体の項目を確認します。滲出液の変化とほかの項目を合わせて、経過を評価してください。

参考文献

  • 日本老年医学会関連資料「褥瘡の治療の実際 ①創を評価する」2023年掲載資料。PDF
  • 厚生労働省「褥瘡対策に関する診療計画書」公開年は資料PDFで確認。PDF
  • 明治メイバランス関連資料「褥瘡管理」公開年は資料PDFで確認。PDF

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この記事を書いた人
ユウ塾長

看護師・看護大学教員としての経験を持ち、これまでに看護関連書籍を約10冊執筆・出版。臨床・教育・執筆で培った知識と経験をもとに、看護師・看護学生が「なぜそうするのか」を理解できるよう、根拠に基づいた看護情報をわかりやすく解説しています。

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