【限定公開】全教科で「優」が取れた実習教材

胃管を挿入する目的と観察ポイント

一般
この記事は約3分で読めます。

鼻から胃へとつながるチューブを見たことがありますか?

これは、胃管やNGチューブ、マーゲンなどと呼ばれています。

ここでは、「胃管」としましょう。この胃管って何の目的があるのか知っていますか?

今日は、胃管を挿入する目的と観察ポイントについて学んでいきましょう。


胃管とは

1.胃管とは

チューブ

胃管とは、上の画像のようなものです。おもに鼻からずずっと入れていき、咽頭、食道を通って胃まで到達させます。

鼻から胃へ入れるときは、腰を出すためにチューブの中に針金(シースとかガイドワイヤー、スタイレットなどと呼ばれる)が入ったまま行います。針金は最初からチューブの中に入っています。

胃管

このように、胃まで到達したら、この針金を抜いて、鼻腔にテープなどを貼り付けて固定します。

2.胃管の目的

胃管は、胃液の検査胃の内容物の採取をしたり、経口摂取が困難な人のために胃管を通して液体の栄養剤や薬を補給したりします。

また、大量の薬物を飲むなどした方の場合は、胃の洗浄を行ったり、活性炭を注入したりするなどの目的で用いられます。

さらに、看護学生に最も覚えていてほしいこととして、術後に挿入されてくる胃管の目的についてです。

術後の胃管の目的
  1. 術後出血の早期発見(手術直後のみ)
  2. 胃から分泌される胃液やガスの貯留、空気を飲み込むことによっておこる胃部の膨満からくる嘔吐や吃逆の予防→ 嘔吐や吃逆によって誤嚥性肺炎などのリスクがあります
  3. 胃切手術の場合は、胃液やガスによる吻合部への圧を軽減し、縫合不全を予防する
  4. 術後の腸管圧を高めず、腸管症状を予防する

以上のようなことが挙げられます。しっかり覚えておきましょう。

3.観察ポイント

胃管挿入後は、出口に排液バッグを付けておきます。排液バッグは胃よりも下の位置に置いておくことで、サイフォンの原理によってどんどん流れ出てきます。

排液バッグ

 

胃管を挿入した後は、挿入した目的にそった観察が必要です。
以下に観察ポイントについてまとめましたので、何を観察すればよいのか確認していきましょう。

  • 経時的に排液の量・色・性状・においを観察する。
    (排液量は腸蠕動運動の回復とともに減少します)
    排液の色調は手術直後は鮮紅色ですが、その後は赤褐色から胆汁まじりの色へと変化します。
    胃切手術の場合は、溶出液のみならず胃液の排出があるため、腸蠕動運動が回復するまでは排液が多いです。しかし、胃全摘術の場合は滲出液のみで胃切除術と比較すると胃チューブは早めに抜去される傾向にあります。
  • 胃管の管理
    固定用テープの交換と、詰まっていないかや残液の量や性状を確かめるために定期的に排液の吸引またはミルキングを行います
  • 患者の苦痛
    胃管を挿入するとのどや鼻に違和感を生じる方が多いです。そのため、その意義を説明し自分で抜くことのないように指導します。必要に応じて、手にミトンを付けたり抑制をするなどの方法をとることもあります。

 

4.いつ抜くのか

胃管は挿入されたら挿入しっぱなしというわけではなくて、必要に応じて抜くこともあります。

  • 主に、医師の指示によって胃管を抜去しますが、その判断基準としては
  • 胃洗浄や活性炭注入など必要な処置が終わった後
  • 術後の排液の色が安定しほとんど排液が流出されなくなくなった後
  • 経管栄養をしていた患者が十分に経口摂取できるようになった後

などです。医師や患者の方針や状況によってこの基準はことなりますので一概には言えませんが、上記のようなものが一般的な判断基準になります。

ユウのアドバイス

胃管って、なんで入ってるのかな?って思う方も多いと思います。今回の記事を読んで、こんな目的があったんだ!と気付いていただけたらうれしいです。ヾ(ω` )/

コメント

  1. 小児のマーゲン挿入時に、エアーの確認が出来ませんでした。
    シリンジで引いたら、胃液が引けたので、ミルクを流しました。

    もし、気管に入ったままミルクを流したらどうなりますか?

    怖くてたまりません。

    • コメントありがとうございます。
      胃管の挿入時、エアーの確認をすると思いますが、聞こえにくい場合もありますよね。胃液の吸引によって胃に入っていると確認する場合もありますが、不安です。
      そうしたときは、いったん、シリンジを何度か引いてみて胃内の空気をしっかり抜いてからエアーを挿入すると聞こえやすくなる場合があります。
      また、誤って気管に入ったまま経管栄養をしてしまっていた場合、呼吸困難や窒息のリスクがあります。
      やはり、しっかりとエアーの確認ができるのが望ましいでしょう。

タイトルとURLをコピーしました