日本人の死因は1位:悪性新生物、2位:心疾患、3位:肺炎、4位:脳血管疾患となっています。
とくに、3位の肺炎は他の疾患と合併して、入院中に何度も起こることがあります。
「なぜ肺炎は合併率が高いのでしょうか。今回はその原因と看護について紹介します。」
肺炎の看護
1.肺炎の原因
肺炎は、主に細菌やウイルスなどの病原微生物により肺が侵される病気です。
肺炎は平成26年の主な死因別死亡数の割合で第3位(9.2%)になりました。
昨今の医療技術の進歩により、抗生剤が大きく進化したにもかかわらず、死亡数が相変わらず多いのが肺炎です。
その理由は何なのでしょうか。
2.高齢者の肺炎の特徴
肺炎による死亡者のうち95%は65歳以上が占めます。
高齢者の肺炎の特徴として、症状が乏しいという事が挙げられます。
また非定型という特徴も持ちます。
非定型とは
非定型というのは、以下のような肺炎の症状が、それぞれ出たり出なかったりするという事を意味します。
- 高熱(38度以上)が継続する。
- 激しい咳、膿状のタンが止まらない。
- 痰の色が黄色や緑色である。
- 睡眠を妨げるほど息苦しい。
などです。
これらの特徴から、
症状が乏しく、いつの間にか肺炎が悪化していたり、
熱が出ただけだったので、風邪だと思っていたとか、ただ痰がらみが強いだけと思って
自然に治癒すると思われることがあります。
そのため、高齢者の肺炎は診断・治療が遅れがちになるのです。
また、高齢者は糖尿病や心疾患などを高い割合で持っていますが、これが肺炎の重症化の原因となる事なども要因として挙げられます。
3.高齢者が肺炎になりやすい理由
70歳以上で見ると、70%ほどの肺炎が誤嚥性肺炎であるとの報告があります。
誤嚥性肺炎とは
誤嚥性肺炎とは、口腔内の常在菌が肺に流れ込んで生じる肺炎です。
高齢者の誤嚥性肺炎の大きな原因は、
睡眠中などに、少量の食べ物の残りかすや唾液を、気道に吸引し排除出来ない事です。
悪い事には、誤嚥性肺炎の主な原因が不顕性誤嚥なのです。
不顕性誤嚥とは
不顕性誤嚥とは、睡眠中など本人が気づかないうちに、主に少量の唾液を気道に吸引することです。本人も気づけないのですからその診断・治療も大変です。
診断は肺炎の診断以外に
- 嚥下機能障害の存在を確認
- 胸部写真で浸潤影を認める
- 白血球数、CRPが上昇
があれば誤嚥性肺炎と確定します。
※CRP(C-リアクティブ・プロテイン)は炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するたタンパク質のことです。
参考(胸部レントゲン写真にて、右側の赤円部分が白く濁っているのがわかります)
4.肺炎の予防と看護
誤嚥性肺炎の予防のためには口腔ケアが有効だとの研究があります。
日々の口腔ケアを疎かにしない事が肺炎の重症化を防ぐ有効な方法です。
さらには、周囲の人へ飛沫を拡散させないようにすることも必要です。
これらの点を意識した看護計画を立案しましょう。
看護計画例
O-P
① 気道内分泌物
② 呼吸困難の有無
③ 発熱・咳嗽・倦怠感などの苦痛症状
④ 発熱による脱水症状
T-P
① タッピングにより、気道内分泌物の喀出を促す
② 体力の消耗を減らすため、安静にして吸息をとる。
③ 傾聴により、心身の苦痛緩和を図る。
④ 水分補給・加湿を行うため水分摂取を促す
⑤ 口腔ケアにより口腔内を清潔に保つ。
⑥マスクを着用してもらい、咳嗽による周囲への飛沫感染を避ける。
⑦入浴は清拭を行う
E-P
① 感染予防のための手指衛生、痰の喀出方法などについて生活指導を実施する。
②口腔ケア、手洗いの正しい方法について指導する
③誤嚥を防ぐための食事指導(食事形態や摂食姿勢、一口量、交互嚥下の必要性など)
④痰の増加を防ぐための禁煙指導
ユウのアドバイス
痰がらみがあったり、熱発したりと、入院中にあれ?おかしいな?と思ったら、肺炎だったという事例は多くあります。
特に高齢者では、重症化により死亡する可能性もあるので、早期発見、早期治療が大切です。
毎日の看護ケアにおいても、すぐに発見できるように知識をつけておきたいですね。ヾ(ω` )/
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