看護師として働く以上決して避けられない事実。 目を背けてはいけないし、いつか直面すること。 それは、 「人の死」です。
死後処置(エンゼルケア)
1.すてるべん?
患者が死亡することを、臨床では一般に ステルベン といいます。 単に、「ステる」なんて言い方もします。 ステルベンのときに行う死後処置は、どこの科においても共通する技術です。 特に、ターミナル患者さんが多い病棟や高齢者病棟では必要となることが多いです。
2.死の前段階
一般に患者が死亡するまでは、大きく分けて3つのパターンに分けられます。
- 患者・家族がすでに死を容認している場合(ナチュラル・コース)
- 患者の容態が急変して蘇生ができなかった場合
- いつの間にか死亡していた場合
1は亡くなる前にすでに方針も急変時の対応も決まっているので最も慌てなくて済むパターン 2は最も慌てるパターン。可能な限り迅速な対応が望まれます。 3は夜勤帯に多いです。見回りに行ったら息をしていなかったというように・・・。
3.死亡確認
患者の生命徴候が消失した時点で医師が確認します。 一般臨床では、 ①心停止、②瞳孔散大、③呼吸停止 の3徴候の消失をもって死亡と確認します。 この時、医師が時計を持っていないと、死亡時間を確認できないので、 その時は仕方なく自分の時計を貸してあげましょう! こういうパターン少なくないです!っておいw
4.遺体と遺族の時間
通常、死亡確認をしてもすぐに死後の処置を開始するわけではありません。 5~10分くらい、遺体と遺族をのこして医師と看護者は席を外します。 頃合いを見計らい、 遺族に「そろそろ死後の処置をしたいのですが、よろしいでしょうか」などと 声をかけます。死後の処置は遺族と一緒に行ったりもします。 個室なら部屋で、大部屋なら個室に移動させて行います。
5.葬儀屋の手配
忘れてならないのが葬儀屋の手配です。 通常、遺族に確認し希望の葬儀屋を呼んでもらったり 病院と提携している葬儀屋を紹介したりします。 葬儀屋には、死後の処置が終わった頃に病院に来てもらうようにします。
6.死後の処置の必要物品
①エンゼルセット: 青梅綿(水分を通さないベージュ色っぽい綿)、脱脂綿、わりばし、白布、T字帯、 包帯、大綿棒、竹串、カミソリ、マスク
②清拭用具、本人のタオル(捨ててよいもの) ③着替えの寝衣 ④タオルケット など
7.方法
病院によって若干の違いがあると思いますが、一般的な方法を紹介します。
①不必要な物品の除去:急変を経て死亡した場合、身体にはさまざまな管やモニターが接続されているので、まずそれらの物品を外す。点滴を外したときはしっかり止血を行なう。ベッド周りを整頓し、シーツ1枚にする。
②別れ:ベッド周りを整頓したら、タオルケットなどをかけ、しばらく親族の別れの時間をとる。
③死後の処置:希望があれば親族と一緒に行なう。まず、腹部を圧迫し、尿と便を押し出す。
④全身清拭:通常の方法で全身清拭を行なう。最近は消毒薬はあまり使われない。タオルは本人のもので、捨ててもよい物を使用する。
⑤口腔清拭:義歯の有無を必ず確認し、義歯の場合はしっかり固定する。
⑥詰め物:身体の各腔に綿をつめて浸出液が流出しないようにする。鼻、口、耳、膣、肛門の順に脱脂綿、青梅綿、脱脂綿の順でわりばしや竹串で詰める。しっかり奥まで詰め込み、綿花が外から見えないようにする。
※施設や病院によりますが、現在は詰め物はしない傾向にあります。死後、体液などが漏出する可能性がありますが、詰め物をするよりも冷却する方が漏出を防ぐことができるという近年の研究に基づくものです。
⑦寝衣:身体の処置が整ったら、T字帯をあて寝衣を着せる。このとき襟を左前にするのがポイント。また、紐は縦結びにする。縦結びとは、蝶々結びのわっかを上下にして結ぶ方法のこと。
⑧整髪:男性はひげを剃り、女性は化粧をする。化粧はあくまで最小限。
⑨口は閉じておくが、顎下部がかみ合わない場合は頭丁部から顎を包帯で巻き、硬直するまで口を閉じておく。また、眼が閉じない場合は、眼瞼と眼球の間に小さく切ったティッシュペーパーを入れて閉じさせる。
※最近ではあまり無理な整復は行わない傾向にあります。自然体が好まれています。
⑩合掌:心窩部の上で手と手を合わせ合掌させる。左親指が身体につくように、左指を手前にして手を組ませる。合掌させたら硬直するまで専用の白いバンド(合掌バンド)を使ったりもします。
⑪片づけ:身体にシーツを、顔に白布をかけて、最後に処置者が合掌して終了。必要物品を片付け部屋を出る。
⑫搬出:一般的には他の病室のドアを閉めて搬出するが、ホスピスや終末期病棟では全室のドアを開放し、全員で見送るという施設もある。
ユウのアドバイス
死後の処置のポイントは、遺体をいかにきれいに見せるかということです。 慌てたり、手抜きをしたりしてはいけません。 看護は人の最後を看取る仕事です。 最後までプロの仕事をしなければなりません。 辛いけど、泣いてはダメですからね!゚+.゚(*´∀`)b゚+.゚
コメント
何時の話だろうか?
確かに、数十年前はこの様にしていたと聞いた。
今はしていない事ばかり!!
コメントありがとうございます。
最近の傾向に合わせて一部コメントを入れさせていただきました。
ご指摘ありがとうございました。(*>ω<*)